2024.4.17 参議院 国民生活調査会 参考人質疑「障害のある人が暮らしやすい街は 誰もが暮らしやすい街」

参考人質疑テーマ:情報保障、ユニバーサルデザインのまちづくり、地域公共交通

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、参考人の方々のお話を聞く機会いただきまして、ありがとうございます。
 まず、長年、障害当事者の立場からバリアフリー化を進めてこられた佐藤参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどのお話の中で、アメリカではADA法によってほとんどの飲食店に車いすの人がバリアなく利用できるというふうにおっしゃっていました。とても羨ましいなと思いますけれども、やはり私のような大型の車いすに乗っている者にとっては、特に地域で生活する上で、衣食住ってすごく大事なことなんですけれども、やはり小規模店舗に入るとき、段差とか階段、固定席なのでほとんど入れない。だから、いつも私はファミリーレストランが多くて、本当に小さい小じゃれたお店に入りたいなと思っても段差があって入れないという状況です。
 そういう中で、やはりなかなか健常者の方に、あるいは小規模店舗のお店の方にバリアフリーをお願いするといっても、予算の関係とかいろいろあってなかなか大変な状況ではあると思います。
 そんな中で、佐藤参考人のその小規模店舗への具体的な困り事あるいはエピソードがあったら教えていただきたいということと、それから、課題なり解決策というものがどういうものが考えられるのか、具体的にご経験を通して教えてください。お願いします。

○参考人(佐藤聡君)
 ご質問いただき、ありがとうございます。
 本当に日本のこれからの課題は小規模店舗だと思います。バリアフリー法、特別特定建築物という床面積2000平米以上の建物はバリアフリーの整備義務があるんですけれども、2000平米というと大体もう大きなデパートとかスーパー、ショッピングセンターぐらいになるんですね。さらに、通路とか入口とかトイレは義務があるんですけれども、お店の中の整備には義務基準ないんですね。ですから、デパートは入れるけれども、デパートの食堂には入れないというのが今の状況です。
 ですから、本当に、小規模の店舗というのはもう本当に日常的に使うものですけれども、私たちの職場は神保町にあるんですけれども、車いす3人ぐらいでご飯食べに行こうといったら、本当に、神保町は数百軒多分お店あると思いますけど、入れるところは数軒です。ですから、いつも同じところばっかり行くんですね。もういいかげん飽きて全然行きたくないんですけれども、もうそこしかないという、そういう状態です。
 私の友達で車いすのお母さん、車いすで子育てしているお母さんがいるんですけれども、その人が子どもに言われたというんですね。お母さんと一緒だといつも同じお店しか行けない、つまらないと、だから一緒に行きたくないということを言われたという。もうこれは本当にそのとおりなんですね。
 私も、歩ける人たちばっかりの集まりに行って、じゃ、飲みに行こうといったときに、あっ、俺も行きたいけど、俺が行くと今みんなが行こうとしているお店は行けないだろうなと思うと、それはちょっと遠慮してしまうようになりますね。
 また、自分は入れるなと思って行っても、お店の店員さんに、車いすだとすごく嫌な顔をされたりとか、ほかのお客さんに迷惑になるから駄目ですといって拒否をされたり、はっきり言わなくても、がらがらなのに予約が入っているから駄目なんですと言われたりするんですね。
 そういうふうに、バリアフリー化していないことは、入店の拒否の要因にもなっているんです。私は子どものときからずっとそういう入れない日本、入れない日本で育ってきたから、まあ仕方ないのかなと思っていて、でも、アメリカに行ったときに、さっき言ったみたいにどこでも入れて、もう本当に驚きました。田舎町に行ってレンタカー借りて回って、ここのこんな田舎の数百人ぐらいしか住んでいないようなところは絶対お店入れないだろうと思ったら入れたんですね。そのぐらい、やっぱり法律というのはすごいなというふうに思いました。
 更にアメリカのすごいのは、お店の中のトイレもバリアフリーなんですね。トイレが1個しかない小さいお店であれば、そこのトイレは必ず大きいトイレなんですよ。車いすで入れるようになっている。これはすごく驚いて、これはアメリカだけじゃなくて、コスタリカってメキシコの下の方に小さい国があるんですけど、ここも行ったらもうちゃんとお店はバリアフリートイレがある。聞いたら法律でちゃんとできているんだそうです。そういうふうに、義務の基準をお店の中でつくるということが大事です。
 ただ、ここで大事なのは、事業者の負担が少なくやるということなんですね。それは新築のときです。新しく造るときに、じゃ、ドア幅はこのぐらい、車いすで入れるように80センチぐらい、段差は造らない、いすは動かせるいすにしましょうというふうにしたら、もう多くの車いすの人は使えるようになるんですね。でも、それ負担全然増えませんよね、最初であれば。
 ですから、今お店を改修するのは、それは事業者はすごく大変だと思う、なかなか広がらないと思いますので、せめて新築のときは、もう最低限の義務の基準をつくって、それを守っていくというふうにしたら、やっぱり10年、20年たったらもう全く違う町になっていく。是非この義務基準をつくっていただきたいと思います。

○木村英子君
 ありがとうございます。私も同じ車いすユーザーとして、今後また活動していきたいと思っております。
 次に、伊藤参考人に、教育における情報保障についてお伺いしたいと思います。
 私自身、障害があって、幼いときから養護学校で育っていますので、社会に出てから、やっぱり社会性を習得することとかあるいは健常者とのコミュニケーションを取るということがとても大変だったというふうに思っています。
 やっぱり、同じ教室で障害がある子もない子も共に学ぶというインクルーシブ教育が叫ばれている昨今ですけれども、聴覚障害者のお子さんが地域の学校に通うためにはまたどのような情報保障が必要なのか、そして、その改善策について先生のご意見をお聞かせ願いたいと思います。お願いします。

○参考人(伊藤芳浩君)(手話通訳)

 ご質問ありがとうございます。
 国連の障害者権利条約で掲げているインクルーシブ教育は、個々の状態に応じての支援を行わなければいけないということで、同じ場所で共に学ぶということが出されています。多様な学ぶ場を選択できる、選択肢を用意するということが共に学ぶことでは大変必要なことだと思っています。
 それを思った場合、聾学校から、難聴学級という、難聴学級は一般の学校の中に難聴児を集めてつくったクラスがあるんですけれども、それと、もう一つは地域の一般的な学校に通う、それぞれの、その3つの選択肢があるわけですが、それぞれが一長一短ございます。
 聾学校の場合には、同じ障害を持つ子ども同士が集まりますので、聾者としてのアイデンティティが育ちやすいというメリットがあります。一般の地域の学校では、聞こえる人たちと接する機会が当然多くなりますので、自分が聴覚障害であるということの、で、サポートがどういうことが必要であるかということを周りに説明するというセルフアドボカシーを持ちながら育てられる、育つことができるということができます。あと、普通学校の中にある難聴学級について言うと、やっぱりそのそれぞれのいい面があるかと思います。それぞれの面を、情報保障の整備であるとか聞こえる人たちとの交流の機会を是非つくるべきだというふうに思っています。
 先ほどもお話ししましたように、情報保障は地域によってかなり格差があるという話をしました。十分に提供できていないところが多いということで、やっぱり学びにくいという状況もあるということを話しましたが、それを解消して、それぞれの地域でも学ぶ、どの地域でも学んで、安心できるような全国的な情報保障の整備を是非進めていただきたいと思っていますし、今いる子どもたちの教育のアクセシビリティについて、インクルーシブ教育の背景も、条件も整備していただきたいと思っています。以上です。

○木村英子君
 ありがとうございます。
 伊藤参考人にどうしてももう一つお聞きしたいことがあります。
 それは、私たち障害者は、災害時、そして事故などではやっぱり置き去りにされる場合が多いんですね。そういった場合、特に平常時には、突然のやっぱり病気で入院するということがあります。私のように重度の障害者は、やっぱり介助者がいないと入院ができないという、適切な医療を受けるためのコミュニケーション支援というものが必要になります。
 そういった上では、聴覚に障害のある方が入院される場合、どんなやっぱりトラブルがあるのか、また情報保障が必要なのか、エピソードも含めて教えていただきたいと思います。お願いします。

○参考人(伊藤芳浩君)(手話通訳)
 ご質問ありがとうございます。
 私の個人的な経験ですが、妻が出産の際に事前に私はサポートをお願いしていたんです、病院の方にですね。何かあったときにはそのサポートしてほしいということをお願いしておったんですね、耳が聞こえないということで。ただ、たまたま出産が夜間になった場合、救急外来の方で切開をすることになったということがあって、でも、私が耳が聞こえないということが伝達されてなかったので、そういった配慮が全く私にされなかったんですね。ですから、手術、妻の手術、どんなになっているかと全然情報はなく、心配なまま、ずっと不安なままで手術をしているところがあったわけですね。
 そういったこともあったので、そういったことの解消のために、国から地方自治体に対して、具体的なそういった面のもっともっと配慮を考えて、指導が必要かなと思っています。
 また、より緊急に対応できるような場合の手話通訳、あるいは、通訳者、オンコールで呼ぶというところですね、そういったところを整備していく、合理的な配慮を求めていくということが必要だと思っています。
 ほとんどの場合には、厚生労働省の方と、公的な配置が、手話通訳等の配置がなされているんですけれども、公的な機関には配置されているんですけれども、やはりまだまだ不十分な部分がありますので、特に病気があった場合は病院に手話通訳がいないということがやはりありますから、病気になってからでは遅いので、やっぱりすぐにでも手話通訳が配置できるようなことを考えていただきたいと思っています。
 公的な支援があることによって、障害者が病院で受診を受けるときも安心できて、医療の従事者とのコミュニケーションも取れると、で、適切な医療を受けられることになる、につながると思っています。以上です。

○木村英子君
 ありがとうございました。
 時間が来てしまいまして、中川参考人にご意見を聞けなかったですけれども、済みません。
 それでは、私の質問を終わります。以上です。

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