【配布資料】
【文字起こし】
○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
先週に引き続きまして、都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインについて、もう一つどうしても改善していただきたいことがありますので、質問いたします。
前回は、公園において災害時に車いすで利用できるマンホールトイレの必要性についてお話ししましたが、このトイレの問題については、バリアフリー設計標準の改正によって車いす用トイレのスペース確保や機能分散が盛り込まれ、徐々に整備されてきています。しかし、車いす利用者にとっては、トイレを利用する際にもう一つ大きな問題があります。それは、公園の車いす用トイレに時間制限が設けられ、実際に車いす利用者が公園を利用しづらくなっている問題です。
例えば、江戸川区にある都立篠崎公園を視察したところ、24時間利用できる公園にもかかわらず、資料1のように、車いす用トイレの利用時間が9時から16時に制限されています。職員の勤務時間や防犯上の理由で、時間になるとトイレの鍵が閉められてしまいます。これでは、せっかく公園に遊びに来ても、16時になったら車いす用トイレが利用できなくなるため帰らざるをえない場合もあります。
このほかにも、資料2をごらんのとおり、利用時間の制限を設けられている公園の車いす用トイレは各地で見られます。一方では、24時間利用可能な車いす用トイレが設置されている公園もあります。外出する際、トイレは誰にとっても大切ですが、車いす利用者にとっては車いす用トイレの設置が少ない上に、さらに時間制限まで設けられてしまったら、トイレに自由に行けないことで外出先を制限され、地域のコミュニティーから自然と排除されてしまいます。
今回の都市公園のガイドライン改訂に際して、車いす用トイレの利用時間についてはどのように検討され、また明文化されているのでしょうか。そして、国交省として、今後どのような対策を考えておられるのかをお聞かせください。
○政府参考人(宇野善昌君)
お答え申し上げます。
高齢者、障害者を含む全ての公園利用者に都市公園を快適に利用いただくとともに、障害を理由とする差別の解消に向けた合理的配慮を行う観点から、トイレのバリアフリー化は大変重要な課題と認識しております。
また、車いす使用者が利用可能なトイレについて管理面、防犯面の理由等からやむを得ず使用時間の制限を設ける場合があるものと承知しております。
こうした状況につきまして、都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン改訂検討委員会における検討を踏まえ、都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインの改訂において、やむを得ず使用時間の制限を設ける場合、戸に利用可能時間を表示するとともに、ウエブサイト等で利用可能時間の情報提供を行うことを新たに追記する方向で検討中です。
その上で、まずはガイドラインの改訂について地方公共団体宛てに通知を行い、その内容を周知する予定です。さらに、トイレの使用時間の取扱いについて、今後も事例収集を継続していき、ガイドラインの説明等を行う際、好事例を情報共有できるよう努めるとともに、障害者団体や学識経験者、地方公共団体等の意見を伺いながら、管理面、防犯面に加え、高齢者、障害者等の利用面も考慮した上で対応を検討し、地方公共団体等に必要な助言をしてまいりたいと考えております。
○木村英子君
分かりましたけれども、トイレの利用時間の制限については苦情なども来ていますので、制限を取り払えるように、各自治体での働きかけとともに、引き続き検討をお願いしたいと思います。
次に、早急に改善していただきたい外出時のバリアとして、車いすを利用する障害者が駐車場に閉じ込められてしまうといった問題があります。
資料3をごらんください。私が住んでいる地域の路外駐車場には出入口に段差や階段があって、車いすでは駐車場から出ることができません。その場合に、やむを得ず、資料4のように、駐車場の出入口にあるゲートバーを介護者に持ち上げてもらわないと駐車場から出ることができません。しかし、ここは本来車が出入りするところですから、対向車が来たり後ろから車が来たりと、とても危険です。また、資料5をごらんのとおり、ゲートバーには「手を触れるとブザーが鳴り、警備員出動」と注意書きがあり、私も介護者も怖い思いをしながらゲートバーを通らざるを得ません。
また、建物内の駐車場を視察した際には、資料6をごらんのとおり、出入口の前に車止めが設置されているため、車いすの形状によっては通ることができません。この場合も結局、危険を冒してでもゲートバーを通るしかありません。
このように、車いすを利用する障害者は、車で外出するたびに、駐車場がバリアフリー化されているのか、いつも不安を抱きながら外出しています。こうした駐車場のバリアについては、令和3年8月から車椅子使用者用駐車施設等のあり方に関する検討会が開かれ、議論が続けられていると聞いておりますが、障害者が安心して外出できるほど駐車場のバリアフリー化は進んでいない現状です。
駐車場に車いす利用者が閉じ込められてしまう問題については早急に改善していく必要があると思いますので、国交省として既存の駐車場をバリアフリー化する方策についてどのように考えているのか、お聞かせください。
○政府参考人(和田信貴君)
路外駐車場や建築物に附属する駐車場につきましては、車いすの使用者が円滑に利用できる経路の確保等が、新設するなどの場合に義務付けられるとともに、基準の制定以前の既設の施設については努力義務となってございます。例えば、バリアフリー法に基づく500平米以上の路外駐車場、これを特定路外駐車場といいますけれども、これにつきましては平成18年に基準が制定されておりまして、それ以前の車いす使用者用の駐車施設については経路の確保等が努力義務ということになってございます。
これら特定路外駐車場を対象として、経路を含めたバリアフリー化の状況については、地方公共団体と連携して調査を、毎年度調査を実施しておりますが、これに加えて、まずは公共の管理する特定路外駐車場を対象に、車いす使用者にとっての個別の、そして具体的な経路の状況の把握、これをしっかりしなければいけないと思いますので、これを進めてまいります。
また、既存の路外駐車場や建築物に附属する駐車場における経路のバリアフリー改修につきましては、社会資本整備総合交付金で、バリアフリー基本構想などに位置付けられた駐車場の整備における都市・地域交通戦略推進事業などによる支援を図っております。また、建築物に附属する駐車場については、令和4年度予算案において新たに支援内容としてございます。このような支援を図っていきたいと思っております。
既存の駐車場における経路のバリアフリー化につきましては、このような支援について、公共団体との会議や関連する通知の発出などにより周知徹底を図っていきたいと考えてございます。
○木村英子君
ありがとうございます。
4月から拡充されるという支援についても、自治体への周知徹底をお願いしたいと思っております。
次に、これまでトイレや駐車場など様々なバリアについて質問してきましたけれども、障害者が地域で安心して生きていくためには、町全体のバリアフリー化を一体的に進めていく必要があると考えます。また、各地域に住む人たちの協力とともに、バリアチェックを行い、それぞれの町でバリアフリーマップの作成をしていくことも必要だと考えております。
こうした取組を進めていくには、先ほどの答弁でもお話しされていましたが、バリアフリー基本構想の作成を全国の自治体に広めていくことが重要だと考えております。国交省として、今後どのように町全体のバリアフリー化を促進していかれるのかどうか、そして、大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
バリアフリーについて、本当にいろいろな質問いただきました。一つ一つ調査をして、非常に説得力のある形での質問に対して心から敬意を表する次第でございます。
国土交通省では、バリアフリー基本構想の作成促進を通じて面的で一体的なバリアフリーのまちづくりを推進しており、令和3年末現在で、全国の312市区町においてバリアフリー基本構想が作成されています。基本構想の作成が進んでいない市町村にとっては、予算やノウハウの不足、庁内の検討体制の構築等が主な課題となっています。国土交通省では、基本構想の作成に必要な調査経費について、市町村に補助金で支援をすると。そして、基本構想の検討に当たり、市町村の関係部局が連携した庁内体制の構築の考え方等をガイドラインにおいて示すことにより市町村における取組を促してまいりました。
また、基本構想の作成割合は、政令市、中核市等で約9割となっているものの、これ以外の市においては約3割にとどまるなど、市町村の規模に応じて作成割合に差がございます。このため、国土交通省としては、政令市、中核市等については個別に基本構想の作成についての働きかけを行っていきたいと思っておりますし、これ以外の小さい市町村については、地方運輸局に加えて、市町村のまちづくり部局と関係の深い地方整備局、人間関係のある地方整備局からも、先進事例や作成の意義等を説明しつつ、働きかけを強化してまいりたいと思っております。
また、基本構想の作成の基礎となるバリアフリーマップの作成についても、先ほど申し上げた補助金で支援しておりまして、引き続き、基本構想の作成とあわせ、バリアフリーマップの作成を推進してまいります。
このような取組を広げることにより、障害当事者が外出しやすい社会、誰もが安心して社会に参加し、活躍することができる社会を実現してまいりたいと思っております。
○木村英子君
ありがとうございます。
バリアフリー基本構想が各自治体に広がっていって、バリアのない共生社会を実現するために取り組んでいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
ありがとうございました。