2019.12.3国土交通委員会「新幹線の車いすスペースに関する問題点について」

配布資料

議事録

○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。会派れいわ新選組を代表いたしまして、質問いたします。
 私たち障害者にとって、社会的障壁の一つに交通アクセスのバリアがあります。今回は、障害者の社会参加を促進するために必要な鉄道の問題を当事者の目線から質問させていただきます。
 まず、資料一を御覧ください。
 この写真は、新幹線の車内の車椅子スペースの写真です。現在、一列車の新幹線のうち、一つ若しくは二つしか車椅子スペースが用意されておりません。新幹線の車椅子スペースを利用する場合、資料一の赤矢印の座席を購入することによって隣の車椅子スペースも使用することができます。
 しかし、私の場合、座席には座れないのに、車椅子スペースを使うためには必要のない隣の座席をわざわざ買わなければなりません。その上、JRのホームページでは、車椅子の方が車椅子スペースを予約する場合は二日前までに切符を購入するようにお願いしますと書かれており、前日や当日では購入ができないような案内がされています。
 このことについて問合せをしたところ、新幹線に乗る前日までは優先的に車椅子スペースを予約できるとの回答がありました。しかし、当日には一般の方にも販売されるようになっているそうです。
 一列車の新幹線には一から二席しか車椅子スペースがありませんので、当日に車椅子の方が新幹線の座席を購入したくても、既に一般の方に買われてしまって、本来そこのスペースしか使うことのできない車椅子の方は利用することができなくなってしまうということが多いのです。
 ネット上では、車椅子スペースについて、ベビーカーや大きな荷物を置くことができる席というように紹介しているサイトなどもあり、先日、実際に車椅子スペースを利用してみたところ、ベビーカーを置いて使っている人もいました。
 車椅子スペースはたった二席しかないにもかかわらず、当日に一般の方に販売してしまったのでは、車椅子の方が身内の不幸などで緊急に新幹線を利用したいときに車椅子スペースを使えなくなってしまうことになります。これでは正確には車椅子スペースとは言えないのではないでしょうか。
 なぜ車椅子の方が優先的に購入できるのは前日までとされているのでしょうか。車椅子スペースだというのであれば、そもそも二つしか席がないのですから、当日まで車椅子の方のみ購入できるようにするべきだと思います。
 大臣にお伺いします。
 この状況を大臣は御存じでしょうか。また、バリアフリー法はバリアをなくすための法律ですが、当日車椅子スペースを使えないのではバリアはなくなりません。この状況は、バリアフリー法に基づく省令や、鉄道会社向けに書かれたガイドラインの車椅子スペースを一列車ごとに二以上設けなければならないと書かれている部分にも実質的に反していると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 今、木村委員の御指摘はもうほとんどもっともだというふうに思っております。
 まず、そもそも、私、党の部会長のときから、バリアフリー社会を進めるために、これだけ、移動のことということの議論の中で、JR、特に新幹線は、十六両編成で一席しか車椅子対応がなかったんですね。そのことについて、相当、随分申入れをしたんですけど、それが、去年からかな、去年からようやく二席になったということで、私は大変このJRの対応については残念に思っています。たった二席しかないスペースをこういうふうに規制を入れているということは、私は大変、個人的ではありますけど、けしからぬ話だというふうに、もう率直に言って、申し上げておきたいと思っております。
 省令、ガイドラインにおきまして車椅子スペースを確保するよう義務付けているという目的は、車椅子利用者が確実に車椅子スペースを利用できるようにすることを意図しているものでありまして、このような車椅子利用者の皆様のニーズに可能な限り応えることが必要であるというふうに思っております。
 まさに、我が国は二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを目指して、そのレガシーとして共生社会の実現ということで、バリアフリーの社会というか、ユニバーサルデザインの社会を強力に推し進めるという政府の強い意思をJR各社はしっかりと受け止めてほしいと、あえてこの委員会の場で議事録にしっかりと残したいと、こう思っております。
 そのことをしない限り、私は、大勢の外国人のお客さんから、既に相当ひんしゅくを買っているのではないかと。車椅子のスペースだけではなくて、あれだけ大きなスーツケースを置く場もほとんどない。収納するスペースって限られていますので、これ本当、私、事故が起こってからでは遅いですし、また、ベビーカーについても大変皆さん御苦労されていて、そのことによって通行がまた支障しているというようなことは抜本的な対策を講じてほしいと、御質問いただきましたので、あえて本委員会で、大臣としての発言として申し上げたいと思います。
○木村英子君 ありがとうございます。しっかりその辺はやっていただけたらと思います。
 次に、新幹線「のぞみ」の例ですが、一つの列車に千三百人以上が乗車できるようになっています。しかし、そのうち車椅子スペースはたった一、二席しかありません。差別解消法が施行された現在において、余りにも車椅子スペースが少ない、少な過ぎます。このような状況では、障害者の社会参加が妨げられる一方です。
 再び大臣にお伺いしたいのですが、来年にはオリンピック、パラリンピックが開催されることになっており、国内の車椅子の方はもとより、海外からも車椅子の方がたくさん訪れる予想がされます。例えば、十台以上の車椅子の方が来た場合にはまたどのような対応をすることになるのでしょうか。教えてください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の、例えば十人以上の車椅子の利用者が乗車をされるというケースでございますけれども、これ、まず事例を調べてまいりました。記録が残っておりましたのが、JR東海とJR東日本の新幹線ということでございまして、その記録によりますと、両社合わせまして、合計で、平成二十九年度に三件、平成三十年度に三件、十人以上の御利用が一度にあったということでございます。
 ちなみに、その際にどういう対応をしたかということでございますけれども、その場合には、車椅子利用者の方々に対して、事前に折り畳み式の車椅子で乗車をしていただけるようにお願いをした上で、利用者の方には普通席に移動していただいて着席をしていただいて、車椅子は折り畳んだ上で車両の後方などに収納したということでございますとか、折り畳み式車椅子での対応が困難な方につきましては車椅子スペースや多目的室を御利用いただいたということでございます。また、このような対応が円滑に行われるように、車内の係員の数を増やして対応をさせていただいたということでございます。
 委員御指摘の、来年の東京、特にパラリンピックにおける輸送に関しましては、選手団、観客で車椅子利用の方々がたくさんお見えになるということが考えられ得るわけでございますけれども、まず、選手団の皆さんにつきましては、これは現在、大会組織委員会の方で、バスを中心とした輸送計画を検討中でいらっしゃるというふうに聞いております。一方で、観客の皆様などにつきましては、現在、大会の組織委員会からJRに対して、対応方法に関して具体的な御相談を行っていただいているところであるというふうに承知をしております。
 国土交通省としても、必要な協力をしっかりと行ってまいりたいと考えておるところでございます。
○木村英子君 ありがとうございます。
 座席に座れる方も多いとは思いますけれども、私のように車椅子から降りることができない乗客にとっては、スペースの確保というのはとても重要な問題になります。
 次に、資料二を御覧ください。この写真は、私が東海道新幹線に試しに乗ってみた際の写真です。私の車椅子が通路の半分を塞いでいるのが分かると思いますが、そのために、通行人が横向きにならないと通路を通ることができなくなっています。そこにはお土産などのカートとかも多分通れないというふうに思いますが、再び大臣に今後の改善をお願いしたいと思っております。
 一つは、車椅子スペースの購入について、当日でも車椅子の方が優先して購入できるようにしていただきたいです。二つ目には、席の数についても、現状の数では足りないので、省令を見直して数を増やしていただきたい。最後に、大型の電動車椅子など、多様な車椅子に対応できるようなスペースも含めての改善をお願いしたいと思います。
 お答えお願いします。
○政府参考人(水嶋智君) まず、通路の事実関係だけ、私の方から先にお答えをさせていただきます。
 委員からいただきました、この通路を塞いでしまうということで、ちょっと私ども調べさせていただきました。
 恐らく、この写真から推察するに、この新幹線の車両がN700のAという現行の車両でございまして、この車椅子が入って、恐らく推定で三十二センチぐらいの隙間しか確保できていないんじゃないかなというふうに思われます。これ、今のルールでは車椅子スペースで七十五センチを車両の中に確保するようにということをしておるんでございますけれども、実際こういうふうな形で通路の幅が三十センチぐらいになってしまいますと、普通の方も横を向いて通ったりとか、非常に通りにくい状態になってしまっているということだと思います。
 このため、私どもガイドラインを改正をしておりまして、令和二年四月以降の新造の車両につきましてはこの幅が四十センチ以上確保できるようにしなければいけないというふうにガイドラインを改正をしたところでございまして、来年の四月以降に新たに導入される車両につきましては少なくともそこの部分は改善をされる予定になっておるところでございます。
 事実関係だけ、まず申し上げたところでございます。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 私、かつて障害を持たれている知人からこのバリアフリー法の作成をしたときに御指摘をされて今でも忘れられないことがございまして、新幹線を利用するときには、前日に新幹線あした何時に利用するという連絡をしなければいけないと。そうすると、屈強な駅員さんが四人から六人いて、車椅子を両脇に抱えられて階段を上ったと、当時はエレベーターとかエスカレーターが完備していない時代でしたから。そのときに何が一番困るかというと、周りのお客さんからじろじろ見られるんだと。障害を持っている我々でも人格とか基本的な人権とかということはあるって、そういうことを本当に政治家は分かっているのかという指摘を受けたことは生涯忘れられない指摘でありました。
 そういった観点がやっぱり一番大事なのであって、バリアフリー政策というのは、この前も言ったかと思いますが、福祉的な施しみたいな感覚でやっていたらずっとこういった問題は、課題は解決しないというふうに私は思っておりますので、このことは、本当にJRについてはもう一度抜本的にしっかり見直すように、その見直しの際には障害者の団体の皆さんの声を直接聞くようにということを強く求めるというふうに決意をしております。興奮し過ぎてちょっと、ほか何か答えていないかな、ということですね。それで大丈夫ですか、ほかは。
 ですから、ユニバーサルデザインというのは障害者の方も健常者の方も皆同じだということでありますし、我々だっていつその立場になるか分からないという、そういった角度で物事を進めていかなければいけないと。思い違いをしている業界団体はもう一度考え方を一掃していただきたいと思っておりますし、そう指導したいと思っております。
 以上です。
○木村英子君 ありがとうございます。
 障害を持って車椅子を利用している人たちは、やはり心のバリアの面でもありますし、やっぱり人に迷惑を掛けてしまうんじゃないかと思って利用を控えてしまうような方も増えておりますので、やはり早急に合理的配慮を進めていただけたらと思いますが。
 無事にやっぱりパラリンピックが事故がなく、そして安全に行われるように思っておりますので、是非大臣には一度視察に行っていただいて、実際に車椅子に乗られてやっていただけると、かなり揺れもひどいですし、そういうのをしていただけたらと思っております。
 質問を終わります。以上です。

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