2025.4.9 参議院 国民生活・経済及び地方に関する調査会「誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築に向けて」(委員間の意見交換)

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 この3年間の国民生活調査会のテーマは、誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築ですが、障害者が取り残されずに生きるには余りにもバリアの多い社会状況になっています。
 1年目の調査会では、長年にわたり日本の障害者運動を牽引されてきた障害当事者の尾上参考人が、自身の施設での体験から、脱施設を訴え、養護学校と普通学校に通い、健常児と一緒に学ぶことの大切さを実感したことから、分離教育に反対し、子供の頃からのインクルーシブ教育の実現に向けて、2022年の国連の総括所見を踏まえた障害者基本法の改正を訴えていました。
 2年目の調査会においても、東京大学の教授である小国参考人が、特別支援学校や学級を推進している日本の分離教育の中止と、同じ教室で共に学ぶフルインクルーシブ教育への転換を訴えていました。また、長年バリアフリーに取り組んでこられたDPI日本会議で活躍している障害当事者の佐藤参考人からは、新幹線や鉄道などの交通のバリアフリー化や、車椅子で入れる飲食店などの小規模店舗、映画館や劇場といった建物のバリアフリーの活動に取り組んでいる中で、特にバリアフリー化が遅れている小規模店舗などの義務基準の見直しが必要であると提言されました。
 さらに、聴覚障害当事者である伊藤参考人からは、聴覚障害者が職場や学校などで手話などの情報保障がされていない厳しい現状を話され、社会参加するための情報保障はもちろんのこと、特に災害時には情報保障がほとんどなく、避難所に安心して避難できず、情報がなく逃げ遅れる人も多く、健常者の2.5倍の死亡率となっていることなど、災害時の課題を提言されました。
 今年2月には、日本障害者協議会の藤井参考人から、日本の障害者の現状はまだまだ家族依存となっており、障害者が地域で安心して生きられる所得保障などの制度が整っていないことを指摘され、また、優生保護法の補償法ができた中で、優生思想をなくすためにもこれから国会で行われる検証をしっかり行っていただきたいとの提起がありました。
 これら参考人の方々からの提起にあるように、教育、就労、交通、建物、防災、医療、介護、地域移行など、誰もが地域で生きるために欠かすことのできない保障や権利であるにもかかわらず、障害者には保障されていない社会の仕組みや制度を変えなければ、障害者を始め誰もが取り残されない希望の持てる社会が実現しないことを痛感しました。
 障害者への偏見や差別がなくならない現状において、2022年に障害者権利委員会から出された勧告を日本が守り、速やかに実行していくことが求められていると思います。誰もが取り残されず希望の持てる社会の構築を実現していくためには、この調査会で当事者の方々から提言されたように、私たち抜きに私たちのことを決めないでというスローガンの下、あらゆる場面における政策立案から決定までの当事者参画を保障することを政府へ提言していくことが最も必要だと考えます。
 以上で終わります。

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