【議事録】
○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
本日は、先生方のお話を聞く機会をいただきまして、ありがとうございます。
社会生活を送る全ての人にとって欠かすことのできない公共交通機関ですけれども、やっぱり高齢化や過疎化が進み、特に地方の鉄道においては本数が減ったり、あるいは廃線に追い込まれるなど、その高齢者とか障害者の移動の手段というものが失われているということはとても深刻な状況かなというふうに思っています。公共交通機関の一つでも欠けてしまうということが、やはり移動手段がとても難しい高齢者や障害者にとって、本当に利便性、より便利で多様な交通機関の在り方というものが急務な課題だと思っています。
まず、森参考人の方に、参考人にお尋ねしたいと思います。
富山市は、車社会が進んでいる中で、鉄道などの公共交通機関を拠点としたコンパクトシティーの再編というものを、地域の、まあされて、活性化が図られていると聞いております。その中でも、高齢者のデイサービスの充実とか障害児の保育の実施率が100%になるなど、福祉の分野においても注目しているところですけれども、富山市では公共交通機関を拠点としたコンパクトシティーづくりにおいて福祉の分野とどういうふうにつなげて促進につなげていったのかということをまず教えていただきたいということと、もう一つは、そのコンパクトシティーを実施、実現する前に鉄道を廃線する話があったとも聞いていますけれども、その際に、存続というか、に至った経過の中で、どのような人たち、まあ住民の方とかですね、が参加されて、どのような議論がつくられて、尽くされてきたのかということも教えていただきたいと思います。お願いします。
○参考人(森雅志君)
介護保険法で言う地域包括支援センターが今、富山市には32か所あります。中核市で一番たくさんあります。一か所の対象高齢者も少なくて、かなりきめの細かいケアができています。それから、中心部に市営の診療所もつくって、常設で常勤医師3名、看護師4名、どんな遠くても訪問診療に行くということもやっています。また、産後ケアセンターをつくって、8週間まで何泊してもらってもいいというような、お子さんと、赤ちゃんと一緒に来る施設をつくったり、それからお迎え型病児保育を全市的にやったり、様々なことをやっています。
そういうことの財源をつくるためにも、さっきちらっと言いましたが、必ずしも平準的や均質ではないサービスをやってきたわけです。税で還流するところには厚く投資をして、まず税収を上げて自主財源をつくって、で、様々な福祉施策にもそれを財源として充てるということをやりました。
その際、交通もその中で大変重要なツールです。したがって、例えば、65歳以上の高齢者は年間1000円払うとどんな遠くからバスに乗ってきても中心市街地で降りると100円というのをやっています。帰りも、岐阜県の県境まで行っても100円です。このことによって全高齢者の24%がその定期券を持っています。外出が増えます。介護の要介護度が進んでいくことを少しブレーキ掛けるというようなことなどにも寄与しているというふうに思います。
いずれにしても、外出機会をつくるということが交通と福祉とをつなぐものだというふうに思っています。そういうことも含めて全体を見ていただくのは大変うれしいです。しばしば交通だけ切り取った議論に終わってしまうんですけれども、それがさっき桜井先生がおっしゃったような外部評価になっていくんで、その非常に大きな要素だと思います。
したがって、そういうことも、さっき分子の中にとおっしゃいましたが、そういうことも含めた鉄道評価マニュアルみたいなものを作ってもらうことも大変重要かなというふうに思っています。
○委員長(蓮舫君)
森参考人、もう一つ、廃線に至るまでの議論等についても。
○参考人(森雅志君)
廃線のは、富山港線という8キロほどの短い枝線でしたが、富山駅の連続立体交差事業をして新幹線を入れるために駅に余裕な土地がなかったので富山港線を廃止する、そこに空間をできて、それを順番にドミノ式に南へ移っていって、そこに新幹線を造ったんです。
したがって、この廃止についてはかなりの多くの市民はやむを得ないなという受け止め方をしておりました。ですけど、鉄軌道をなくすということには抵抗が私自身はありましたので、あえて道路上に新たな軌道を造って駅にアプローチするという選択肢をしてLRT化したということです。だから、廃線についての反対とかそういう議論は余りありませんでした。
○木村英子君
今お伺いしているときに、やはりその鉄道の維持あるいは交通機関がいかに福祉を促進していくかということが分かりました。ありがとうございます。
次に、吉田参考人にお聞きしたいと思います。
ひたちなか海浜鉄道は、第三セクター化した後に廃線せずに黒字化を実現して、ピア列車の実施とか、あるいは駅舎内での野菜の直売所を実施するなど地域住民の方のコミュニティーの場がつくられ、先駆的な取組をされていると聞いています。
それがひたちなか市の地域活性化というものにつながっているのかなと思いますけれども、こうした取組を進めていく中で、地域のコミュニティーの場が成功してきた様々なアイデアを住民の人たちとどのように話し合ってつくられてきたのか。また、多様な住民のニーズに合わせたコミュニティーの場をつくるに当たって難しいと思った点とかがもしありましたら、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。お願いします。
○参考人(吉田千秋君)
まず、難しい点というのは、15年やってきて、正直、まあ何でも通るんだなというのが正直な気持ちで、特に苦労した点はないんですよね。
で、それが何でかと考えますと、やっぱり、繰り返しの話になるんですけれども、鉄道会社に対する世間の人たちの目というのは固いよと。例えばこんなことを言ったって、鉄道に、話は聞いてくれないでしょうねというのが強いんですよね。
例えば、高校行くのにこの電車がもう5分早ければ有り難いんだよねと思っているんですけれども、一市民とか、一乗務員というか一乗客が鉄道会社に時間変えてくれなんておいそれとも言えないみたいな雰囲気があったんですけれども、そうじゃなくて、やっぱりご利用の方のことを思ってということで時刻変えたりとか、あとは、こんなアイデアがあるんだけどという話を持っていらっしゃったときに取りあえず、さっき書いたんですけど、法と公序良俗に違反しない限りは全部聞いちゃおうという話をして、そうやっているうちに、駅の構内に入るには当然規則では入場料金要りますよという話になるんですけれども、そんなこと言っていたら切りがないんで、置いておいて、どうぞ自由に入ってくださいということをやっているということで、鉄道会社が今までの鉄道会社の常識の敷居を下げたというところと、それに市民の方々が、この程度でいいのと鉄道会社側は思っているんですけれども、呼応していただいたと。
で、それがどんどん広がっていって、あとは、鉄道会社が思い付かないこと、いろんなこと、言っていらっしゃることを全部受けていたらいつの間にかそういうふうになっていたというのが正直なところなので、基本的には鉄道会社が敷居下げるのが一番のみそだったのかなと思います。
○木村英子君
ありがとうございます。住民の方のアイデアが駅の活性化につながったというような形で、参考になりました。
次に、桜井参考人にお聞きしたいと思います。
桜井先生の著書の中では、スウェーデンの鉄道の路線は日本とは違って政府が保有しているということが紹介されていました。また、ドイツではインフラ整備が国家の責任として進められていると書かれておりましたけれども、しかし、日本では国鉄が民営化になったことで、何といいますか、本来積み残してきた鉄道の路線の整備が民間に押し付けられていることによって鉄道の維持というのの存続が危ぶまれる現状にもあると思います。
また、その鉄道のバリアフリーにおいては、私事ではありますけれども、以前スウェーデンに視察に行った際に、スウェーデンの電車の乗降口とかがフラットで、車いすでも利用しやすくて、また駅では、車いすの人とかつえをついている人などが、障害者の人たちというのを多く見かけられたということを覚えています。
このように日本においても、スウェーデンやドイツのようにバリアフリー化も含めた鉄道の維持について国が責任を持って保障しているべきだという、保障しているわけですけれども、日本もそういうふうに国が保障するという形になった場合、どのような問題点あるいは方策が考えられるのかということについて教えていただきたいというふうに思っております。桜井先生、お願いいたします。
○参考人(桜井徹君)
まずインフラ問題ですけど、国が所有するということで、日本は違うということになるんですけれども、そうでもないんですね。日本は、例えば整備新幹線なんかは、JR東日本やJR西日本は整備新幹線についてはいわゆる上下分離でやっているわけですね、支援機構で。都市鉄道も、大手私鉄も、運輸整備支援機構からお金をいっぱいもらって都市鉄道の整備やっていて、自力で今日本の鉄道はインフラを自分で整備できていないんですよ。だから、基本的にはもうインフラは国家所有になってもおかしくないです、公式上はですね。
でも、実質的に、どちらか、名目上、やっぱり分割・民営化路線を進めたというのが自負がやっぱり政府にはありますから、いや、これはインフラの国家所有を全面的に実質的にも名目的にもやるのはまずいよということになってしまっているんじゃないかということで、そこはやっぱりネックになっているんじゃないかと。やっぱり、名目、実質とも国家所有にすべきだと私はそう思っております。
また、日本では通勤輸送でもうかっているからいいんじゃないかと思うんですけれども、私も若干足が悪いところもありますけれども、通勤輸送でもうかっていていいのと。今日も混雑の電車で来まして、久しぶりに来ましたけれども、結構大変です。やっぱり通勤輸送でもうかっているこの大手私鉄モデルというのもそろそろ考え直してもらいたいなと思っております。
そういう点で、バリアフリーを、やっぱり通勤輸送でも車いすの人が乗れるようなバリアフリーを、単に自動ドアを付ける、プラス10円だというのではなくて、もっと本格的にバリアフリーができるような整備を、これはむしろヨーロッパよりもアメリカの方が私、進んでいるように思うんですね、バリアフリー法は。ですので、そういう点で、もっと米国の状況なんかも研究されてやると面白いなと思っております。
ちょっと十分、最後の方、答えにならないんですけど、そういうように思っております。
以上です。
○木村英子君
参考人の先生方、ありがとうございました。
終わります。