○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
会派を代表して、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案に賛成の立場から討論いたします。
1948年に全会一致で成立した優生保護法は、不良な子孫の出生を防止するという優生思想の下、多くの障害や遺伝性の病気のある方たちに対し不妊手術や人工妊娠中絶を強制し、子供を産み育てる権利と人間としての尊厳を奪ってきました。旧優生保護法の成立によって、当時の社会に蔓延していた障害や疾病を理由とする差別や偏見は、優生思想を更に助長させ、多くの被害者の未来を壊してきました。
私の友人には、生理の処理で迷惑を掛けたくないという理由で不妊手術を受けてしまった人や、妊娠しても自分で育てることができないのに周りに迷惑を掛けるなと言われ、無理やり病院に連れていかれて中絶をさせられた人がいます。私自身も、自分でトイレもできないくせに、子供も産めないんだから生理なんかない方がいいでしょうと言われるたびに、女性であること、そして生理があることが自分をこんなに苦しめるなら、いっそ子供を産めない体になった方がいいとさえ思ったこともありました。
この法律によって、少なくとも2万5千人以上の方が強制不妊手術をされ、さらに人工妊娠中絶を強いられた方は5万人以上にも上ると言われています。このような人権侵害に対し、1970年代から障害や遺伝性の疾病のある当事者たちが声を上げる中、国連の人権規約委員会や障害者権利委員会からも何度も勧告を受けているにもかかわらず、今年7月に最高裁の司法判断が出されるまで補償法が検討されず、被害者の方の尊厳や人権が75年以上も放置されてきたことに、当事者として憤りを禁じ得ません。
今回の補償法が成立することで、長い苦悩に耐え続けてきた被害者の方たちにとって、これから生きる上での一筋の光明になると信じています。しかし、障害者や遺伝性の疾病のある方、女性、ハンセン病の方など、差別や偏見がなくならない現状において、優生思想の根絶への闘いはこれからも続きます。私たち国会議員が真に行わなければならないことは、旧優生保護法下で何が行われ、なぜ補償法が、この成立がこんなにも遅れたのか徹底的な調査、検証をするとともに、この旧優生保護法の問題を過去のものとはせず、国会と全省庁が、障害当事者とともに、差別や偏見をなくし、被害者の方の尊厳を回復する取組を継続していくことが責任であると申し上げ、私の賛成討論を終わります。以上です。