2021.5.11国土交通委員会質疑『障害者が地域で生きるための住宅確保について』

配布資料

議事録

○木村英子君 
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、障害者が地域で生きるための住宅確保について質問いたします。
 障害者権利条約19条では障害者が住みたいところに住む権利がうたわれていますが、現状は、家を探すことから契約に至るまでにまだまだ障害を理由とした差別や偏見がなくならず、とても大変な思いをしている障害者がたくさんいます。
 2007年に、障害者や高齢者、低所得者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者が入居しやすい住宅の確保や支援のために、住宅セーフティーネット法が施行されました。この法律に基づき、要配慮者が住居を確保するため、各自治体において不動産業者や居住支援団体と協議する場である居住支援協議会が設置され、住居に関する相談やあっせんを行ったり、家賃保証や緊急連絡先の提供、入居時の見守りの支援など、入居前から入居後まで様々なサービスを提供することになっています。
 しかし、令和3年4月28日時点で、この居住支援協議会は108の自治体にしか設置されておらず、さらに、障害者当事者団体が協議会の構成員に入っているところはたった20の自治体しかありません。
 京都市では、障害者の方が居住支援協議会に相談に行ったところ、高齢者の住宅問題しか取組実績がないと言われ、対応してもらえなかったというケースがありましたが、当事者が協議会と何度も対話を重ねたことで改善されました。
 このように、まだまだ障害者への理解が少なく、障害当事者が粘り強く訴えていかなければならない現状です。本来なら、障害者の住宅の問題を解決するためにつくられた居住支援協議会なのですから、国が率先して障害者に対する理解の促進を図るために居住支援協議会などへの研修を実施するとともに、協議会への当事者を参画を進めていただきたいと思います。
 また、2017年度の住宅セーフティーネット法の改正に伴い、障害者や高齢者等の要配慮者が賃貸住宅に円滑に入居できるように、賃貸住宅への入居に係る住宅情報の提供、相談、見守りなどの生活支援等を行う法人として住宅確保要配慮者居住支援法人を設定されることができるようになっています。
 資料1をご覧ください。
 この居住支援法人が行う活動に応じて、国の居住支援法人活動支援事業では最大1000万円までの補助金が出ることになっています。令和2年度には173法人に対して補助金が出され、障害者や高齢者等の住居の確保のために支援活動を行っていますが、補助金が十分にもらえていないという法人からの相談が寄せられています。
 ある居住支援法人では、応募要領に従って申請したにもかかわらず、満額の補助が受けられずに活動を続けることが困難な状況に置かれています。この法人が国交省に補助金が出ない理由を聞いたところ、ほかにも申請する法人がたくさんあって予算が足りないからと言われたそうです。
 この問題は一つの法人に限った話ではなく、資料2をご覧いただくと分かるとおり、全国の居住支援法人の集まりである全国居住支援法人協議会からも同様の要望書が提出されています。
 居住支援法人が障害者や高齢者等の住居に関する支援活動を円滑に行っていくために、この居住支援法人活動支援事業の適切な補助の見直しを含め、国交省として責任を持って対応していただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(和田信貴君)
 お答えいたします。
 居住支援法人につきましては、平成29年の住宅セーフティーネット法の改正により設けられたものでありまして、障害者などの住宅確保要配慮者の居住支援を行う法人を都道府県知事が指定するものでございます。
 この新たに法制化された居住支援法人による居住支援、これを進めていくために、平成29年度から居住支援法人活動支援事業ということで、居住支援の活動の立ち上げなど、こういったものについて支援を行ってきてございます。
 委員ご指摘の本事業の補助金の額でございますが、法人の業務の項目ごとの合計額以内の額で、法人につき1000万円を限度とすることになっています。このため、法人の業務内容によっては、業務の項目ごとの合計額、これ一つ一つ積み上げていきますので、1000万円に満たない事例もございます。
 また、毎年の申請法人数によってあらかじめ定められた予算額の中で配分し、各法人の補助金額を決定するということでございますので、委員ご指摘のとおり、令和2年度補助事業につきましては、173法人に対し約6億円、平均しますと一法人当たり約350万円という交付になってございます。本事業につきまして、障害者等に対する居住支援の充実を図るため、令和3年度予算より、障害者の入居の円滑化に係る活動を実施する法人につきましては50万円を加算するという仕組みを新たに設けました。
 また、今後につきましては、居住支援法人による障害者への支援が進みますよう必要な予算額の確保にしっかりと努めるとともに、居住支援法人が配分される補助金の見当がある程度付けられるということも大切かと思いますので、前年度の補助金の平均額というようなものを各居住支援法人に周知するなど、居住支援法人が活動しやすい環境を整えていきたいと思ってございます。

○木村英子君 
 さらなる検討をお願いいたします。
 次に、障害者の住宅確保のバリアをなくすためには、居住支援の充実を図るとともに、居住支援や賃貸住宅に関わる人たちの障害者への理解を促進することが最も重要です。重度障害者である私も住宅探しには苦労してきましたが、障害者に対する理解が進んでいないことが住宅探しを困難にする大きな原因の一つだと思っています。
 資料6をご覧ください。
 障害者差別解消法の実施に伴い、国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針が作られ、宅地建物取引業に対しても障害者への差別的な行為をしないことが明記されています。
 最近では、不動産屋において障害を理由に門前払いするようなところは少なくなり、物件を紹介してくれる不動産屋が増えてきました。しかし、実際に部屋を借りる際、大家さんの障害者に対する理解が進んでいないために断られてしまうことが多いのが現状です。
 例えば車椅子を使用している場合、部屋に傷が付く、居住者以外の介護者やヘルパーが出入りされるのは困るといって入居を断ったりするケースが多くあります。また、知的障害者の場合、大声を出して周りに迷惑を掛けるのではないか、火事を起こされるのではないかと思われ、貸してくれる大家さんが少なく、入居できたとしても、入居時にいつでも退去しますという誓約書を書かされたり、火を使わないようになどの条件を付けられたりするなど、様々な障害を理由とした差別を受けています。
 こうして幾つもの不動産屋を回って家を探しても、貸してくれるところまで見付からず、家が見付かるまでに半年や一年掛かることも少なくありません。こうした現状は、社会の障害者に対する理解が遅れていることが原因です。
 資料3をご覧ください。
 実際に公益財団法人日本賃貸管理協会が平成30年度に行った調査では、賃貸人の75%が障害者の入居に拒否感を持っているとされており、この拒否感については平成27年の調査から全く変わっておらず、障害者への理解が進んでいないことが分かります。
 また、資料4のとおり、国交省の令和元年度に行った調査では、障害者の入居について条件を付加するなど入居制限をしている賃貸人が約40%にも上ると調査結果が出ています。この賃貸人の入居拒否の理由は、1位が近隣住民との協調性に不安、52%、2位は衛生面や火事等の不安、28%であり、賃貸人の障害者への理解不足からくる偏見を解消するために取組が早急に求められています。
 このような現状において、国交省における障害者差別解消法の対応指針では、宅地建物取引業のみが対象になっており、不動産管理業や賃貸人に対する記載がありません。そのため、どのような行為が障害者への差別に当たるのか、また必要な合理的配慮は何なのかが不動産管理業や賃貸人に周知されていない現状が問題だと思われます。
 今回の障害者差別解消法改正に伴い、障害者が住宅探しの際に差別されないように、国交省における障害者差別解消法の対応指針の中に不動産業者全般を含めての対応指針を作ることを検討していただきたいと思います。
 さらに、あらゆる方向からの取組を促進させることが障害者の住宅のバリアを改善していくと思いますので、改正されたバリアフリー法に定められている教育啓発特定事業なども用いて、居住支援協議会、居住支援法人、不動産事業者及び賃貸人に対して障害者に対する理解を促進するため、当事者を含めた研修を進めていただきたいと思いますが、この2点についてご検討いただきたいので、赤羽大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 
 まず第一点目のことにつきましては、障害者差別解消法に基づきまして、これまで国土交通省所管事業に対しまして障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針、ガイドラインを策定しておりまして、その中で、今ご紹介いただきましたが、宅地建物取引業者に対しましてはしっかりとそうしたことが徹底されているというふうに承知をしております。
 このことを、今回ご指摘もありましたので、改正法の趣旨を踏まえまして、しっかり見直しを行う予定でございます。また、ご指摘の賃貸住宅管理業の関連分野ですとか、また家主の皆さんに対しましても対応指針に明示する方向で検討をしていきたいと、こう考えております。
 二点目につきましては、令和2年のバリアフリー法改正によりまして、今お話ございました市町村が策定する基本構想に新たに教育啓発特定事業という、ソフト面のバリアフリーの、何というか、促進ということで位置付けをさせていただきましたので、しっかり市町村で障害者の皆さんに対する理解を深めるということを位置付けて促進をお願いしていくということにしていきたいと思っております。
 また他方、国交省、国から居住支援協議会に対しましては、現在研修等についての財政的支援も行っておりますが、こうしたことをしっかりと現場で行き届きますように、これまで以上にしっかり取組を進めてまいりたいと思います。
 以上です。

○木村英子君 
ありがとうございました。以上で質問を終わります。

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