2022.4.7 国土交通委員会 自動車損害賠償保障法等の一部改正案 参考人質疑

【議事録】

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、参考人の先生方にこのような貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
 私自身、重度の障害がありまして、障害を抱えて生きていくことの困難は日常生活の中でとても痛感しているところです。ましてや、突然の交通事故で障害になられた方や家族の耐え難い苦しみ、今後生きていく上での不安は計り知れないものだと思います。障害を持って生きるにはまだまだ社会的バリアも多い中で、事故に遭われた被害者の救済、特に在宅での介護や施設も含めての充実した福祉サービスを整え、安心して生きるための保障が必要だと思っております。
 そこで、参考人の皆様にお尋ねいたします。
 現在提出されている自賠法の改正に当たっては、国交省は、被害者救済や事故対策の規模を60億円拡充して、治療、リハビリの機会や介護者亡き後の支援を充実させ、200億円規模の事業を行うと言っています。現在の国の計画した事業規模で被害者救済が十分に行われると思われるか、ご意見をお聞きしたいと思います。
 藤田参考人の方から順番にお考えをお聞かせください。

○参考人(藤田友敬君) 
 ご質問どうもありがとうございます。
 先ほども似たような質問をお受けして、そのときにも申し上げまして、200億円が十分か、それで足りるのか、あるいはその金額が適切か否か、なかなか評価は難しいところです。もちろん、費用を掛ければ掛けるほど充実した施策は実施できますし、そういうことを言えば、多ければ多いほどいいということになります。
 他方、これユーザーのお金、ユーザーの拠出した保険料を原資とするようなこういう措置について無尽蔵に増やすということは、恐らくユーザー側の納得は得られない。そういうところで、ぎりぎりの線としてこういう調整を行わなければいけないと、そういう問題なんだと思います。
 その中で、60億、十分かどうか、もうこれで被害者や遺族の方々がもう全く不安を感じなくなるような額かと言われると、そんなことはないのかもしれませんけれども、ただ、少なくとも、今足りないとされている様々な施策ですね、リハビリについて、被害者の性格に応じて、遷延性意識障害、脊髄損傷、高次脳機能障害によってきめ細かに対策を変えていかなきゃいけない。さらには、介護者亡き後の対策もしなければいけないし、療護センターなども拡充していかなきゃいけない、もう老朽化に対して対処していかなきゃいけない。こういったことに最低限対処できるようにこのような60億という増額というのを考えておりまして、まあ全てこれで満足できると断言する勇気は私にはございませんけれども、ただ、これで相当それなりの施策の充実は図れる最低限の額ではないかというふうには思っております。
 この使い方につきましては、事故防止対策と被害者支援、間をどう分けるか、さらには、今申し上げた被害者支援の様々な中でどういうふうに割り振るのが一番効率的にうまくニーズに応えられるかということは今後検討会の方で慎重に検討させていただきますけれども、60億、それなりの額なんではないかというふうには私は評価してございます。

○参考人(小沢樹里君) 
 ありがとうございます。
 本当に温かなお言葉を一番最初にありがとうございました。
 その中で、私は、この金額が適切かどうかの部分というよりかは、その中の運用の中でいかに充実させるかというのが今回問題かなと思っております。
 いくらお金があってもできることとできないことがございますので、お金がなくてもできることを増やしていく。それは、多分人材を育成することで、一人の人が二人を見ることができる。二人から四人を見ることができる。それを教育をしていくことができるということができるのであれば、一番最初の財源をしっかりと使って、教育や又は支援や、このヘルパーさんを増やしていくことで、知識を増やすということへの課題として運用を使うということができるのではないかと思っています。
 そう考えると、あればあるだけ本当にいいにこしたことはございません。この中で、もう十分に、私たちは遺族団体ですし、当事者の方もいらっしゃいます。その中で、もちろん、もう足りないよ、助けてほしいよと声は上がると思います。ですが、この今ある中で、皆さんからいただいたお金で今後のご遺族、当事者になる方のことを考えるとすれば、やはり私たち、今いる私たちだけではなくて、今後の被害者の方のことを考えたときに、しっかりと体制づくりをつくるための基本であるお金につながってほしいなと思っております。十分な支援対策というのをつくる中で運用方法を十分に検討するということが、このお金を生かすお金に、生きるお金につなげることなのかなと思っております。
 私の方からは難しい言葉は掛けられませんけれど、その被害者として、十分なお金をしっかりと使っていただけるような運用、対策を検討していただければなと思っております。
 以上でございます。

○参考人(福田弥夫君) 
 ありがとうございます。
 200億円がどうかということは、私はよく分かりません。ただし、従前の今までやってきているものに対して新しいものを付け加える、この付け加える内容については検討会で指摘された改善策、これが取り入れられたものだというふうに理解しております。
 これからですけれども、恐らく定期的にそれぞれのやっていることの検証をして効果を考えて、それをどうフィードバックしていくかということの問題だと思いますが、注意しなければならないのが、これらの施策一つ一つが短期間で効果が出るということは言えないんですね。かなり中長期的に見ていかないと結論が出ないもの、あるいは短期間でも結論が出るもの、これいろいろあると思います。ですから、そういう事象の内容に応じて効果的な検証方法を考えて毎年毎年見直しを掛けていくと、こういう方法を取らざるを得ないと思います。
 そういう意味で、200億円は、今回は恐らく妥当な、現行のものに対して検討会で付け加えたこういう新たな施策という提言を加算してこのぐらいの予算と、事業規模ということになっているので、それはそれで私は尊重したいと思いますが、定期的な見直しというのが、それは同時に不可欠であるということを申し伝えたいと思います。
 以上でございます。

○木村英子君 
 ありがとうございました。
 ちょっと重なった質問になってしまいますけれども、小沢参考人にお尋ねします。
 ちょっとすみません。ちょっと水分を取らせてください。筆記止めていただきたいです。お願いします。

○委員長(斎藤嘉隆君) 
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(斎藤嘉隆君) 
 速記を起こしてください。

○木村英子君 
 すみませんでした。
 被害者支援についてもう一点お聞きしたいと思いますが、交通事故でご家族が亡くなられた後に残された遺族の悲しみというのは深く、癒えることはないと思いますけれども、少しでも回復するためには心のケアが不可欠だと思われます。そのような場合は、これからどのような支援が必要なのかということがありましたらお聞かせください。

○参考人(小沢樹里君) 
 質問ありがとうございます。
 この委員会の中でもどのような支援が一番重要かと話になったときに、やはり地域ごとにそれぞれ支援があるということ、身近なところに支援ができる場所があるということが重要であると考えております。それは心のケアもそうですし、例えば困ったとき、福祉的な不安であったりとか、それをしっかりと改善できる場所をつくるということを、地域ごとにつくっていくということが大事で、各県ごとにしっかりあるかといったら、まず各県にまだ全部あるかどうかは私はちょっと確認はしておりませんが、むしろ、それよりも市区町村の中でしっかりと聞く耳を持った方を育てていくということ、そして、犯罪被害者という形を理解していただくということが大事かなと思うんですが、実は、犯罪被害者支援条例がかなり進んでまいりまして、その中で一つ大きな問題が起こっています。
 というのが、殺人、それから性犯罪とか暴行に関しては被害者だと。ところが、交通事故は被害者じゃないでしょうということを言われるんですね。なので、条例によっては被害者は相談すらできないというところも実はございます。
 このような状況で、本当に傷ついたご遺族がたくさんいらっしゃいます。ですから、犯罪被害者支援条例の中に、交通事故被害者もやはりここまで心を、傷を負っている被害者だということを知っていただくということもそうですし、この支援の施策が地域に根付くような対策を組んでいただけたらなと思っております。
 私からは以上でございます。

○木村英子君 
 貴重なご意見ありがとうございます。
 最後に、被害者支援を行うための財源について、参考人の皆さんにお尋ねしたいと思います。
 現在、その被害者支援などについては、積立金があと十数年で枯渇してしまうという理由で、保険料に賦課金最大150円を上乗せして被害者救済に充てるというふうに国交省は言っていますけれども、しかし、枯渇してしまう原因というのは、何度もここで話されているとは思いますけれども、6000億円がいまだに返還されていないことにあります、と私は思っているんですけれども。
 ただ、その国交大臣と財務大臣との間で、令和4年から令和9年まで、最低54億円の返還が合意されていますけれども、200億円規模の被害者支援には到底、今も話されているように足りないということもあります。
 自動車ユーザーに賦課金を課すことで不足分を補って、そして被害者支援を充実するという国交省の方針について、どのようなお考えを皆様がお持ちかということをまた改めてお聞かせ願いたいと思っておりますので、福田参考人の方からお考えをお聞かせください。

○委員長(斎藤嘉隆君) 
 時間が迫っておりますので、お三方にお聞きをしますが、端的にお願いをいたします。
 じゃ、福田参考人。

○参考人(福田弥夫君) 
 ありがとうございます。
 私は、現在のスキームが、運用益を利用して被害者救済事業を行うというスキームがもう前提として崩れていて、今6000億返ってきても、じゃ、運用益だけでできるかというとそうはできないんで、安定した財源が必要というのであれば、もうこれは賦課金しかないということで、私はこれで正しい法改正だというふうに理解しています。
 私の方からは以上でございます。

○委員長(斎藤嘉隆君) 
 小沢参考人、お願いします。

○参考人(小沢樹里君) 
 今、先ほど福田参考人がおっしゃいましたことに同じでございます。
 以上でございます。

○委員長(斎藤嘉隆君) 
 藤田参考人、お願いいたします。

○参考人(藤田友敬君) 
 私も福田参考人と全く同じでございます。
 仮に今繰戻しが全額されたとしても、運用益で賄えるようなそういうスキーム、状態ではございません。そのようなスキームをもう変えて、将来的に、安定的にインフローが生じるような賦課金という制度にして、長期的に安定的に持続するような仕組みをつくるべきだと考えておりますので、私はこの制度の改正には賛成でございます。
 もちろん、繰戻しを続けてくれと強く言い続けることは重要ですし、それを諦めるという趣旨では決してなくて、それをしつつ、この改正をすると、そういう意味合いにおいて賛成でございます。

○木村英子君 
 ありがとうございました。以上です。

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