2022.3.29 国土交通委員会 国際園芸博覧会法案質疑『すべてのバスのバリアフリー化に向けて』

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○木村英子君 
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、2027年に横浜市で開催が予定されている「国際園芸博覧会」法案について、障害当事者の立場から、博覧会のバリアフリー化に向けて質問させていただきます。
 この博覧会は、「多様な主体の参画」という目的のもとで開催される予定と聞いておりますが、建物や交通など、あらゆる面でバリアフリーになっていなければ、障害者や高齢者などが健常者と同じように博覧会に参加することはできません。
 開催地である横浜市の計画では、最寄りの駅から会場までの移動はシャトルバスを中心に検討していると聞いています。車いすを利用する障害者や高齢者が参加するためには、すべてのバスにリフトやスロープを付けることが必要だと考えます。
 国交省は、博覧会の準備・運営を行う国際園芸博覧会協会を監督・指導する立場にありますので、すべてのシャトルバスがバリアフリー化されるように、バス車両のバリアフリー基準を示し、横浜市や園芸博覧会協会に対して適切に指導を行っていただきたいと思いますが、国交省としてのお考えをお聞かせください。

○政府参考人(宇野善昌君) 
 お答え申し上げます。
 2027年国際園芸博覧会では、全ての人々が安心して快適に参加いただける博覧会となるよう、シャトルバスのバリアフリー化についても検討していくことが必要だと認識しております。
 シャトルバスのバリアフリー化については、今後、国際園芸博覧会協会において具体化に向けた検討が行われることとなりますが、バリアフリー法に基づく公共交通移動等円滑化基準では、新たに導入される乗合バス車両については、一つ以上の乗降口に車いす使用者の乗降を円滑にするスロープ板等を設置するよう公共交通事業者に対して義務付けており、公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドラインでは、バスにリフトやスロープを設置した事例が掲載されております。
 国としては、こうした基準やガイドラインの周知徹底などを通じ、可能な限り多くのバリアフリー化されたバスが導入されるよう、博覧会協会に対して助言、指導を行ってまいります。

○木村英子君 
 シャトルバスの運行については指導徹底をお願いいたしたいと思います。
 次に、横浜市の計画では、シャトルバスに加え、来場者の約18%は修学旅行やツアーなどの団体バスによる来客が想定されています。
 しかし、団体バスで使われるような貸切バスや高速バスなど遠方から来るお客さんが利用する大型バスについては、資料1のように、車両の下に荷物を載せるスペースが必要なため、ノンステップバスにすることが難しく、スロープが付けられません。
 そのため、ほとんどの大型バスは、資料2のように、乗降口が前方に一か所しかなく、幅が狭く、階段になっているため、車いすごと乗ることは不可能です。ですから、障害者の人は、車いすから降りて、介護者に抱えられて座席に乗せてもらうしかありません。その場合、手動の車いすであればたたんでバスに載せることができますが、電動車いすは100キロから200キロほどの重さがあるため、人力で載せることは困難です。
 そこで今回、民間の貸切バス事業者の方に協力していただき、車いすのまま乗れるリフト付きバスとエレベーター付きバスに乗車しました。
 バリアフリー化された大型バスは、資料3をごらんのとおり、一般の路線バスと同じように真ん中にも入口を作り、リフトやエレベーターを設置することで自分の車いすのままバスに乗ることができます。
 今回試乗したバスの中には、資料4のとおり、最大6台の車いすが乗れるバスもありました。私も実際に乗ってみましたが、障害の体に合わせた車いすから降りて、座位が保てなくて座りにくい座席に移乗しなくても、自分の車いすごと乗れるので、一般のお客さんと同じように車窓から景色を見ることができました。また、資料6をごらんのとおり、車内では固定ベルトをするので、揺れても安定感があり、安心して乗ることができました。このようなリフトやエレベーターが様々なバスに導入されれば、園芸博覧会などのイベントにも車いすを利用する人たちが健常者の人と同じように参加しやすくなると思います。
 しかし、問題なのは、リフトやエレベーターが付いているバスがとても少ないということです。貸切バスについては、全国に48000台あるうち、リフトはまたはエレベーターを設置している貸切バスは386台しかありません。
 バリアフリー化された大型バスが増えない要因の一つに、リフトやエレベーター付きのバスは、通常のバスよりも高額なことが挙げられます。そのため、国からバス会社への財政的な支援が不可欠だと考えます。
 そこで、現在実施されている補助事業について具体的に教えていただき、また、補助金の周知徹底とともに、博覧会に向けた補助金のさらなる拡充もあわせて検討していただきたいと思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(秡川直也君) 
 国土交通省では、生活交通のバリアフリー化や訪日外国人旅行者の移動の円滑化を目的としまして、地域公共交通確保維持改善事業、あと、訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業といった事業によって、リフトやエレベーターの付いたバスの購入費の一部を支援しております。
 具体的な補助率なんですけれども、リフト付きバスの車両価格の4分の1、またはリフト付きバスと通常のバスの車両価格の差額の2分の1のいずれか小さい方を基本として補助をさせていただいております。
 今後ともバリアフリー社会の実現に向けて、本事業を広く活用していただけるように周知を行うとともに、引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

○木村英子君 
 引き続き、補助金については周知徹底をお願いしたいと思っております。
 次に、バスのバリアフリー基準についてですが、そもそも、長距離の乗合バスも貸切バスも、低床化が困難な大型バスについては、バリアフリー化が義務化されてはいません。これではいくら補助がされても、リフトなどが付いた大型バスが増えないと思いますので、一般の路線バスと同じようにバリアフリーを義務化することが不可欠だと考えています。
 一般の路線バスについては、障害者運動によって、また、高齢化社会が来ることを見越してスロープ付きバスが90年代から導入され始め、今現在、都市部を中心に多く運行されています。一方、大型バスのバリアフリー化については、昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックを見据えてエレベーター付きバスが開発・導入されました。国交省は、エレベーター付きバスに対して、2020年にバリアフリー化推進功労者大臣賞を授与し、推進してきましたが、全国でまだたったの69台しかありません。
 今や28%を超える超高齢社会に突入しているにもかかわらず、貸切バスや長距離の乗合バスのバリアフリー化が進んでいません。5年後に開催予定の国際的なイベントである園芸博覧会に遠方から来場される車いすを利用する障害者や高齢者がバスのバリアが原因で参加できないというのでは、博覧会の人々の多彩な交流という目的からは外れ、差別を生み出してしまいます。
 ですから、この園芸博覧会をきっかけに、交通における一つ一つのバリアを解消することが全国のバリアフリー化の促進につながっていくと思います。今後、リフトやエレベーター付きの大型バスを増やしていくために、国の財政的支援とともに、バリアフリー法や移動等円滑化基準の見直しに向けて、来年度から「公共交通機関のバリアフリー基準等に関する検討会」の議題に上げていくことも含め、5年後の園芸博覧会に向けて早急に検討を始めていただきたいと思っています。そして、政府は共生社会の実現を掲げているわけですから、障害がある人もない人も国際的なイベントに誰もが当たり前に参加できるように、公共交通機関のバリアフリー化を促進することへの大臣の思いをお聞かせください。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 
 共生社会の実現に向けて、障害の有無や特性にかかわらず、誰もが安心して社会に参加し、活躍することができる社会を構築することが必要です。このため、国土交通省では、バリアフリー法に基づき整備目標を定め、ハード、ソフト両面からのバリアフリーの取組を推進しているところでございます。
 また、2027年国際園芸博覧会では、障害者や高齢者などすべての人々が安心して快適に参加いただける博覧会となるよう、バスなどのバリアフリー化を実現することが重要と認識しております。国土交通省においては、バリアフリーの取組を推進するため、さきにご紹介ありましたようなリフト付きバスの導入について、地域公共交通確保維持改善事業等によりその導入を支援してまいります。
 また、リフト付き大型バスの導入を促進するにあたり、リフトの導入を義務付けることは交通事業者に対して強度な強制力を伴うことから、その検討の必要性については、まずはリフト付きバスの利用実態や導入にあたっての課題などを把握、整理した上で、障害当事者や交通事業者など関係者の意見も伺いながら判断する必要があると考えております。このため、まずは公共事業者におけるリフト付き大型バスの導入状況や導入に当たり支障となる点などについて令和4年度より調査を実施してまいります。
 今後も、共生社会の実現に向けて、国土交通省としてバリアフリー化に取り組んでまいります。

○木村英子君 
 来年度から調査していただけるということですから、今後、注視させていただき、どこまで進んでいるかも含めて、また改めて質問させていただくと思います。
 以上です。ありがとうございました。

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