【議事録】
○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
初めに、3月16日の福島県沖地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、4月23日の知床観光船の事故によってお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、行方不明の方々が一刻も早く救助されることを心より願っております。
それでは質問に移ります。
今回は、福島県沖地震によって東北新幹線の脱線事故が起きたことを受け、列車において災害や事故が起きた際の障害者や高齢者、けが人など、支援を必要とする乗客の避難対応について質問いたします。
まず、新幹線のバリアフリー化についてですが、2021年4月より東海道新幹線に新しく導入されたN700Sには、車いすスペースが2席から6席に増設され、車いすを利用している障害者の方が複数人で旅行に行けるようになりました。さらに、在来線の特急においても、今年の4月1日より、バリアフリー整備ガイドラインの改訂によって車いすスペースを一編成につき3から6席以上とすることが義務化されたところです。
このように交通機関のバリアフリー化が進んでいくことは喜ばしいことではありますが、まだまだ障害者が健常者と同じように交通機関を利用して自由に移動できる社会の実現には至ってはおりません。さらに、超高齢社会を迎えた現在、車いすを利用する乗客が今後も増えていく中で、最近では地震が頻発している現状も踏まえますと、有事の際に障害者や高齢者が安全に避難できる体制づくりが急務だと考えます。
国交省によると、先日の東北新幹線の脱線事故では乗客に障害者や体の不自由な方はいなかったと聞いておりますが、災害や事故はいつどこで起こるか分からない中で、災害弱者である障害者や高齢者は一人では避難することが困難なため、他者の手助けが必要になります。ですから、通常の避難計画以上に合理的配慮を含めた、より綿密な避難計画が必要になると考えます。
そこで、お尋ねいたします。
各鉄道事業者では、障害者や高齢者の避難誘導マニュアルは作られているのでしょうか、また障害者や高齢者の当事者を交えた避難訓練は行われているのでしょうか、お答えください。
○政府参考人(上原淳君)
お答えいたします。
今般の福島県沖地震を受けまして、JR旅客会社、大手民鉄事業者らに状況を聞き取った結果、避難訓練につきましては、行政と連携した訓練において、沿線の盲学校の生徒に参加してもらい降車誘導を行っている例、これはJR東日本でございます、また支援学校の生徒に参加してもらい降車誘導を行った例、これはJR西日本でございますが、こうした取組があるものと承知いたしております。
また、避難誘導マニュアルにつきましては、各社で輸送障害時や緊急時に旅客の安全を確保する方法を検討し定めておりますが、その中に、車いす利用者を車両から退避させる場合に取り得る方策を複数列挙する例などがございます。これはJR西日本でございます。加えて、マニュアルのうち障害者への対応に係る部分につきまして、公益財団法人日本ケアフィット共育機構に監修を依頼している例、JR西日本や、乗務員にサービス介助士の資格の取得を進めている例、JR東日本、などもございました。
○木村英子君
ありがとうございます。
災害時や緊急時の障害者や高齢者の対応については、各鉄道事業者が独自にマニュアルを作ったり避難訓練を行っているということは分かりましたが、全国には200以上の鉄道事業者がある中で、今回国交省が調べたのは大手鉄道会社22社のみです。全ての鉄道事業者の実態を把握し検証しなければ、私たち障害者にとって鉄道を安心して利用することはできませんから、大手22社にとどまらず全ての鉄道事業者の実態調査を早急に行う必要があると思いますが、国交省のお考えをお聞かせください。
○政府参考人(上原淳君)
お答えいたします。
非常時に障害をお持ちの皆様を含む乗客の皆様が安全に避難できる状況を確保することは、どなたにも安心して鉄道を利用していただくために非常に重要なことと考えております。
このため、まずはJR、大手22社以外の全ての鉄道事業者につきましても、避難誘導マニュアルの整備状況や避難訓練の実施状況を調査、把握することが重要であると認識いたしております。
○木村英子君
調査を早急にお願いしたいと思います。
私たち障害者が求めているのは、どの鉄道においても安心して電車に乗ることができ、そして有事の際には安全に避難できることです。
そこで、お尋ねしますが、国交省は今現在、鉄道事業者に対して避難誘導マニュアルの作成や避難訓練の実施などについて指針を作っているのでしょうか。
○政府参考人(上原淳君)
お答えいたします。
避難誘導マニュアル作成でありますとか、あるいは避難訓練の実施について具体的な指針等を現在は示しておりませんが、これまでの鉄道事業者に対します監査、あるいは年末年始等の安全総点検の機会などを通じまして、鉄道事業者に対して安全管理体制の確保について指導を行ってきたところでございます。
○木村英子君
そうですか。分かりましたが、障害者や高齢者が安全に避難できる体制を整えていくためには、各鉄道事業者の独自の取組だけに任せるのではなく、国交省として災害や事故が起こった場合の避難対応について各鉄道事業者に指針を示すなど、国が責任を持って取り組むべきだと考えます。
例えば、交通事業者向けの接遇研修は、障害当事者が企画し講師となって開催しているところが複数存在します。避難誘導においても、様々な障害を持った当事者の意見を反映したマニュアルを作成し、日頃から当事者を交えた訓練をしていかないと、実際の有事の際に安全に避難することはできません。
ですから、国交省として指針を作るに当たっては、ケアフィット共育機構など第三者である専門家の目線だけではなく、障害当事者団体をきちんと参画させながら当事者目線の指針を検討する場を早急に用意していただきたいと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
列車の事故時、非常時に障害者を含む乗客の皆様が安全に避難するということは、安心して鉄道を利用する上で最も大切なことだと思います。
その上で、まずは、今ご提案がございました、鉄道局において、全ての鉄道事業者の避難誘導マニュアルの整備状況、避難訓練の実施状況を調査、把握するよう指示をいたします。そして、今後、その内容を精査し、鉄道事業者における適切なマニュアルの整備や訓練の実施が確保されるよう、障害当事者団体に参画いただく検討会の開催も含め、対応を検討したいと思っております。
○木村英子君
今後早急な検討会の開催をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。