2024.5.14 参議院 国土交通委員会 広域的地域活性化法改正案質疑「二地域居住って障害者や高齢者のことも考えてるの?」

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 今回は、広域的地域活性化法改正案は、地方への人の流れの創出、拡大をするために二地域居住を推進するものとされています。
 国交省は、二地域居住について、2004年に関係省庁などと、二地域居住人口研究会という検討会をつくり、「「二地域居住」の意義とその戦略的支援策の構想」という報告書をまとめています。その報告書の中では、二地域居住等の促進に資する交通・情報通信ネットワーク、医療・介護体制、子育て支援体制等の整備促進等が重要と考える具体的な施策として掲げられています。
 しかし、今回の改正案には、地方への人の流れやなりわい、若い人たちの地方の雇用の促進などが中心であり、今まで検討課題とされてきた医療・介護体制の整備促進などが盛り込まれていません。また、資料1では、今回の改正案の基となった移住・二地域居住等促進専門委員会中間とりまとめにおいても、医療や介護について更なる課題として棚上げされ、2004年に調査されて19年もたっていますが、具体的な解決策が何ら検討されていないと思います。

資料1

 地方の活性化を促進するには、従来から重要な課題である高齢者や人口減少による介護、保育などの人手不足の問題を解決することが最優先だと考えますが、今回の改正案ではこの点についてどのような施策を盛り込んだのか、具体的に教えてください。

○政府参考人(黒田昌義君)
 お答えいたします。
 委員ご指摘のとおり、介護や保育などの担い手不足につきましては、地方におきまして重要な課題であるというふうに認識をしております。昨年策定いたしました国土形成計画におきましても、地方におきます人口減少がこうしたこの医療や福祉、介護等の地域の生活サービスの維持に不可欠な担い手の不足に直結するという指摘がなされております。
 先ほどご指摘もございましたとおり、法案を検討するに当たりましたこの専門委員会におきましても、医療、福祉、子育てなどの日常の暮らしに必要な生活サービスの提供が持続可能なものとなるよう、地域生活圏の形成の観点も踏まえて、引き続き検討が必要とされたところでございます。
 今回の法案の中には、この医療、介護の体制の整備ということについては直接盛り込んでおりませんけれども、こうした状況を踏まえまして、法施行後、しっかりとこの二地域居住の状況を踏まえて、関係省庁、厚労省を始めとする関係省庁と連携しながら具体策について検討していきたいというふうに考えております。

○木村英子君
 なぜ法施行後なのか。介護や保育の人手不足については喫緊の課題だと思うのですが、法施行後に検討を行うということでは余りにも遅過ぎると思います。
 現在、高齢者の数は約3500万人であり、高齢化率は30%と高い水準となっていますが、今後も全国的に人口が減少し続け、2050年には高齢化率は37%まで上がると言われています。このような状況において、介護や医療、保育などの人手不足の解消は待ったなしであり、これらの課題を置き去りにしたままこの法案を成立させても地域の活性化や地方の課題の解決には至らないと考えます。
 なぜなら、高齢者や障害者、そしてその家族にとっては人手不足で介護者やヘルパーの確保が難しい中で、この制度を利用して二地域居住をする場合は、地方へ移っても居宅介護や訪問介護、また働く場合の介護者の付添いなど、福祉サービスが支障なく受けられるのか、またその場合の費用負担はどうなるかなど、福祉制度を利用する人たちにとっては、介護の担い手不足の問題はどこで生活するにしても命に関わる重要な課題です。
 ですから、医療や介護、保育などの人材が少なくて深刻な状況の中で、障害者や高齢者が二地域居住をする場合の人手不足の解消についてはどのような対策を考えているのでしょうか。

○政府参考人(黒田昌義君)
 お答え申し上げます。
 ご指摘のとおり、この医療、介護、保育などの担い手不足、地方における重要な課題であると認識をしております。
 今回の法案の目的は、この地方への人の流れの創出、拡大ということでございます。ご指摘のこの地方におきます医療、介護などのエッセンシャルワーカーの人手不足対策、こうしたものに対して直接お応えするものではございませんけれども、この地方における人の流れの創出、拡大を通じまして、医療、介護、保育などの人手不足対策というところにおきましては課題の解決の一助になるものではないかというふうに期待はしております。
 いずれにしましても、引き続き、法施行後の状況を見ながら、関係省庁と連携しながら、具体的な施策、必要なものについてしっかりと検討していきたいと考えております。

○木村英子君 済みません、委員長、配慮をお願いします。水分補給いたします。

○委員長(青木愛君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(青木愛君) 速記を起こしてください。

○木村英子君
 今のお答えを聞いてもやはり法施行後と言っていますが、結局は、その福祉制度を利用している人たちのことは、この二地域居住からは取り残されているというふうにしか思えません。
 さらに、二地域居住の問題点として、障害者は、障害者や高齢者など移動の確保が困難な人にとっては、交通の問題というのは大きな課題です。公共交通機関においては、障害者や高齢者、子育て世帯にとって、都市部でもバリアがまだまだ解消されていない中で、地方においてはほとんどバリアの解消が進んでいない現状にあります。
 例えば、資料2のとおり、利用者数が3000人以上の駅については、エレベーターなどの設置が進んでおり、段差が解消されている駅は95%以上になっていますが、令和4年3月末時点で3000人未満の駅の段差解消率は約28%となっており、4分の1しかバリアフリー化されていません。そのため、地方においてはほとんどの駅がバリアフリー化されておりません。

資料2

 その上、資料3のとおり、人員削減によって無人駅が増え、2020年時点で全国の駅の約48%が無人駅となっており、支援の必要な障害者や高齢者にとっては安心して鉄道を利用できない状況になっています。

資料3

 また、資料4のとおり、ノンステップバスの全国での普及率は2022年度末で約68%となっており、都市部のバスはほとんどノンステップバスとなっていますが、地域別に見ると、北海道は約45%、九州は約43%、北陸信越は53%と、まだまだ全国的にはノンステップバスが普及していない状況となっています。

資料4

 さらに、タクシーに至っては、UDタクシーは東京や神奈川県などの首都圏以外は全く普及していない状況ですから、車いすを利用している人は、地方ではタクシーの利用が難しい状況です。
 このように、車いすの人や高齢者、ベビーカーを利用している子育て世帯が地方の鉄道やバス、タクシーといった公共交通機関を利用するにはたくさんのバリアがあり、社会参加が妨げられている状況にあります。
 また、住宅に至っても、地方にはバリアフリー化された住宅はほとんどない上、車いすの人は部屋を傷つけるとか火事を起こす危険があるという理由により、なかなか障害者や高齢者に貸してくれる大家さんが見付からず、住宅を確保するのは至難の業です。
 二地域居住を進めるに当たって、地方における交通インフラや住宅についてどのような解決策が考えられるのでしょうか。お答えください。

○政府参考人(黒田昌義君)
 お答えいたします。
 ご指摘のとおり、この社会的弱者の方々に対します地方におきます交通インフラのバリアフリー化、また住宅の確保が進められることが極めて重要であるというふうに認識をしております。
 今回、市町村が作成をいたします特定居住促進計画の中で、障害者や子育て世帯、高齢者の方々が安心して生活できるような環境整備に関する必要な情報提供、これをしっかり行うよう、基本方針にも、国の基本方針にも位置付けていきたいというふうに考えております。
 ご指摘がございました公共交通機関のバリアフリー施策につきましては、例えば、この地方部の更なるバリアフリー化も念頭に置いたバリアフリー整備目標というのを設定しておりまして、例えば鉄道駅につきましては、地方部のバリアフリー化を図るため、目標対象となります鉄軌道駅の一日の利用者数については3000人以上から2000人以上へと対象を拡大しているとともに、地方部におきましても、支援措置の重点化、こうしたことを行って、鉄道の、全国の鉄道のバリアフリー化を進めているところでございます。
 また、住宅につきましては、今国会に提出をさせていただいております住宅セーフティーネット法改正法案、これにおきまして、大家さんが賃貸住宅を提供しやすく、障害者や高齢者の方々が円滑に入居できるよう、賃貸住宅市場の整備や居住支援体制の強化の措置を講じることとしております。
 このようなことを踏まえまして、法施行後の二地域居住の状況も考慮し、地方におきます公共交通機関、また住宅に関しまして、障害者、高齢者の方々が安心して生活できる環境整備、これを関係省庁としっかり連携しながら検討していきたいというふうに考えております。

○木村英子君
 今お答えになったことも、常に法施行後ということでありますけど、本来だったら先に計画を立ててしていく必要があるかと思います。
 ただ、今回の改正案に盛り込まれているその空き家の改修についてですけれども、これはバリアフリー化は要件となっていないと思います。障害者や高齢者が安心して二地域居住ができる体制になっているというふうには、今のお答えからも、ちょっと遅過ぎるのではないかなというふうに思っています。交通機関や住宅の整備はバリアフリー法が元々あるわけですから、この法案を作る段階から方策を立てていくべきだったと考えます。
 地方では、既に高齢化率が40%あるいは50%を超えているところも多く、都市部よりも更に医療や介護、保育の人手不足は深刻化しているような厳しい状況ですから、若い人たち、その問題は置き去りにしたまま、若い人たちや子育て世帯が地方に移り住むというふうには未来が見えない状況だと私の思いでは思います。本来であれば、山積しているこの地方の課題を解決することが最優先ですから、今回の法案は、福祉制度を利用している、利用して生活している高齢者、障害者、子供たちなどを置き去りにしていると私は思います。
 なりわいを大切にして生活しやすい町にするには、交通、住宅などの最低限のインフラが整備され、教育、介護、医療など、支援を必要とする障害者や高齢者、子供たちのために、人手不足の問題は、国や自治体が責任を持って公助で支える仕組みをつくることが不可欠だと考えます。地方の課題を置き去りにせずに、本改正案を再検討していただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
 人口減少や高齢化が進む地方におきましては、新たな国土形成計画に掲げる公共交通、住宅、医療、介護などの日常生活の暮らしに必要なサービスが持続的に提供される地域生活圏の形成が重要であると認識しております。
 その上で、本法案で推進する二地域居住は、地方への人の流れの創出、拡大を図ることにより、関係人口を拡大させ、人口減少が進む地方の活性化に寄与するものであり、この地域生活圏の形成にも資するものであると考えております。
 委員のご指摘もしっかりと受け止め、本法案が成立した暁には、若者、女性、高齢者、障害者など、多様な人々が地域社会の中で居場所を持ち、希望を持って地域で暮らし、働き、活動できるよう、関係省庁と連携して、多様性に富む包摂的な地域社会の実現に努めてまいる決意でございます。

○木村英子君
 今回の改正案には、やはり福祉的な観点が欠けていると思います。地方の抱える人口減少や過疎化を食い止めることは難しいのではないかというふうに私は思います。
 交通、住宅、教育、保育、医療、介護など、従来からある深刻な地方の課題を解決することが先決だと思いますので、今回の改正案には私は反対提案といたします。
 以上です。終わります。

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