2022.10.24 参議院・予算委員会『コロナ禍の障害者の入院について』

【議事録】

○木村英子君 
 れいわ新選組の木村英子です。
 障害者の立場から、第八波が懸念される新型コロナについて質問いたします。
 岸田総理にお伺いいたします。
 命の重さは健常者も障害者も同じだと思われますか。簡潔にお答えください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
 命の重さに健常者も障害者も違いはないと思っております。

○木村英子君
 私のようにトイレや食事など全てに介護者がいなければ生きていけない障害者にとって、コロナは災害であり、入院時には常に命の選別に直面します。(資料提示)


 例えば、呼吸器を利用する障害者が病気になり、ふだんは付添いを認めてくれるかかりつけの病院に入院しようとしたところ、コロナ感染のリスクがあるので介護者を入れての入院が断られ、自宅療養となり、適切な医療を受けられずに亡くなりました。ほかにも、文字盤を使って目でしか意思疎通ができないALSの方が、介護者の付添いを断られ、一人で入院。医者は意思疎通できず、様々な薬を使い、結果、患者の目はほとんど見えなくなってしまいました。唯一のコミュニケーション手段である視力を失ってしまい、地域での自立生活も困難になりました。
 障害者は、個々に障害が違い、その障害に熟知した介護者が付き添わなければ入院生活を送ることはできません。これまで、介護者を伴わない入院で骨折などの事故につながることが何件もありました。
 そんな状況の中で、様々な障害者団体が長年にわたり厚労省に改善を要望してきました。そして、平成28年「特別なコミュニケーション支援が必要な障害者の入院における支援について」という通知が出され、入院時の介護者の付添いが認められました。

 しかし、コロナ禍では、介護者が付き添う入院が断られるケースが相次いでいます。
 そこで、令和2年12月に国交委員会の質疑で改善を求め、新たに厚労省から自治体に医療機関への周知を求める通知が出されました。

 しかし、その通知の存在すら知らない医療機関が多いために、入院時に介護者を必要とする障害者への理解が進まず、コロナの感染が拡大する中で、資料のとおり、さらに厚労省から33の医療関係団体にも通知を出してもらいました。


 しかし、2回も通知が出されていても、一向に状況は改善されていません。このまま第八波が来たら、また同じように命を落とす人が出てしまいます。今後必ず通知が医療現場に届くように周知をするとともに、介護者を付けて入院できる改善策を早急に実現していただきたいのですが、総理、いかがでしょうか。

○委員長(末松信介君) 加藤厚生労働大臣。(発言する者あり)
 じゃ、岸田内閣総理大臣。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
 重度訪問介護を受けておられる障害者の方で特別なコミュニケーション支援が必要な方々については、従来より支援者の方が入院中に付添いを行うことが可能な旨をお示しし、コロナ禍においても繰り返し周知してきた、今、ただいま委員の方から資料の中でお示しいただいたことが行われてはきました。
 しかし、それでも、このご指摘のように、現場においてはいろいろな不都合が生じているというご指摘でありますが、今後、もちろんその周知徹底、政府としても努めなければいけないわけですが、特にこの新型コロナの流行時に支援者の付添いを受け入れた、実際に受け入れた医療機関からのヒアリングで得られた情報を踏まえ、院内感染対策に留意しつつ、付添いを受け入れるための具体的な手法について、これを是非具体的に医療機関に情報提供したいと思います。その提供を行いながら、周知の徹底に向けて、政府としても関係者と連携しながら対応できるよう努力を続けていきたいと考えております。

○木村英子君
 私たち障害者は、病気になったときに入院できるかどうか、いつも不安を抱えています。入院時の派遣について、総理として今後進めていただける、改善していただけるということでよろしいでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
 周知についてはもちろん努力は続けますが、単に周知というのではなくして、具体的に受け入れた事例、そしてどのように受け入れたのか、そうした具体的な例についてしっかりと情報を政府としても集めて、その具体的な例を提供するとともに周知を行っていく、こうした取組が必要であるという認識を持ち努力をしたいと先ほど答弁をさせていただいた次第であります。

○木村英子君
 加えて、入院時に介護者が付き添う場合のPCR検査代が自己負担になっていることも入院の妨げとなっています。費用は一回一万円以上、入院する日数によっては何十万円も掛かってしまいます。これは国が負担すべきだと考えます。
 内閣府によると、コロナ臨時交付金の地方単独事業分は、自治体判断で入院時の介護者へのPCR検査費用にも使えるそうですが、それを知らない自治体が多いので改めて通知を出していただきたい。その上で、この単独事業分を使い切っている自治体も多いので、再度予備費などで交付金の追加をお願いしたいと思いますが、総理はいかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
 地方創生臨時交付金では、令和3年度補正予算で措置した検査促進枠で、昨年末からPCR検査等を無料化する都道府県の取組、これを支援をしております。障害者の方の入院に伴い、介護者の方が病院で検査を受ける必要がある場合にも、病院がこの制度の登録事業者であれば無料検査が可能であります。また、登録事業者でない病院においても、ご指摘の地方単独事業分に加え、9月に措置した六千億円の重点支援地方交付金等により、各自治体の判断で支援が可能となっております。
 そして、委員の方から、その予算的に不足している部分があれば支援してもらいたいというご指摘がありました。地方交付金、地方創生臨時交付金等の重要性については、各地方から様々な分野で指摘をされています。政府としても、そうした予算の充実を通じて支援をしていく、こういった方策は具体的に考えていきたいと思います。

○委員長(末松信介君)
 申合せの時間が参っております。手短にお願いします。

○木村英子君
 はい。これ以上、障害者の命が失われないように、早急な取組を今後もお願いいたしたいと思います。
 以上です。終わります。ありがとうございました。

○委員長(末松信介君)
 以上で木村英子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)

\シェアしてね!/