2023.2.15 参議院 国民生活・経済及び地方に関する調査会 参考人質疑② テーマ【地域経済、限界集落、公共交通】

【議事録】

○木村英子君 
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、参考人の先生方の貴重なお話を聞く機会をいただき、ありがとうございます。
 私の障害者の立場から、私は3人の参考人の先生方に質問させていただきます。
 近年、高齢化や少子化によって人口減少が加速し、介護や保育などの担い手不足が深刻になっています。さらに、追い打ちを掛けるようにコロナによって医療従事者が不足し、最も支援を必要とする高齢者や障害者、子供たちの生活と命が慢性的な危機にさらされています。
 その原因の一つは、昔から日本の社会に根付いている分け隔てる文化にあると思います。
 日本は、自助、共助、公助の中で自助が優先され、高齢者や障害者の介護や育児の責任を家族だけに負わせています。公的な保障が少ない現状の中で、社会全体で支える仕組みが整っておらず、担い手不足が深刻になっています。また、ヤングケアラーと呼ばれている若者が増え、厚労省の調査では、小中学生のヤングケアラーが約6%もいるとも言われています。このような支援を必要とする高齢者や障害者、子供たちを限られた場所で限られた人たちだけで支える仕組みは、自然と地域社会から排除し、差別を生み出しています。
 昨年、国連の障害者権利委員会からは、脱施設化や分離教育の中止を求められる厳しい勧告が出されましたが、インクルーシブな社会を実現するには、分け隔てることなく、同じ地域に住む様々な人たちとの出会い、集えるコミュニティーの拠点が不可欠だと思います。
 このような現状の中で、富山市では公共交通機関を起点としたコンパクトシティーによるコミュニティーづくりが実施され、障害児保育の実施率が100%となっています。また、明石市では拠点のバリアフリー化も進み、誰もが集える拠点が整備されています。国交省においてもコンパクト・プラス・ネットワークを推進しており、コミュニティーの場が注目されています。
 都市部への一極集中が進み、地方の人口も少なくなっている現状において、若い人たちや子育て世代を呼び込み、介護や保育の担い手不足を解消するためには、医療、介護、保育、防災、役所、住宅、交通、文化、芸術、商業など生活しやすい機能を集中させた拠点は必要ではないかと思っています。高齢者も、障害者も、子供も、外国人も、様々な人たちが集まるコミュニティーの場がつくられることによって支え合えるネットワークの好循環が生まれるのではないかと思います。
 私自身、幼いときに障害者になって、施設や養護学校で育ち、社会や健常者の人たちとの接点がほとんどありませんでした。地域へ出てから、生活を支えてくれるボランティアや介護者との営みの中で、どんなに人とのつながりが大切なのかを今も実感しています。
 ですから、人口減少に伴って介護や保育の担い手不足が深刻な中、人と人とのつながりが分断されている現状を改善していくためにも、どうしたら様々な人たちが円滑に社会参加ができ、支え合えるインクルーシブな地域社会が実現できるのでしょうか。また、どうしたら誰もが集まりやすく、きずなが生まれていくコミュニティーの拠点をつくることができるのかを、先生方のお考えを是非お聞かせ願いたいと思います。松原先生の方からお願いいたします。

○参考人(松原宏君) 
 ありがとうございます。
 私のお示しした図の3というのは、地域経済の階層性、重層性の中で日常生活圏というのを一番下に置いていますけれども、今ご指摘いただきましたように、空間的な移動の非常に障害が大きい、要するにハンディキャップが非常に多い方の場合などは想定していないモデルなんですけれども、ご指摘いただきましたような形で考えますと、今、この日常生活圏のややもう少し狭い範囲のところで、今指摘されましたコミュニティーというのをやはりこの図の中でもしっかりと位置付ける必要があるというふうに思っています。
 今日の議論は地域経済というものがテーマになっているんですけれども、まさにご指摘の地域社会の在り方というのがその地域経済を考える上でも非常に重要になってきていると思っていまして、要するに地域経済が非常に健全で元気がある、活力にあふれているというのは、その地域社会がしっかりとしているということが重要だと思っていまして、その地域社会については、私の最後のところでも言いました包摂という言葉を今使って、まあ成長という言葉が使われているんですけれども、インクルーシブといったようなものを、地域経済、地域社会を考えていく上でどのようにそのインクルーシブを位置付けていくかというのは、これは国際的な国連などのレベルではいわゆる発展途上国の問題とかというのもあるし、国内、要するに先進国である日本でこのインクルーシブというものを使う意味というのはまだまだ議論が十分にできていないと思っていまして、これからいわゆる地域経済、地域社会を考えていく上でのインクルーシブというのをどういうふうに考えていくかというのは、ご指摘いただいたような形で、障害者の方、高齢者の方、外国人の方も含めて、いろいろな多様性あるような地域社会といったようなものを地域経済の基盤としてやっぱりしっかりと位置付けていくのが重要だと思っております。
 ありがとうございました。

○参考人(藤山浩君) 
 私は、やっぱりそれぞれの300人から3000人ぐらいの一次生活圏というか、それごとにやっぱり小さな拠点をつくるということに尽きるんじゃないかと、これは農産漁村も団地もあるいは商店街もと。
 その上で、やっぱり3つほどアプローチが、やり方があると思うんですが、一つは、今全国で注目されるのは、子供食堂ぐらいを皮切りに、次々と地元食堂というか、みんな食堂ができています。まあ明石なんか有名です。私も市長さんに案内させていただきました。そうした柔らかい、いろんな人が、お互いが役立ったりあるいは助けてもらったりと、そういう場をつくっていく必要があると。
 それから2番目は、私はコンマXの社会技術というのを唱えていまして、やっぱり1日1時間ならちょっと手伝えるよとか、あるいは週に1回ならできるよと。それはやっぱり年を取ったりして、ずっと毎日フルタイムでなくてもいろんな本当は小さな活躍の場があると。こうしたですね、を組み合わせることで、週に一度の人も5人集めれば一週間ちゃんとサービスができるわけです。
 それで、外に流れ出た所得も本当は取り戻せると。あるいはそうやって仕事があることでいろんな交通の待ち時間等が生き時間、死に時間が生き時間になると、これも公共交通でプラスに行きます。そうした小さな活躍の場を数多くつくるような、こういう拠点のつくり方が必要と思います。
 3番目は、海外ではどうでしょうか。
 私が注目しているのは、イギリスでは、必ずどんな田舎行っても、あるいは街角でもパブがあります。パブが社交の場なんです。いろんな人がそこへ入れ替わり立ち替わり来ていると。これをイギリス政府はパブ・イズ・ア・ハブというですね、ここを徹底的に多機能化すると。いろんな商店機能も付ける、あるいはクリーニングとかいろんなもの、そこ取り出せると、こういった形にしています。そうしたやっぱり温かみのある、しかも多様性のある拠点のつくり方というのが非常に重要です。
 ヨーロッパ、特にイタリアなんかも必ず広場があります。先ほど、コモンズをどうつくり直すかでありますが、やっぱりそうした共有の空間というのを田舎や都会を問わずつくっていくということが非常に必要で、そこにいろんな多様な方が、小さくてもいいから活躍の場をお互い確かめ合うと、こういった町づくりが必要ではないかと思います。
 もちろん、いろんな予算も要りますが、医療と介護だけで一人60万掛かっている。1000人で6億掛かっている実情があります。みんながそういうふうにやる中で、ちゃんとした食を楽しむ、居場所があって生きがいがあると、1割改善するだけで6000万違うんです。そうした発想に立つべきだと考えます。
 以上です。

○参考人(宇都宮浄人君) 
 先生ご指摘のとおりかと思います。
 実は今、藤山先生から拠点とありましたが、まさに拠点に出かける、拠点を結ぶ、そこでやはり交通が生きてくる、モビリティーが重要になってきます。
 私の今日お配りしている資料で、44ページに私が先ほど紹介したSUMP、持続可能な都市モビリティー計画の特徴というのをSUMPの中から挙げております。
 これを見ていただきますと、従来の交通計画とSUMPは何が違うのかの2番目、従来は、やはり需要、渋滞があるから道を造る、あるいはラッシュが激しいから電車を造る。今のSUMPの目的はアクセシビリティーと生活の質。で、そのトップに出てくるのが社会的公平性なんです。まさに、誰もが社会参加できるためにこのモビリティー計画が重要だと、これが目的になっているというのが今の世界の潮流であります。という意味で、交通はものすごい貢献をいたします。
 富山市の話ございました。私自身、自分の研究として、富山市でアンケート調査を行いました。そうすると、まず富山市のライトレールができた段階で外出の人がすごく増えたわけですね。ライトレール乗っている人に聞いたわけです。前は何を使っていましたか。車に乗っていた人という人は1割います。けれども、2割の人は、従来外出しなかったという方が、いい公共交通ができると外出するようになるんです。そして、私の調査によると、じゃ、何ですかというと、案外気分転換とか、そういう形で公共交通だとふらっと出かけられる。これは重要で、更にもうちょっと聞くと、何か富山ライトレールができたことによって友達が増えたなんて人もいるんですね。
 つまり、まさに今パブが社交の場と言いましたが、パブリックトランスポーテーション自体が社交の場になっている。それによって、地域のお互いのネットワークが生まれ、誰もが、全員が参加できる社会になっている。その結果、今おっしゃったような富山の場合の成功例があり、最近ですと、富山市の方、シビックプライドがあるなんて言い方もされます。
 そういう社会が実現しているという意味で、私は、富山ライトレールも、富山市も含めて一定のお金は出しましたけれども、それによって得られた効果というのは非常に大きかったし、何といっても単なる経済効果だけではなく、そういう全員社会、参加型の社会ができる大きなきっかけになったんではないかなと思っております。
 以上でございます。

○木村英子君 
 先生方、ありがとうございました。質問を終わります。

\シェアしてね!/