2022.3.8 国土交通委員会質疑『誰にとっても利用しやすい公園に向けて~出入り口のバリアフリー化~』

配付資料】

資料1 車止めが複数設置されている写真
資料2 半円形型の車止めの写真
資料3 P型の車止めの写真
資料4 ハートフルゲートの写真
資料5 いろんな公園の車止めの写真
資料6 都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインの文章の抜粋
資料7 篠崎公園の半円形の車止めと、車椅子が通れない様子の写真
資料8 篠崎公園のバリアフリーマップ
資料9 都市公園移動等円滑化基準の条文の抜粋
資料10 篠崎公園の防災施設マップ(マンホールトイレの位置がわかる)


【書き起こし】

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、この3月に改訂される予定の都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインについて質問いたします。
 公園は、市民の憩いの場であり、また、子供たちにとって大切な遊び場になっています。当然、障害者や高齢者にとっても地域のコミュニティーの場所としてとても重要な場所です。今回の改訂は2020年にバリアフリー法が改正されたことに伴って検討されたものと聞いておりますが、特に障害当事者としての観点から、公園のバリフリーが整っているのかどうか、実際に視察に行ってみました。
 まず、都内のいくつかの公園には、資料1のように、公園の出入口に車止めが設置されています。そもそも公園に車止めが設置されている理由は、バイクや自転車の進入防止、利用者の飛び出し防止のためと言われております。しかし、車いすを利用する障害者にとっては、公園を利用したくても車止めによって入れないことが多く、地域のコミュニティーから必然的に排除されてしまっています。また、車いす利用者が通れるように様々な工夫がされた車止めがありますが、実際に利用してみると通れないところが多くあります。
 例えば、資料2をごらんください。多くの公園には半円形の車止めが設置されていますが、多様な車いすの形状に対応しておらず、多くの車いす利用者は公園に入ることができません。
 また、資料3をごらんください。P型の車止めの場合、P型のポールが向かい合わせに二つ並んでいます。その幅は90センチになっていますが、上部の出っ張りの幅は約50センチしかなく、車いすの肘掛けや上半身が当たってしまい、通り抜けることができません。P型の車止めには車いすマークがついていますが、結局バリアフリーにはなっていません。
 また、ハートフルゲートは視察できませんでしたが、関西に設置されていることが多く、資料4をごらんのとおり、車いすの人が中に入って手動で回す仕組みになっています。私のように手が使えない障害者はこれでは利用することができません。これもバリアフリーと言えるかどうか、とても疑問です。
 ほかにも資料5のように様々な車止めがありますが、バイクの進入防止や利用者の飛び出し防止など、安全面だけを重視する余り、結果として最も配慮が必要な障害者が利用できない公園になってしまっています。地域の中で障害者と健常者との間に心のバリアを生み出さないためにも、誰もが利用しやすい公園にすることが必要だと考えます。
 本来は車止めの撤去が望ましいですが、安全面も含めて考えるならば、様々な車いすの形状や大きさに合わせた車止めの工夫が必要だと思いますので、国交省として、財政面も含めてどのような対策を考えていらっしゃるか、お聞かせください。


○政府参考人(宇野善昌君)
 お答え申し上げます。
 都市公園の出入口は、車いす使用者を含めた公園利用者が円滑に通行できることが必要だと認識しております。また、交通量の多い道路に面している場合の子供の飛び出し防止や車、バイクの進入抑制等、公園利用者等の安全、安心を確保するため車止めを設置する場合があると承知しております。
 これらを踏まえ、都市公園移動等円滑化基準への適合はもとより、高齢者、障害者等を含めた多様な公園利用者の意見を伺いながら、車止めの取扱いを含めた出入口の整備を検討することが重要と考えております。このため、国土交通省では、都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインを改訂し、先ほどお話のありました出入口の車止めの形状に関する記載の充実や計画、設計段階からの当事者参画を新たに記載するよう検討中でございます。また、財政面につきましては、社会資本整備総合交付金等により地方公共団体における都市公園のバリアフリー化を支援しているところでございます。
 今後も、引き続き、ガイドラインの改訂版の周知、普及啓発や財政的な支援を通じて、都市公園の出入口のバリアフリー化を推進してまいりたいと考えております。


○木村英子君
 ありがとうございます。
 出入口のバリアフリー化は早急な課題だと思っておりますので、ガイドラインの改訂版の周知徹底とともに、自治体への財政的な支援もお願いしたいと思います。
 次に、資料6をごらんください。
 今回のガイドラインの改訂案では、有効幅については車止めの最上部まで90センチ以上を確保したものとする、また、車止めを複数列配置する場合は、車いす使用者等が円滑に通行できるような配置とすると書かれております。
 しかし、車いすには様々な形状があり、奥行きや幅も違います。中にはストレッチャー型の車いすや大型の電動車いすもあります。こうした多様な車いすの形状に合わせた車止めのガイドラインを作るのであれば、自治体に対してもっと具体的な事例を示した方がよいのではないかと思いますが、国交省のお考えをお聞かせください。


○政府参考人(宇野善昌君)
 都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインの改訂案では、文章だけでなく写真等を用いて表現が分かりやすくなるよう努めているところでございます。
 出入口の車止めのバリアフリー化の事例についても、半円形の車止めを改修する事例を写真を用いて記載しています。車止めの形状は様々であり、ガイドラインにおいて車止めのバリアフリー化の事例を網羅的に掲載することは困難ですが、今後、障害者団体や学識経験者等の意見を伺いながら、事例収集を継続していき、ガイドラインの周知等を行う際、多様な例示ができるよう努めてまいりたいと考えております。


○木村英子君
 ありがとうございます。
 それでは、ガイドラインの改訂と同時に、事例集の作成も含めて、早急にお願いいたしたいと思います。
 次に、江戸川区の避難場所に指定されている都立篠崎公園に視察に行ったことをお話しします。
 ここは避難場所に指定されているにもかかわらず、車止めによって車いすを利用する障害者が災害時に避難することができない構造になっており、障害者にとって命に関わる深刻なバリアとなっていることが分かりました。
 私は、公園内の駐車場の車いすスペースに福祉車両を止め、駐車場の前にある公園の入口から入ろうとしました。しかし、その出入口には、資料7をごらんのとおり、半円形の車止めの中心にポールが立っているため、幅が狭く、車いすでは入ることができませんでした。仕方なく公園の正門まで迂回するしかなく、また、歩道がないため、危険を冒してでも車道を通るしかありませんでした。駐車場には車いす用スペースが確保されているにもかかわらず、駐車場に一番近い出入口が車いすで入れない状態では、バリアフリーが整っているとは言えません。
 篠崎公園にはこうした車止めが多く、資料8の公園のマップで示されているとおり、11か所の出入口のうち7か所が車いすでは入れませんでした。特に、西側や北側の出入口のほとんどが入れないため、通行できる出入口まで少なくとも数百メートルほど移動しないと公園に入れない状態でした。
 この公園の西側や北側に住んでいる車いす利用者の人が災害が起きた際に篠崎公園に避難しようとした場合、自分の自宅近くに一番近い出入口が車止めで入れず、別の出入口まで迂回しようとしても、がれきや電柱などが倒れて道がふさがれ、逃げ遅れてしまう危険性があります。東西南北どの方向からでも出入りができるように全ての入口がバリアフリー化されていなければ、災害が起きたときに車いす利用者などの弱者が避難できず、命の危険にさらされてしまいます。
 また、災害時には、車止めを取り外せばいいのではないかという意見もありますが、ふだんから車止めによってその公園を利用できない障害者にとっては、いざ災害が起きたときに公園に避難するということは、思いつきもしないと思います。
 ですから、障害者と健常者が日頃から交流できるコミュニティーの場所として利用しやすい公園でなければ、災害時においても、障害者が健常者の人たちと一緒に避難する環境はできないと思います。災害はいつ起こるか分かりませんので、公園の出入口をふだんから入れるようにバリアフリー化することは最重要課題だと考えます。
 そこで質問いたしますが、資料9をごらんください。バリアフリー法に基づいて定められた省令である都市公園移動等円滑化基準では、一か所以上の出入口をバリアフリー化することが義務付けられています。現状では、公園のある入口の一か所だけがバリアフリー化されていれば基準を満たしたことになります。しかし、車いすを利用する障害者にとってはほかの出入口から入れるわけではないですから、避難場所としての役割を果たしていません。
 今後、既存の公園も含めて公園内の全ての出入口がバリアフリー化されるように、国交省として対策を考えていただきたいと思います。お考えをお聞きしたい。
 また、避難場所に指定されている篠崎公園には、資料10にあるように、五つの区画に合計90基のマンホールトイレを設置する場所が確保されています。しかし、災害時において、車いす用のトイレの設置が少ない中で車いす用のマンホールトイレの設置は不可欠であり、そのため、車いすに対応した十分なスペースの確保やテントなどの設備の準備はとても重要だと考えます。
 避難時に障害者が利用できるマンホールトイレの普及について、国交省としてどのように考えておられるか、お聞かせください。


○政府参考人(宇野善昌君)
 お答えいたします。
 地域防災計画等において避難地とされている都市公園では、災害時における避難地としての活用を考慮して、出入口のバリアフリー化や災害時に利用可能なトイレの確保が重要であると認識しております。
 マンホールトイレについては、別に作成した防災公園の計画・設計・管理運営ガイドラインにおいて、防災公園における非常用便所の設置に当たり、障害者等の弱者の利用を十分考慮することとしております。また、下水道部が作成したマンホールトイレの整備・運用のためのガイドラインでは、車いす用のマンホールトイレを一つ以上設置することを記載しています。
 出入口については、都市公園移動等円滑化基準では、一か所以上の出入口のバリアフリー化を規定し、都市公園の新設、改築、増設時には適合義務、既設の都市公園には努力義務を課しています。また、都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインでは、バリアフリー化の基本的な考え方として、避難確保を考慮し、ユニバーサルデザインの施設整備が必要であると位置付けた上で、可能な限り、バリアフリー化された園路を複数確保することを記載するよう検討中です。
 国土交通省としては、避難地となる都市公園において、災害時に車いす使用者が利用できるトイレの確保や、出入口のバリアフリー化の推進に向け、これらのガイドラインの周知徹底に努めてまいりたいと考えております。


○木村英子君
 ありがとうございます。
 公園のバリアフリー化は災害時の障害者の命を左右するものでありますので、出入口に関するガイドラインへの記載についても含め、早急に検討をお願いしたいと思います。
 ここまで、公園の出入口の車止めについてや災害時の避難場所について、障害者の視点からお話ししてきました。公園は日常の憩いの場として、そして災害時の避難場所としてとても重要な場所であり、出入口のバリアによって車いすを利用する障害者が排除されてしまうことは重大な差別に当たると考えます。
 公園の出入口のバリアフリー化については、本来は、ガイドラインの改訂だけではなく、法的強制力のある都市公園移動等円滑化基準を改正し、全ての出入口のバリアフリー化が義務化されるようにするべきだと考えております。
 出入口のバリアフリー化も含め、誰にとっても利用しやすい公園の在り方について今後更なる検討をしていただきたいと思っておりますが、国としても、方向性も含めて大臣のお考えをお聞かせください。


○国務大臣(斉藤鉄夫君)
 大変重要な問題提起をいただいたと感じております。
 都市公園の出入口については、車いす使用者を含めた公園利用者の円滑な通行かつ安全、安心の確保が大変重要だと認識しております。
 国土交通省では、先ほど都市局長が答弁いたしましたように、出入口も含めた都市公園のバリアフリー化を推進するため、都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインを改訂しておりますが、その改訂に当たり、障害者団体、学識経験者、地方公共団体等の意見を伺いながら検討を進めているところでございます。
 法律改正というお話も今、木村委員からいただいたところでございますが、まずはガイドラインの改訂の周知をしっかり行うとともに、引き続き、障害者を含めた多様な意見を伺いながら、都市公園移動等円滑化基準の見直しを含めた対応についてしっかりと検討してまいりたいと思っております。


○木村英子君
 ありがとうございます。
 一日も早く障害者がバリアなく公園を利用できるように、今後も積極的な検討をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

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