2021.4.20国土交通委員会 特定都市河川浸水被害対策法等改正案 参考人質疑

議事録

○木村英子君 
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、参考人の先生方のお話をお聞きする機会をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、質問させていただきます。
 今回の法改正では、今までハザードマップの対象となっていなかった中小河川においても対象となり、ハザードマップの作成が義務付けられることとなっておりますが、昨今の温暖化による豪雨などの水害が頻発している中で、ハザードマップの作成は災害に備えるための最も重要なツールだと考えています。
 しかし、障害者や高齢者などの要支援者にとっては様々な障害によって防災情報の取得が難しく、そのためハザードマップに対する認知や理解が進んでいない状況です。例えば、ハザードマップの周知については、NPO法人兵庫障害者センターが二〇一七年に県内の障害者に向けて行ったアンケート調査で、知的障害者と精神障害者の七割弱、視覚障害者の五割弱がそもそも災害ハザードマップを知らないと回答しています。実際に災害が起こったときには、障害者や高齢者などの災害弱者が犠牲になる可能性が高いのが現状です。
 そのような状況に備えるためにもハザードマップの周知が必要だと思いますが、そのためにはどのような取組が必要なのか、先生方の御意見をお聞きしたいと思います。
 また、災害においては誰もが命を守るための備えが必要ですが、ハザードマップが障害を持っている人たちにも分かりやすいものになっていません。特に、誰かの支援が必要、なければ避難できない障害者や高齢者にとって、一人一人の障害の特性を考慮した点字や音声、手話、漢字のルビなどの合理的な配慮を尽くした分かりやすいハザードマップの作成が必要だと思います。
 障害者が分かりやすいハザードマップの作成の方法や取組などについて、先生方のお考えをお聞きしたいと思います。
 以上の二点について、小池参考人の方から順番にお願いしたいと思います。

○参考人(小池俊雄君) 
 どうもありがとうございます。
 今回の法案の対象にはなっておりませんけれども、先ほど議論のあった個別計画、これは内閣の防災の方で考えていただいていると思いますが、これがまずは枠組みとしてはあるのではないかと思います。
 あわせて、今議員から御指摘のありました障害者、視覚障害であるとか、特に、マップでありますので見るということを通してやはり情報が伝わりますので、それを補う手だてというものは、今議員、委員から御指摘をいただきまして、私自身、はっとするところがございます。
 大変恐縮ですが、今答えを私は持ち合わせておりませんので、今日の議員の御指摘踏まえて是非考えていきたいと思います。
 ありがとうございました。

○委員長(江崎孝君) それでは、首藤参考人。

○参考人(首藤由紀君) 
 御質問ありがとうございます。
 私も、小池参考人と同様に、今すぐにお答えできる力は持ち合わせておりません。御指摘のとおり、障害をお持ちの方ですとか、そういった方々にハザードマップを周知する方法というのは、実際には、なかなか研究例も拝見したことは私自身はございませんし、ましてや実践例を具体的に存じ上げているということもございません。ただ、一言言えるとすれば、やはり個別に丁寧にお伝えするということが手段、唯一の手段ではないかというふうに考えております。
 その意味で、先ほどもありました個別支援、個別避難計画ですね、そちらも作る中で、ハザード全体をお知らせする必要はなくて、その方固有のハザード、リスクをお伝えすればいいと思いますので、その方がお住まいの近くにはどんなリスクがあるのか、いざというときにどこに避難したらいいのか、避難の手段や、支援を受ける方はどのように体制をつくるのか、そういったことを個別避難計画の中で細かく検討していく必要があるのかなというふうに考えております。
 以上でございます。

○参考人(嶋津暉之君) 
 御質問ありがとうございます。 私も今の御質問に答えるちょっと知識がなくて申し訳ないんですけれども、確かにおっしゃるとおり、この災害弱者に対してこのハザードマップの周知をどうすればいいかということ、それから、もう一つ御指摘のあった災害弱者に分かりやすいハザードマップをどう作っていくかと、これ重要な課題だと思いますね。抜けている点、今までのこの災害対策抜けているものだと、これ、重要な部分がそれ落ちていると思いますので、是非、それを今後、国交省を始め各地方自治体も含めて、その辺の内容を具体化するようお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○木村英子君 
 ありがとうございました。
 次に、国交省が推奨しているマイタイムラインや要支援者のための個別避難計画について、各先生にお尋ねしたいと思います。
 首藤先生が委員として参加されている令和元年台風第十九号等による災害からの避難に関するワーキンググループにおいて、住民一人一人が自らを守るために、防災行動を時系列に整理して災害に備えるためのマイタイムラインの作成を推奨されていますが、マイタイムラインの存在は世間には余りまだ知られていないというところです。災害が頻発している中で、このマイタイムラインはとても重要なツールだと考えています。
 どうすればその周知が進められていくのかをお聞かせ願いたいことと、また、支援が必要な障害者にとっては、一人一人の実情に合わせた個別避難計画が立てられることになっています。しかし実際には、障害者に対しての個別避難計画が作成されているのは全自治体の僅か一二%程度にすぎません。差別解消法が施行され、合理的配慮が進められている今日においても、まだまだ障害者に対する理解は少なく、個別避難計画に携わってくれる支援者がとても不足している状況です。
 このような中で、災害時において障害者が支援者とともに安全に避難していくためには、この個別計画はとても重要だと思いますが、この計画をもっと広めていくためにはどのような取組が必要なのかをお聞かせ願いたいです。
 また、個別避難計画を作るに当たって、不足している支援者を増やしていくためにはどのような対策が必要かもお答えをお願いしたいです。
 以上の三点について、小池先生から順番にお答えをお願いしたいと思います。

○参考人(小池俊雄君) 
 まず、マイタイムラインの作り方につきましては、最近いろいろなツールができてきております。地域の情報、先ほど私の方から、七ページの資料、一番上の資料で、日本全国千七百四十二の市町村にいろいろ情報が伝わるように、リアルタイムで伝わるようになっておりまして、そういう情報とリンクさせる形でマイタイムラインを作るツールというものが私の知っている限りでも二、三か所で始まっておりますので、そういうものがこれを広げるための一つのステップかとも思います。 十分な今知見を、議員にお答えできるだけの十分な知見を持ち合わせておりませんが、今私が理解しているところはそういうところです。
 それから、個別避難計画に対して、不足する支援者を増やす方法、それからその計画の作り方の支援につきましては、これも私自身が十分把握できているところではございませんので、勉強を深めたいと思います。
 お答えできなくて大変申し訳ございません。

○参考人(首藤由紀君) 
 いずれも大変難しい御質問をいただいたというふうに認識しております。
 マイタイムラインについては、御指摘のとおり、非常に有効な手段ですけれども、まだまだ多くの国民の方が御存じになるという状況にはなっていないというのは御指摘のとおりです。
 今御紹介あったように、ツールもできているようですけれども、加えまして、私が存じ上げている範囲では、学校現場で子供さんたちと一緒にマイタイムラインを作る、で、御家庭に帰って保護者の方と一緒に考えてみるという取組も徐々に進んでいるというふうに伺っております。
 そういった形で、草の根的といいますか、いろいろな場面でマイタイムライン作りを地道に進めていくという以外になかなか方策はないのではというふうに思っておりますし、そういった面で、私もお力添えをできることがあればやってみたいというふうに考えております。
 それから、個別避難計画についても、御指摘のとおり、まだまだ作れているところが非常に少ないということが現状であることは私もよく認識しておりまして、それには、市町村の方々も非常にお忙しい中でなかなか手が回らないですとか、御指摘のように、支援者がなかなか見付からないということが一つの大きな課題となってなかなか進まないということはおっしゃるとおりでございます。
 どうしたらいいかについても、こうすればいいですというお答えを申し訳ないんですけれども私持ち合わせておりませんが、一つ思いますことは、支援者の方というのは、やはり、個別避難計画のためにその支援を要する方とつながるのではなくて、ふだんの生活の中でそういった方々とお近づきになって交流のある方がやはり支援者になってくださるというふうに考えております。
 その意味で、障害をお持ちの方ですとか御高齢の方がいかに地域コミュニティーの中にしっかりと溶け込んでいくかということがすごく大切だと思っておりますので、そういった福祉の面の活動と併せて、防災対策としての個別避難計画作り、支援者の確保もやっていただければいいのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。

○参考人(嶋津暉之君) 
 御質問ありがとうございます。
 重要な御指摘をされておられると思うんですよね。ですから、そういう災害弱者に対する支援者をどうやって増やしていくかという、本当に重要な問題ですよね。
 どうやったらそういうことができるかというシステムづくりそのものから始めていかなきゃいけないと思うんで、ちょっとその辺の知識、私本当持っておりませんのでお答えすることはできないんですけれども、重要な御指摘をされていると思いますので、是非この委員会でもそのことを取り上げて、実際の行政に生かせるよう、その制度を考えていただきたいと思います。

○木村英子君 
 先生方、ありがとうございました。
 質問は以上です。

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