2019.11.28国土交通委員会:港湾法の一部改正案審議『風力発電の立地に関して、なぜ付帯決議を無視するのか』

2019.11.28国土交通委員会:港湾法の一部改正案審議『風力発電の立地に関してなぜ付帯決議を無視するのか』

○木村英子君 よろしくお願いします。れいわ新選組の木村英子です。会派れいわ新選組を代表いたしまして、質問いたします。
 今回の港湾法の一部を改正する法律案より一年前の二〇一八年十一月三十日に海洋再生可能エネルギー発電設備の設置に係る海域の利用の促進に関する法律が成立いたしました。この再エネ海域利用法は、洋上風力発電事業を行う促進区域を政府が指定し、その後、発電事業者を公募によって決めましょうというものでしたが、これが成立する際、洋上風力発電を設置するに当たって、生物多様性への影響が懸念として上がりました。衆参共に、附帯決議で、生物多様性への影響の回避についても考慮することや、海洋生物への影響を最小限にとどめるという文言が書き加えられました。したがって、風力発電の風車を建てる地域の選定に当たっては、当然、環境保全のために生物多様性への影響が考慮されるべきであるはずです。
 しかしながら、今年の五月に閣議決定された海洋再生可能エネルギー発電設備に、設備に係る海域の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針では、生物多様性への影響の回避についても考慮するということや、海洋生物への影響を最小限にとどめるという具体的な内容は明記されていませんでした。ちょっと水分取ります。
 そして、今年の六月に発表された海洋再生可能エネルギー発電設備、設置……。ちょっと済みません、ちょっと読んでもらってもいいですか。
 済みません、代読します。
 エネルギー発電設備整備促進区域指定ガイドラインでは……
○委員長(田名部匡代君) 済みません、一旦ちょっと待っていただけますでしょうか。
 時間を止めてください。
   〔速記中止〕
委員長(田名部匡代君)  速記を起こしてください。
○木村英子君  海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域指定ガイドラインでは、促進区域の選定において配慮すべき事項として、航空路や海底ケーブルについての記述はありますが、生物多様性への影響への回避についても配慮することや、海洋生物への影響を最小限にとどめるという内容については、具体的なことは書かれていません。
 質問いたします。このガイドラインでは、生物多様性への影響の回避についての配慮や海洋生物への影響を最小限にとどめるということを具体的にどのように実現させるのでしょうか。また、これで附帯決議は守られるのでしょうか。
○政府参考人(高田昌行君) お答えいたします。
 本年六月に公表した促進区域指定に関わるガイドライン、海上再生可能エネルギー発電設備促進区域指定ガイドラインでございますが、ガイドラインは、洋上風力を念頭に促進区域の指定の基準や手続について具体的な考え方や実際の運用方針を記載したものであります。
 同ガイドラインでは、七、その他促進区域の指定に当たっての考慮すべき事項におきまして、海洋環境の保全や海洋の安全の確保等に関し、配慮すべき事項の有無やその内容について関係行政機関の長に確認をすることと記載をしております。これに基づきまして、促進区域の指定において生物多様性への影響の回避についての配慮が行われるものと考えております。。
○木村英子君協議会で決まったことに対して環境大臣が意見するということではありますが、ガイドラインの中では海洋環境の保全について具体的なことが書かれていません。生物多様性の影響の回避をするためには、環境大臣はどのような内容について意見するおつもりでしょうか。
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律第八条第五項に基づく、経済産業大臣及び国土交通大臣から環境大臣への協議については、現時点ではまだその実績はございませんが、今後、協議があった場合には、一般論として言えば、鳥類や海生生物の保全、国立公園等に係る環境保全等の観点から、これを考慮することになると考えております。
○木村英子君 ありがとうございます。
 立地選定の段階で環境アセスメントを国が責任を負って行うべきと思いますが、なぜそうしないのでしょうか。また、事業者が行うアセスメントにおいても、責任を持って環境省がチェックして、環境に問題があると分かったときにはちゃんと歯止めとなってくれるのでしょうか。
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
 促進区域の指定に関するお問合せにつきましてですけれども、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に係る環境大臣協議において、環境省として必要な意見を述べることとしており、この協議を経て、促進区域の指定が行われるものと承知しております。
 また、事業者を公募する際の公募占用指針においても、環境大臣への協議の結果、反映すべき環境配慮に関する事項がある場合には勘案されることになると承知しております。
 また、事業者が実施する環境アセスメントの結果についてのお問合せでございますが、これにつきましては、環境影響評価法及び電気事業法に基づく環境影響評価手続において、事業者は経済産業大臣に環境影響評価に係る図書を届けることになっております。経済産業大臣は、対象事業に係る環境影響評価について必要な勧告をすることができるようになっております。
 また、経産大臣は勧告を行う場合に、環境大臣に環境の保全の見地からの意見を聞かなければならないとされており、環境省としてもその機会に必要な意見を述べることとしております。

○木村英子君 環境アセスメントについてですが、事業所に任せることになっていますが、環境に影響があることが分かっても、利害関係のある事業所は後戻りできないというふうに思います。
 現在の立地選定の方法では環境への配慮は不十分であり、それを前提とした本改正案での港湾設備が進めば、今後、各地での生物多様性保全が無視される可能性があります。
 陸上風力発電の例ではありますが、日本の至る所でバードストライクが起きて、多数の鳥に被害が出ており、洋上風力発電にも同じようなことが起こることが考えられますので、十分な調査をした上で風車の設置をするべきだと思います。私は、風車の設置を決める前に、事業者任せにせず、国が責任を持ってアセスメントをするべきだと考えます。環境の安全を置き去りにした状態では、問題を抱えたままの洋上風力発電の促進に賛成することはできません。
 以上で質問を終わります。

~反対討論~

木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。
 会派を代表して、港湾法の改正案について反対の討論を行います。
 本法案は風力発電事業の推進のための改正案ですが、風力発電のような再生可能エネルギーを活用していくことについてはとても必要性を感じております。しかし、自然環境や生物への影響が出た場合には、その状態を元に戻すことは簡単ではありません。自然環境や生物への影響がないという保障がない限り、洋上風力発電事業を推し進めていくことに賛成することはできません。
 環境省は、渡り鳥の飛行ルートのデータなどを協議会に渡しているという話ですが、風力発電設備を設置する当該地域に生息するウミネコなどの海鳥の行動圏調査の結果などは提供していないということです。これでは調査が不十分であり、生態系が壊されるのではないかという不安を拭い去ることはできません。
 日本の至るところで陸上風力発電の風車へのバードストライクが起きている現状において、同じような事態が洋上風力発電にも十分起こり得ることが考えられます。環境に十分配慮した調査を風車の設置前に行った上で、事業者任せにせずに、国が責任を持って環境アセスメントを行うべきと考えます。
 環境を優先した安心のできる風力発電の実現ができる保障がなければ、保障がなされない以上、本法案には反対いたします。
 以上です。

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