2024.6.4 参議院 内閣委員会 子ども・子育て支援法改正案質疑「子どもが安心して保育をうけられるように」・反対討論

○木村英子君 
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、子ども・子育て支援法案の「こども誰でも通園制度」について質問します。
 今回の法案では、仕事をしなくても乳幼児を保育園に預けることができる制度となっています。昨年施行されたこども基本法では、基本理念として、「全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。」となっていますが、そもそも現在の保育園は誰でも通園できる仕組みにはなっておらず、障害児のいる家族が安心して保育園に預けるには制度上の制限があり、事実上障害者が取り残されている現実があります。
 例えば、現在の保育時間の標準は11時間となっていますが、資料1のとおり、障害児の保育を8時間以内に制限したり、延長保育を認めないということを要綱で定めている区市町村があります。

資料1

この記事によると、台東区に住む40代女性は、身体障害と知的障害がある5歳のお子さんを保育園に預けていますが、保育時間が8時間以内と制限されていること17時までに迎えに行かなくてはならず、働く時間が短くなってしまい、会社からの手当や基本給が減らされ、困っている状態でした。その後、報道によって、新宿区、台東区、中野区では要綱の規定を一部削除する予定となったそうですが、資料2のとおり、北海道や東北などでも要綱で制限している自治体があります。

資料2

 制限を設けている理由としては、職員の確保が難しい、障害があるお子さんの心身の負担があるといった理由を掲げていますが、そもそも障害の有無で一律に保育園に預ける時間を制限することは差別的取扱いに該当します。障害児や健常児問わず、区別されることなく安心して保育園に預けられる体制をつくるべきと考えます。
 また、医療的ケアの必要な子どもの保育の預かりについては、資料3のとおり、3歳以上であることなど、年齢によって制限している自治体もあります。

資料3

そもそも、医療的ケア児については、2021年に医療的ケア児支援法が成立し、地方公共団体は医療的ケア児とその家族への支援に責務があると明記されています。
 障害者差別解消法が施行されて8年がたちましたが、いまだに障害を理由として保育園の利用を制限している自治体が数多くあります。国としては、このような制限を設けている自治体に対してどのように考えているのか。各自治体が障害児の保育に関し制限を設けず、健常児と同じように保育園に通えるように事務連絡を発出するとともに、早急に改善を図っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤鮎子君)
 お答え申し上げます。
 こども家庭庁として、障害の有無により保育時間や受入れ年齢の取扱いに差異を設けておりませんが、一部自治体においてこうした制限を設けている事例があることは承知をしてございます。
 その背景としまして、保育人材の確保が困難なこと、また、障害のある子どもの健康、安全面への配慮を十分に行うことが難しいことなどの理由が考えられ、こうした場合には直ちに差別的な取扱いに該当するものではないと考えますが、事情もなく単に障害を理由として一律に保育時間ですとか受入れ年齢の取扱いに差異を設ける、そういったことは適当ではないと考えております。
 こども家庭庁としましても、障害のある子どもたちが適切な保育を受けられるよう、これまでも地方交付税措置の拡充等を行ってまいりました。また、今後も、単に障害を理由として一律に保育時間の取扱いに差異を設けることは適当ではないということと、また、障害者差別解消法のガイドラインにおきましても、人的体制、体制整備が整っており、対応可能であるにもかかわらず、障害者の福祉サービスの利用を拒否すること、これは差別的取扱いに当たるとガイドラインにおいても例示をしております。
 こういったこと、これらのことについて、委員のご指摘も踏まえまして、そういった対応、これに、ガイドラインですとか差異を設けることが適当ではないという考え方、これに沿った対応が求められるのだということについて、しっかりと事務連絡により自治体に周知をしてまいります。
 なお、医療的ケア児の受入れに当たりましては、健康面や安全面のほか、医学的な観点などから配慮が欠かせないため、一定の要件で区切ることがやむを得ない場合もあるとは考えられます。このため、まずは調査研究において、障害児の受入れ状況や受入れ後の安全面への配慮事項、保育士や看護師の人材確保に向けた工夫、事故発生時の対応方針などについて実態をよく把握した上で、今後、障害児、入所の判断等に関して必要な助言を行っていくことができるよう検討を進めてまいります。

○木村英子君
 障害児が差別的取扱いがされないように、今後も保育園に安心して通えるように、早急に改善をお願いしたいと思います。
 次に、保育士不足についてお聞きします。
 資料4をご覧ください。近年、保育施設等での重大事故は、平成25年は399件起こり、令和4年は1896件と、約4.75倍と増え、子どもが犠牲になる事故が後を絶ちません。

資料4

 例えば、資料5のとおり、昨年12月には、世田谷区の認可外保育施設で生後4か月の乳児がうつ伏せ寝の状態で寝かされ、死亡したという事故が起こりました。

資料5

国はガイドラインで、子どもの睡眠中は定期的に呼吸や体位、睡眠の状態を点検するよう示していますが、園長が不在のときや複数の子どもの対応に追われていたときなど、点検を徹底できなかったということが明らかにされています。
 また、2021年には、福岡県中間市の保育園で5歳児が炎天下の送迎バスに9時間取り残されて熱中症で死亡した事件が起こり、その翌年の2022年にも、静岡県牧之原市の認定こども園で当時3歳だったお子さんが通園バスに置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなったという痛ましい事故が立て続けに起こっています。
 その後、2023年にはバスの、バスへの置き去りがなくなるように通園バスへの安全装置の義務化がされましたが、保育士がきちんと見回り、保育園児が置き去りになっていないかを直接確認することが不可欠であると言われています。
 また、こども家庭庁が令和4年に行った調査では、資料6のとおり、不適切な保育が914件、そのうち虐待が90件起こり、不適切保育や虐待事件が相次いでいることが全国の自治体で確認されています。

資料6

 保育中の子どもへの虐待や不適切な対応による事故や死亡など、近年の報道を見ても子どもの犠牲が増え続けています。例えば、資料7のとおり、給食を園児が吐き戻すまで食べさせ続けたり、障害児に馬乗りになって虐待をしたり、転ばせて背中を押さえ付ける暴行をするなど、ここ数年だけでも数えられないほどの虐待事件が報道されています。

資料7

 このような子どもたちの悲惨な事故や事件が起こる大きな理由の一つに、保育士不足に加え、国の保育士の配置基準に問題があると思います。特に4、5歳の配置基準については、1948年から76年間ずっと同じ基準が使われ続けています。時代とともに子どもたちの環境も変化している中で、76年間も基準が見直されてこなかったのですから、子どもへの虐待や事故が増えるのは当然です。そして、やっと今年の4月に、初めて配置基準が改正となり、資料8のとおり、3歳児15人に対し保育士1人、4,5歳児は25人に対し1人の保育士を配置する基準に変更されました。

資料8

 しかし、海外に比べ、日本は1人の保育士が担当する子どもの人数が圧倒的に多く、まだまだ不十分な状態です。例えば、資料9の福島大学の大宮教授の資料では、スウェーデンでは、5歳児の場合、保育士1人が最大でも6人のお子さんを保育することになっており、ニュージーランドでは10人、ドイツやイギリスでも最大13人と、日本よりも手厚い基準となっています。

資料9

 次に、資料10をご覧ください。これは保育士さんを対象に行われたアンケートですが、自らも不適切な保育を起こしかねないと思いますかという問いに対して、77%の保育士が、自らも不適切な保育をしかねないと不安を抱いていると回答しています。

資料10

 資料11では、不適切な保育が起こる背景について聞いたところ、人手が足りないが82%、多忙でゆとりがないが80%となっており、不適切保育や虐待については、現場の人手が足りず、ゆとりがないことが大きな原因となっていることが分かります。

資料11

 また、資料12のとおり、不適切な保育をなくすために必要な対策として、保育士の94%が人員配置基準の改善を求めており、具体的には、4、5歳は10人から15人、3歳児は5人から10人、1、2歳児は3人に1人の保育士を配置する基準への改善が求められているところです。

資料12


 戦後、1948年から4歳以上の保育士の配置基準が変わらなかったことは異常なことだと思います。一人一人の子どもの安全を確保した保育を実現するには早急に人手不足を改善しなければ、虐待だけではなく、目が行き届かずに、事故を防ぐことはできません。現場の保育士さんたちの意見を踏まえ、人員配置基準の抜本的な改善をすべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤鮎子君)
 配置基準の改善に関しましては、こども未来戦略に基づき、4、5歳児について、今年度より、30対1から25対1へ76年ぶりに改善するとともに、1歳児についても、令和7年度以降、6対1から5対1への改善を進めることとしております。
 その上で、配置基準に関しましては、本年2月の子ども・子育て支援等分科会におきまして、真に必要な配置基準はどうあるべきか科学的検証をしてほしい、子ども・子育てを取り巻く状況が変わっている中で今般の配置改善で十分なのか、エビデンスに基づいて確認してほしいといったご指摘をいただいており、科学的検証の手法やエビデンスに関する知見について情報の整理が必要になると考えているところでございます。
 保育士の業務負担について科学的に検証する際には、例えば、一人の子どもと関わりつつ集団全体の様子に目を配るといった保育士の業務の複雑性や専門性をどう測るか、また定量的に把握しづらい心理的な負担感をどのように確認するかといった点を検討する必要があると考えております。また、保育士の業務負担だけでなく、保育士等の配置改善による子どもの生活や成長への影響、これについても併せて考える必要があると考えております。
 こうした論点につきまして、今後の保育の質の向上に向けて可能な限り早期に検討を行ってまいります。

○木村英子君
 科学的見地といっても、やっぱり幼いときに虐待を受けた、受けてしまった子どもたちが大人になったとき、やっぱりトラウマを抱いてしまう人が多いんですね。私もその一人でもあります。そのことで社会に出ることが難しくなっている人もいます。子どもの未来を守るために、保育士の配置基準をすぐにでも検討していただきたいと思います。
 次に、障害児が保育園を利用する場合の加配についてお聞きします。
 障害児や医療的ケアが必要な子どもたちがその障害に合わせた配慮を受けながら安全に保育園を利用するには、現在の保育士の配置基準ではとても足りません。障害児保育の加配については、昭和49年から国の補助事業がつくられ、障害児に必要な措置がとられるようになっていましたが、平成15年からは地方交付税措置に切り替わり、現在は一般財源化されています。そのため、障害児の加配については自治体ごとの裁量に委ねられていることで自治体間での格差が生まれ、障害児が保育を受けられない自治体もあります。
 資料13をご覧ください。

資料13

 弁護士会が一年に一度行っている障がいのある子どもの就園・就学ホットラインでは、2018年から2023年までの6年間で合計109件の電話相談があり、保育園の就園拒否はそのうち31件にも上っています。特に、医療的ケアが必要な子どもが拒否される事例が後を絶たず、保育園に相談しても障害児は受入れが難しいと言われ、申込書すらもらえないこともあります。また、現在の障害児の加配の基準が1対3の自治体では、障害児1人に対し1人の保育士が必要なくらい重度の子どもは預かれないという自治体があると聞いています。現在の加配では人手不足が解消できないため、自治体によって障害児の保育の人手不足を補うために独自の事業を行っているところもあります。
 資料14をご覧ください。奈良県では、国に対して、交付税の算定基準を障害児1人に対し加配保育士1人に見直してほしいという要望が出されています。

資料14

 また、資料15では、福岡県の市長会から国に対する要望事項として、障害児保育について、対象を拡大し、新たな財政支援を実施するなど、制度の拡充を行うことといった要望もなされています。

資料15

 障害児の加配については、医療的ケア児も含め、個別のケアが必要なため1人の障害児に1人の保育士といった対応をしている自治体がありますので、各自治体に対しそうした好事例を周知するとともに、障害児が安心、安全な保育を受けられる体制づくりのためにも十分な保育士の加配に向けた財政支援の拡充が必要だと考えます。これから新設も含め検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤鮎子君)
 お答え申し上げます。
 障害のある児童が保育所を利用する場合には、保育士の加配を行うために必要な経費を地方交付税により措置をしており、市町村において障害のある子どもの保育ニーズを踏まえた保育士の加配ができることとなっております。障害児保育の実施に当たりましては、おおむね障害児2人につき保育士1名を配置することを標準としつつ、障害のある子どもの状況等に応じて適切に職員を配置することが望ましい旨を自治体宛ての事務連絡や全国会議等においてお伝えをしているところでございます。
 委員ご指摘のとおり、障害児保育の実施において保育士の加配状況は様々でございますので、今後とも、自治体に対して、障害児保育の趣旨や、地方交付税により財政措置している内容や、またその積極的な推進といった点について、機会を捉えて周知をしてまいります。
 さらに、子どもの発達過程や障害の状態に応じた保育士の加配がなされ、障害児保育の推進を図ることができるよう、今後、調査研究事業において全国の自治体における障害児保育の取組状況を把握をすることとし、その中で先駆的な事例や積極的な取組事例等を収集して、好事例として横展開をしてまいりたいと考えております。

○木村英子君
 障害児を取り残さないためにも、周知ということをするだけではなくて財政支援の拡充が最も必要だと思いますけど、その辺も検討していただきたいと思っています。
 次に、相談窓口について質問します。
 障害児については、保育園などで入園を拒否されたり合理的配慮を受けられないといった場合に、どこに相談していいか分からないという人がたくさんいます。こども家庭庁には障害児や家族が相談できるといった窓口が設置されているのでしょうか、お答えください。

○政府参考人(藤原朋子君)
 お答え申し上げます。
 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づきまして、保育士等を含め、事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならないこととされております。また、同法に基づき定められているこども家庭庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針におきまして、保育所等につきましては、こども家庭庁の私ども成育局の保育政策課を相談窓口といたしまして記載をしているところでございます。
 こうしたことから、委員ご指摘のような保育所等における障害者の困り事などについて、保育の実施責任を負う主体である自治体に加えまして、こども家庭庁の成育局保育政策課にご相談いただくことも可能でございます。
 その際、個々の事案についてこども家庭庁において直接解決をするために対応することは難しい面もありますものの、保育の実施責任である市町村において適切に対応いただけるように、国の相談窓口では、相談に対する法令の説明や地域の適切な相談窓口につなぐ役割を担うこととしております。
 また、制度的な面で障害者差別解消法との関係や子どもの人権擁護の観点から改善が必要であることが把握された場合には、こども家庭庁として事案の確認を行い、必要な場合には全国の自治体に対する改善すべき点の周知や制度の運用の見直しなどを図ることになるというふうに考えております。
 こども家庭庁として、こうした取組を通じまして、障害児のお子さんも適切な保育を受けられることができるように、引き続き自治体と連携をして取り組んでまいります。

○木村英子君
 子どもに関しての相談窓口として、その保育政策課ですか、が設けられたということは、今日この質疑をするまで私も知りませんでした。それぐらい、やっぱり相談したくても窓口がなくて困っている方がたくさんいるということですから、今後、周知を徹底していただきたいと思います。そうでないと、泣き寝入りする人たちが増えてしまうし、そういうことが起こらないように、たらい回しにならないようにお願いしたいと思います。
 そのような現状の中で、内閣府では、障害者からの相談をたらい回ししないということもあって、各所管に連絡をつなぐ、つなぐワンストップ窓口としてつなぐ窓口というのが昨年の10月から設置されました。
 資料16の新聞記事をご覧ください。

資料16

 内閣府のつなぐ窓口が昨年10月に開設された、今年3月末日までの約半年間で障害者や事業者などから計1163件の相談が寄せられており、相談件数も昨年11月の158件に比べ、今年の3月には336件と2倍以上に増えています。
 この記事からも分かるように、ワンストップの相談窓口について障害当事者からも事業者からもニーズが高い状況にもかかわらず、つなぐ窓口は来年3月末日までの試行的な取組とされてしまっています。
 まだまだつなぐ窓口を知らない方が多いので、周知するとともに、障害者への理解を促進し、差別を解消していくためにも、このつなぐ窓口を試行的な取組で終わらせるのではなく、令和7年4月以降も継続していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤鮎子君)
 まず、子ども・子育て法案を担当する大臣としてこちらの委員会に出席しておりますので、こちらのテーマについてお答えできる範囲内ではありますけれども、障害者差別に関する相談につきましては、どの相談窓口においても対応されないという事案が生じることのないようにするために、ワンストップで相談を受け付ける窓口の役割は大変重要であると考えております。
 内閣府では、障害者差別に関する相談に対して、法令の説明や、国や地方公共団体等の適切な相談窓口につなぐ役割を担う相談窓口であるつなぐ窓口を昨年10月から開設をしております。
 つなぐ窓口につきましては、リーフレットを作成し、地方公共団体や関係団体に配布する、また障害者団体や事業者団体が主催する講演会等において説明を行う、またインターネット広告を掲示するなどの広報を実施をしているところでございます。
 また、つなぐ窓口では、昨年10月の開設以降、本年4月末までの約6か月半の間に1572件の相談を受け付けており、相談者に対するアンケートの回答の中には、つなぐ窓口の継続、これを求めるお声なども含まれているところでございます。
 つなぐ窓口は試行的に開設しているものではございますが、引き続き周知に努めるとともに、ご指摘も参考にしながら、来年以降のつなぐ窓口の在り方について検討してまいります。

○木村英子君
 障害者の相談を取り残さないように、国としてしっかりと障害者の相談を受け付ける窓口として今後も継続して残していただきたいと思います。
 また、このつなぐ窓口は、差別などを受けて相談してきた障害者の方の対応を適切に行うためという理由で障害当事者のアドバイザーを置いていますが、常駐しているわけではなく、定期的な会議の中でのアドバイスだけであり、日常的な相談は健常者の職員が対応に当たっていると聞いています。これでは、多様な障害者の相談に直接当事者の相談員が対応できないことで差別解消が遅れてしまうという懸念があります。
 各自治体では、障害当事者担当を置いている障害者ピア相談という窓口を開設していたり、身体障害者相談員を配置しているところもありますが、まだまだ当事者の相談員を設置している自治体は少ない状況です。
 障害者に対する差別的取扱いを防止するためにも、障害当事者の相談員を配置することが必要だと考えますので、内閣府のつなぐ窓口の相談担当に障害当事者を常時配置するとともに、各自治体に対しても障害当事者の担当を配置するよう働きかけを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤鮎子君)
 お答えを申し上げます。
 内閣府のつなぐ窓口の運営に当たりましては、必要に応じ障害当事者であるアドバイザーからの助言をいただいているところでございます。
 ご指摘も参考に、来年度以降のつなぐ窓口の在り方について検討をしてまいります。
 また、委員ご指摘のとおり、横浜市では、障害者本人やその家族が相談員として生活における困り事の相談に応じるピア相談を行っており、相談者となる障害者に寄り添った支援を提供しているものと認識をしております。
 障害者差別解消法に基づく基本方針では、地方公共団体において、障害を理由とする差別に関する相談を分野を問わず一元的に受け付ける窓口で対応する例等を明記しております。また、あっ、明記し、相談体制の整備を求めております。また、相談対応を行う人材は、公正中立な立場から相談対応を行うとともに、法や解決事例に関する知識、また当事者間を調整する能力、連携、協力すべき関係機関に関する知識、障害特性に関する知識等が備わっていることが望ましいと、このように記載をしてございます。
 障害を理由とする差別に関する相談に適切に対応し、その解決を図るためには、地方公共団体において、地域の実情等を踏まえた障害者差別に関する相談体制の整備、これを進めるとともに、障害者や事業者等からの相談を適切に受け止め、対応する人材の確保、育成、これが重要でございます。
 内閣府としましては、この基本方針の記載等を踏まえ、適切に相談体制の整備等がなされることが重要だと考えておりまして、地方公共団体に対しましてこの基本方針を通知し、基本方針を踏まえた相談体制の整備等を依頼をしているところでございますけれども、引き続き研修の場なども通じましてしっかりと周知を進めてまいります。

○木村英子君
 障害者の方の差別を受けている思いやそして苦痛などは障害者にしか分からないところもたくさんありますので、今後、障害者の相談員を、支援員を置くように検討を続けていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

【反対討論】

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 私は、会派を代表し、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 政府は、合計3.6兆円の異次元の少子化対策を行い、人口減少を食い止めると言っていますが、財源や支援策など、未解決な課題が山積みとなっています。
 まず、財源については、政府は、新たに国民の健康保険から支援金を徴収しても歳出改革により実質的な負担は生じないと説明していますが、具体的な改革の内容は明らかにせず、国民を欺いているとしか言えません。結局、新たな支援金の徴収は増税と変わりなく、物価高騰などで疲弊する国民を更に困窮させるものです。
 れいわ新選組の大島九州男議員から、新たに国民から支援金を取るのではなく、大企業優遇とも言われている消費税の輸出戻し税による還付を財源にすべきではないかと提案をしました。しかし、検討すらしない政府の姿勢は国民軽視であり、大企業優遇を推し進めるやり方は、現在の内閣支持率等の低迷にも表れているのではないでしょうか。
 また、政府が異次元だと胸を張る給付の拡充策についても、問題ばかりで、国民の生きづらさを解消する施策にはなっておらず、目玉政策の一つであるこども誰でも通園制度では、保育士の確保が難しい地域も多い中で、現場の声は反映されず、子どもを安全に受け入れられる体制も整っているとは言えません。
 特に、障害児や医療的ケア児が保育園に通いたくても、保育時間に制限を付けたり、保育士や看護師を配置してもらえず、申込みすら諦めなければならない障害児やその家族が取り残されている現状では、不十分な法案としか言えません。
 また、保育士の配置基準を多少引き上げたとしても、人手不足でゆとりのない保育が解消されない現状では、不適切な保育による事故や虐待を招きかねない状況であり、一刻も早く改善しなければ子どもたちが安心して保育を受けられるようにはなりません。保育士などの現場の意見を十分に踏まえ、抜本的な基準の引上げが早急に必要です。
 子どもたちの置かれている厳しい現状に対して政府の血の通っていない本法案には断固反対することを申し上げ、反対討論を終わります。以上です。

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