2023.4.11 参議院 国土交通委員会「視覚障害がある人が安全に街を歩くには?」

【議事録】

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、視覚障害者が横断歩道などを渡るときの危険性と信号機のバリアについて質問いたします。
 視覚障害者の人たちは、一歩外へ出た瞬間から歩道や道路のバリアに遭遇します。特に近年では、歩きながらスマホを使用する人が多く、歩道の点字ブロックを頼りに歩行するしかない視覚障害者の人に対して、前を見ないで歩いてくる人がぶつかってきたり、自転車に接触し白杖を折られるなど、周りの人の不注意に障害者が巻き込まれることが多い現状です。
 視覚障害者は、全盲の方や弱視の方など、障害の程度によっては、道路を渡る際、信号機の色が赤なのか青なのかが分からず、不確かなまま横断してしまうことが多く、そのため痛ましい事故が起こっています。
 資料1をご覧ください。


 2018年12月7日未明、東京都豊島区の横断歩道で視覚障害のある男性が車にはねられて亡くなったという痛ましい事故がありました。現場の音響式信号機は早朝に音が止められているため、信号の色を認識することができずに渡り、事故に遭ったと見られています。
 そして、資料2のとおり、

この2018年の事故、交通死亡事故を受け、視覚障害者団体は、警察庁に対して信号機に関する要望書を提出し、視覚障害者が安全に横断できるよう、音響式信号機の24時間の作動や色が確認できる代替手段の確立、交通弱者が使いやすい押しボタン式信号機の設置を求めました。また、信号機の設置に当たっては、当事者の意見を聞くことも求められています。
 次に、資料3をご覧ください。


 昨年8月にも、鹿児島市で横断歩道を渡っていた視覚障害のある男性が路線バスにはねられてけがをする事故が起こりました。このように、まだまだ全国的に音響式信号機などの設備が少ないことで、事故がなくなりません。
 資料4をご覧ください。


 警察庁によると、信号機のある横断歩道上で視覚障害者の歩行者が車両と衝突した事故件数は平成29年から令和4年までの間に27件発生していますが、いずれも信号無視として処理されてしまっていて実態が把握されてはいません。これでは視覚障害者の方の合理的配慮も進まないどころか、今後も事故がなくなりません。
 資料5をご覧ください。

現在、歩行者用信号機が青になったときに「ピヨピヨ」、「カッコー」などの音が流れるものや「とおりゃんせ」などの音楽が流れるものなど、音響式信号機の設置が進められています。
 しかし、警察庁によると、令和3年度末時点で日本国内の信号機数は約20万7千基あり、視覚障害者用の音響式信号機数は全体のおよそ1割程度にとどまっています。そのうち約8割の信号機が、令和2年の毎日新聞の調査によれば、夜間から早朝の時間帯にかけて、近隣住民への騒音の配慮などから音が鳴らないように設定されています。
 視覚障害者の方は、外へ出るときに歩道や車道のバリアに対して細心の注意を払いながら、そして危険を覚悟しながら外出をしています。音響式信号機が設置されていない横断歩道を渡る場合には、周りの人に声を掛けて誘導してもらったり、耳で音を頼りに周囲の状況を判断しているため、雨が降ってきた場合、雨の音で車の走行の音がかき消され、横断歩道を渡れないときもあります。そんなときは、危険を冒してでも道路を渡る方もいますが、大抵は慣れている場所以外の外出は諦めてしまうといった視覚障害者の方もいます。
 また、資料6は、障害者の在宅ワークを中心に仕事を提供しているサニーバンクという会社のアンケートですが、音響式信号機を設置してほしいという声や視覚障害のある人たちの外出する際の困り事が数多く書かれています。ご紹介する時間がありませんので、後ほどご参照していただければと思います。


 また、音響式信号機だけではなく、大阪市では、資料7のように、

機械の頭頂部が振動し、手で触って青信号かどうかを確かめることができる信号機が導入されています。このように、耳で音を確認する信号機だけではなく、手で振動を確認する信号機など、様々な選択肢のある機器を導入すれば、住民の夜間や早朝の騒音問題を気にすることなく事故のリスクを減らし、問題を解決することができるのだと思います。
 悲惨な事故を防ぎ、視覚障害者の命を守るために、24時間安心して横断歩道を渡れるように早急に改善していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(小林豊君)
 お答えいたします。
 視覚障害者の方々を始めとした道路利用者が道路を安全かつ円滑に横断できる環境を整備することは大変重要なことと認識しております。
 委員ご指摘の視覚障害者の方々の道路横断の安全を確保するための方策として、警察では音響が鳴動する信号機の整備を推進しております。その運用に当たっては、視覚障害者の方々や地域住民等関係者のご意見を伺いながら、視覚障害者の方々の通行状況や地域住民の生活環境への影響等を総合的に判断し、必要に応じ、時間帯別の音量設定や、押しボタンの操作があったときのみに音響が鳴動する機能などを活用しているところです。
 また、警察庁では、信号機とスマートフォンを専用アプリで連携させ、視覚障害者等の歩行者に信号機の灯色をスマートフォンの音声や振動で案内することなどができる高度化PICSを開発し、令和2年度から運用を開始しております。この高度化PICSは、音響を鳴動させることが困難な時間帯がある場所や、こうした信号機が設置できない場所を中心として整備を検討するよう、都道府県警察を指導しております。
 引き続き、視覚障害者の方々のご意見を伺いながら、道路利用者が安全かつ円滑に道路を横断できる環境整備に向け、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

○木村英子君
 高度化PICSで信号の色を判別するためにはスマホが必須ですけれども、視覚障害者にとってはスマホは使いづらく、また高齢者がガラケーを使用している人も多い中で、解決策としてはまだまだ足りませんし、全ての視覚障害者への合理的配慮というふうにはなっていないと思います。音で認識するだけではなく、手で触れて確認できるような信号機も考えていただきたいと思っています。また、検討するに当たっては、当事者の声を聞きながら進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、視覚障害者の方が歩道を歩くとき、歩道には点字ブロックが設置されていますが、横断歩道などを渡る際には点字ブロックのような配慮が少なく、渡ることが困難な場合があります。その場合、資料8のように、

横断歩道には足裏や白杖で進行方向を確かめながら真っすぐ渡れるエスコートゾーンが設置されています。しかし、エスコートゾーンについては、設置が音響式信号機に比べて少なくて、普及も遅れています。視覚障害者の方の合理的配慮が歩道だけ進んでいても、車道は車が通り歩道よりも危険ですから、歩道と車道、この両方が安心して歩けるように早急に改善していただきたいと思っています。
 歩道の点字ブロックについては国交省が設置を進めているところですが、視覚障害者の方にとっては車が走行する危険な横断歩道にもエスコートゾーンなどの設備がないと安全に渡ることはできません。省庁の管轄間での整備の違いが障害者の命を左右してしまっている現状において、バリアフリー法の趣旨にも反していると思っています。
 そこで質問いたしますが、国交省がバリアフリー法に基づき示している道路の移動等円滑化ガイドラインにおいては、点字ブロックとエスコートゾーンは一体的なものとして設置することを推奨していますので、国交省と警察庁が連携して、視覚障害者の人の安全に渡れるように早急にエスコートゾーンの設置を進めていただきたいと思っていますが、まずは警察庁の考えをお聞かせください。

○政府参考人(小林豊君)
 お答えいたします。
 警察におきましては、令和3年度末現在で、全国2815か所、横断歩道の本数で6570本のエスコートゾーンを整備しているところです。
 移動等円滑化の促進に関する基本方針におきまして、重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路のうち、原則として、道路又は交通の状況に応じて視覚障害者の方々の移動上の安全性を確保することが特に必要であると認められる全ての箇所について、令和7年度までに音響信号機及びエスコートゾーンを設置することとされており、各都道府県警察においてその整備を着実に推進しているものと承知しております。
 また、重点整備地区以外についても、視覚障害者の方々の利用頻度が高い施設の周辺において、需要が見込まれる箇所から整備を進めているものと承知しております。
 警察庁としては、引き続き、国土交通省とも連携しつつ、視覚障害者の方々が安全かつ円滑に移動できる環境を整備するよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

○木村英子君
 是非進めていただきたいと思います。
 この警察庁のお答えを踏まえて、バリアフリー法を所管する国交大臣のお考えもお聞かせください。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
 今日、木村先生の方から、音響に関する音響信号、それからもう一つがエスコートゾーン、横断歩道に設置するエスコートゾーン、ご提案がございました。
 エスコートゾーンの方は道路の上に設置しますので、国土交通省、本当に関連をしております。このエスコートゾーンにつきまして、市町村がバリアフリー法に基づき基本構想を策定し、それに沿って各施設の設置管理者が整備を進めることとされております。
 先ほど木村委員からございました、昨年3月に策定した道路の移動等円滑化に関するガイドラインにおきましては、関係機関との連携が重要であることから、道路管理者が設置する視覚障害者誘導用ブロックと公安委員会などが設置するエスコートゾーンを一体的に整備することが望ましい、このようになっております。
 国土交通省としては、バリアフリー法の趣旨を踏まえ、視覚障害者にとって安全で円滑な歩行空間の確保が進むよう、引き続き警察庁を始めとする関係者と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

○木村英子君
 是非早急に整備を進めていただきたいと思いますが、次に、警察庁は、バリアフリー法に基づく基本方針における整備目標として、重点整備地区の一部には音響式信号機とエスコートゾーンの設備率を100%にするという目標を掲げており、バリアフリー基本構想の中でも重点整備地区を中心に整備されているところです。
 しかし、そもそもバリアフリー基本構想自体を作っている自治体が2割未満にとどまっており、まだ少ない状況です。現在、町中には交通アクセスのバリアがたくさんある中で障害者の社会参加が進んでいない現状があり、交通のバリアの改善は急務ですので、国交省が自治体に対して基本構想の作成を促したり、既に作成している基本構想についても見直しを進めるなど働きかけを早急に進めていただきたいというふうに思っておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
 今ご指摘ございましたように、バリアフリー法に基づく基本構想、これを作っている自治体は全国で319しかないという、まさに2割未満でございます。しかしながら、政令市、中核市、特別区では約9割で作成されておりまして、人口カバー率では約64%に達するなどの進捗はございますが、まだまだ18.3%、2割未満ということで、今後は大都市部以外の市町村を中心に作成を加速させていくことが極めて重要であると認識しております。
 小規模な市町村からは、基本構想を作成するための予算やノウハウの不足が課題であると伺っていることから、国土交通省では、調査経費の支援、優良事例の周知、個別訪問による働きかけなどに取り組んでまいります。
 委員のご指摘を踏まえ、今後これらの取組を一層強化し、令和7年度末で450市町村との目標の達成に向け、基本構想作成、見直しの促進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○委員長(蓮舫君) 時間が参っております。

○木村英子君
 はい。
 視覚障害者の方が安全に町を歩ける社会の実現に向けて、歩道や車道のバリアフリー化を早急に進めていただきたいと思います。質問を終わります。

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