2021.4.22特定都市河川浸水被害対策法等改正案質疑『誰にでもわかりやすいハザードマップを』

配布資料

議事録

○木村英子君 
 れいわ新選組の木村英子です。会派を代表して質問いたします。
 本日は、災害に備えるために重要なハザードマップについて質問いたします。
 平成17年の水防法改正により、各市町村のハザードマップの作成が義務付けられました。それが今回の法改正では、今までハザードマップの対象としていなかった中小河川においても対象となり、ハザードマップの作成が義務付けられることになっておりますが、昨今の温暖化による豪雨などの水害が頻発している中で、ハザードマップの作成は災害に備えるためにも最も重要なツールだと考えます。
 例えば、昨年の令和2年7月豪雨によって九州などを中心に被害が発生し、熊本県球磨村では、高齢者施設千寿園で要支援者の利用者が14人も亡くなってしまいました。当時の計画規模降雨に対応したハザードマップでは、千寿園付近において想定される浸水深は2メートルから5メートルとされていました。
 しかし、資料1のとおり、この千寿園での被害を受けて立ち上げられた検討会の資料によれば、千寿園は、土砂災害と火災を想定した避難訓練を行っていましたが、洪水氾濫による浸水のリスクがあることについては認識が薄かったと報告されており、千寿園において洪水ハザードマップが重要視されていなかったことが大きな被害につながってしまった一つの原因ではないかと思われます。
 このようにハザードマップが大変重要であるにもかかわらず、資料2をご覧いただくと分かるように、NTTドコモモバイル社会研究所が2020年に行った調査によると、ハザードマップの認知度は3割程度しかなく、周知すら徹底されているとは言えません。
 そこで、質問いたします。
 国や地方自治体ではどのようにハザードマップを周知しているのでしょうか、お聞かせください。

○政府参考人(井上智夫君) 
 お答え申し上げます。
 洪水ハザードマップの周知については、水防法において市区町村に義務付けされており、具体的には、印刷物の配布のほか、インターネットや自治会の掲示板の活用、説明会の実施、避難訓練での活用に取り組んでいるところです。また、国土交通省では、テレビ、メディアなどを通じたハザードマップに関する広報や、災害に応じて避難先の選択が容易になるポータルサイトを開設する等の取組を行っています。
 しかしながら、委員ご指摘のとおり、民間の調査では、年齢層によっては異なるものの、ハザードマップの認知率は30%程度にとどまっている、あるいは、災害が起きたときに知らなかったとか、知っていたけど使い方が分からなかったなど、実際の避難に結び付いていないことが、結果が示されており、周知がまだまだ十分ではないと認識しております。
 そのため、住民一人一人が居住地のリスクや避難経路、避難先を特定して的確な避難行動を取るために有効なマイタイムラインを作成する際にハザードマップを活用していただくなど、より効果的な周知の取組を進めてまいります。

○木村英子君 
 分かりましたが、これからより効果的なハザードマップの周知をお願いしたいと思います。
 先ほどの話の中で、テレビやインターネット等のメディアで報告されていると言われましたが、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、身体障害者など、支援がなければ情報を取得できない障害者にとって、今お聞きした周知方法ではハザードマップの情報を知ることが困難であり、ハザードマップの存在すら知らない障害者がたくさんいます。また、存在を知っていたとしても、ハザードマップそのものが障害者が利用しやすい工夫されたものになっていません。差別解消法が施行されているにもかかわらず、ハザードマップについては、障害者に対しての合理的配慮がなされていないのが現状です。一人一人の障害の特性を考慮した点字や音声、手話、漢字のルビなどの合理的配慮を尽くした分かりやすいハザードマップの作成とその周知が必要だと思います。
 このような現状において、ハザードマップの作成やその周知を工夫されている事例があります。資料3と4を御覧ください。
 最近では、聴覚障害者向けに手話での説明動画を公開している宮城県の民間団体や、長野県在住の視覚障害者の方が自ら点字でハザードマップを作る取組を行っており、兵庫県のNPO法人では、触るハザードマップという触地図のようなハザードマップを作って障害者向けのワークショップを独自に行っているなど、障害者やその支援者自らが災害情報へのアクセスをしやすいように取り組む事例も増えてきています。
 このような取組は、ハザードマップについて情報のバリアに直面してきた障害当事者たちの体験から始まっています。それは、国や地方自治体による障害者に配慮したハザードマップの取組が遅れていることが原因ではないかと思います。このような現状では、障害者が実際に水害に備えることができません。
 そこで、赤羽大臣に質問いたします。
 障害者が災害に備えるためには、それぞれの障害の特性を考慮した点字や音声などのハザードマップを作成することが必要だと思われます。そのためには、国の検討会などへの障害者参画が欠かすことのできない課題だと思います。今まで、障害当事者抜きで災害対策が進められてきたことによって、障害者の人たちが災害時に深刻な状況に置かれてきました。ですから、障害者に分かりやすいハザードマップの作成に当たっては、障害によって合理的配慮は違いますので、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、身体障害者など、様々な障害を持った当事者を検討会の委員として参画できるようにご検討いただきたいのですが、大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 
 何事も当事者の意見を反映させるということは大変重要なことだと考えておりまして、例えば新幹線のフリースペース6席が実現したわけでありますが、そのときにも、JR全社の社長とともに障害者団体の皆様の代表複数名もメンバーとして出席をしていただいて、意見交換をしながら、あのフリースペースの6席という結論に達したということでございます。
 そうしたことというのは、この災害におけるマイタイムラインとか、私は、ハザードマップもそうなんですけど、もっともう少し広く、災害弱者と言われる障害をお持ちの方、高齢者、独居、独居の高齢者、また外国の方、そうした方たちをどう地域として避難することができるのかと、そうしたことも大変重要な課題だと思っております。ですから、ハザードマップの在り方も含めて、そうした協議会はつくるように、国交省だけの範囲に収まらないかと思いますが、内閣府の防災担当も含めて指示をしたいと、こう思っております。
 また、ちょっとそもそもで言うと、ハザードマップというのは健常者にとっても非常に何か分かりにくい。多分、私、ちょっとざっくばらんに言いますと、頭のいい人が作ると大体こういうざまになって、自分たちはよく分かる。
 あと、どんな周知徹底しているかというと、多分、各市町村のホームページに載せているということなんです。それを載せて、見れば分かるんだというのは、何というか、全く現場が分かっていない。そのギャップがすごいんですね。
 だから、そこを、はっきり言って周知している努力なんて全くされていないという、私なんかから見ればそうした評価ですよね。知らせ、使っていただこうという発想にないからこのざまであって、ですから、今、国交省の都市局の若手職員で、今日、足立さんからのご質問でもご紹介いただきましたが、3Dの都市モデルのPLATEAUというものを立ち上げて、やっぱり視覚に訴えるとか、やっぱり使ってもらって何ぼだという発想が全くないんですね。もうビラも、ビラを作ることが目的で、読むか読まないかは、それはもう向こうの勝手だというのが、はっきり言ってそういう染み付いた根性だというふうに私は思っておりますので、それを転換していかなきゃいけない。
 あと、結局、私、阪神・淡路大震災からの体験からいうと、もう平素からの準備に尽きるんですよね、被害の最小化というのは。ですから、マイタイムラインといっても、一人で作る人はこれもうほとんどいないと思いますよ。だから、地域でやっぱりそうした講習をしたり避難訓練の体制をつくって仕掛けをしないと、これはもう地域防災力なんてそんな簡単に上がりませんよ、言うほど。と私は個人的に思っているので、まさに政府と地方自治体が働きかけてやはりやっていくということに初めて実効性が伴うということであります。
 その中で、ハザードマップの理解のしやすさというのは、これは健常者というか一般庶民でも分かりやすいものを作るということと同時に、障害を持たれている方にとってはこのPLATEAUでもやっぱり判別がしにくいとか、視覚障害者の方とか様々な障害の、何というか、障害によって様々なバリアというのは違うと思いますので、その点は、現場の皆様方、当事者の皆様方の声を反映する形でしっかりとそれが改善できるように、それは腰を据えて取り組ませていただきたいと、こう思っております。

○木村英子君 
 赤羽大臣からとても有り難いお言葉をいただきましたので、本当にありがとうございます。
 それでは、質問を終わります。

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