2021.4.27特定都市河川浸水被害対策法等改正案質疑『避難行動要支援者のマイタイムラインと個別避難計画について』

配付資料

動画はこちらのURLから↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=5RgYuFgeJoo
漫画はこちらのURLから↓↓
http://www.cgr.mlit.go.jp/takaoda/mytimeline/pdf/210216_okayasan.pdf

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 前回は、水害について、ハザードマップの周知と重要性について質問いたしました。今回は、水害時に備えるためのマイタイムラインについてお話ししたいと思いますが、その前に、障害者が災害に遭ったときの個別避難計画についてお話しします。
 災害時に障害者の命を守るために最も重要なのは支援者の存在です。各自治体では、災害時に支援が必要な障害者に対して個別避難計画の作成が進められていますが、この個別避難計画の作成に当たっては、地域の自治会や福祉事業所なども連携して行っています。しかし、差別解消法の周知も進まず、地域における障害者への理解が進んでいない現状において、個別避難計画作成の担い手がとても少なく、避難時に支援してくれる人たちもなかなか見付かりにくい現状です。
 災害対策基本法では避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられていますが、個別避難計画の策定が完了している自治体は全体の僅か12%程度にすぎません。このような現状において、今国会提出の災害対策基本法の改正案によると、個別避難計画が努力義務化されていますが、先ほどお話ししたような課題が山積している中で個別避難計画の作成が促進されていくのが、ことが懸念が残ります。
 そこで質問いたします。
 今回の災害対策基本法の改正点をお聞かせいただき、施行後の市町村の個別避難計画の取組状況について実態を把握し、公表していただきたいと思っています。
 また、資料一を御覧いただくと分かるとおりに、NHKが今年の3月に障害当事者を対象に行ったアンケートによれば、個別避難計画のことを知っていると答えたのは35%にすぎず、余り認知されていない状況です。自治体に対して個別避難計画の更なる周知を徹底していただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(内田欽也君)
 お答えいたします。
 今回、災害対策基本法を改正し、これまで任意の取組でありました個別避難計画について、市町村に作成を努力義務化するものでございます。
 個別避難計画の作成については、ハザードマップ上で危険な地域にお住まいで、かつ介護が必要な高齢者や、支援が必要な障害者の方など、まずは現時点で優先度の高い避難行動要支援者についておおむね5年程度で作成に取り組んでいただきたいと考えており、その所要経費につきましては地方交付税措置を講ずることとしております。
 市町村における個別避難計画の作成状況について、国として把握し、公表し、取組の促進を図ることは重要であると認識しております。
 これまでも、内閣府では、消防庁と連携し、個別避難計画の作成状況を把握してきたところでございますけれども、改正法の施行後も、消防庁と連携をしながら、市町村の作成状況の実態を把握して公表し、個別に指導、助言を行うなど、フォローアップをしっかりとできるように検討してまいります。
 次に、個別避難計画制度の周知に関してでございますけれども、内閣府におきましては、内閣府防災が有する広報ツールでありますツイッターですとかフェイスブック、ホームページ、広報誌などを用いて、個別避難計画の目的、制度の概要、作成の必要性などについて理解を広げることに取り組むこととしております。
 また、個別避難計画の作成の進め方は市町村ごとに異なることも踏まえまして、市町村が避難行動要支援者や関係者等に対し、個別避難計画の作成について適切に周知するように、取組指針においてしっかりと示してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○木村英子君 
 今後も周知を徹底してお願いいたします。
 次に、障害者にとっての避難計画については、個別避難計画がとても重要だとお話ししましたが、国交省が推進しているマイタイムラインと連携して進めていくことが重要だと思っています。
 資料2を御覧ください。
 マイタイムラインは住民一人一人の防災行動計画であり、風水害に対して自分自身が取る標準的な防災行動を時系列的に整理し、いざというときに住民自らが行動を起こせるようにあらかじめ備える取組となっています。
 資料3を御覧ください。
 このマイタイムラインを推進する一環として、国土交通省高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所では、「岡谷さんのマイ・タイムライン」という、要配慮者のマイタイムラインの作成過程をミニドラマと漫画にしてホームページ上で公開されています。
 この動画では、個別避難計画を作るのと同様に、ケアマネジャーや地域の民生委員、近隣住民の人が集まって、要配慮者の水害に備えて話し合う様子が描かれ、災害時には地域に住む様々な人たちの協力が不可欠なことが分かりやすく紹介されています。このように、支援の必要な障害者や高齢者にとっては、支援者の存在も含めたマイタイムラインが必要です。
 資料4と5を御覧ください。
 令和元年台風第19号等を踏まえた高齢者等の避難に関するワーキンググループの最終とりまとめにおいても、避難行動要支援者のマイタイムラインと個別避難計画を併せて作成することが望ましいと書かれています。
 支援者がいないと避難できない障害者は、様々な人たちに関わってもらい、あらかじめ一緒に計画を立てることが必要不可欠です。そのためには、日頃からの地域の人たちとのコミュニケーションづくりの場として、各自治体が実施するマイタイムラインのワークショップの取組はとても有効だと考えています。地域のワークショップで健常者も障害者も一緒にタイムラインを作ることで、障害者に対する理解も深まり、地域の防災意識が高められると思います。
 支援が必要な障害者にとっては、マイタイムラインと個別避難計画、どちらが欠けても水害に備えることはできません。しかし、現時点では、マイタイムラインのワークショップ等を実施した自治体は137しかありません。
 そこで質問します。早急にマイタイムラインの取組を普及していただきたいと思っていますが、どのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(井上智夫君)
 お答えいたします。
 マイタイムラインの取組は、住民一人一人が逃げ遅れることなく的確に避難するため、ハザードマップを活用して水害リスクを認識した上で、具体的な避難行動をあらかじめ整理し、被害に、水害に備えておくものです。マイタイムラインは、平成27年の関東・東北豪雨を契機に取組を始め、おおむね五年が経過したところです。また、地域住民が顔を合わせ、互いに避難行動を確認するワークショップ形式での検討を推奨しておりますが、この取組は令和2年1月時点では137市区町村の実施にとどまっております。
 マイタイムラインの取組が広がらない要因としては、必ずしも全国の自治体に意義が伝わっていないこと、マイタイムラインの作成を指導できる人材が不足していること等の課題があると認識しております。
 このため、実際にマイタイムラインの作成に取り組み、防災意識が高い自治体の首長にマイタイムラインの有効性をほかの自治体に向けて発信していただく場の確保に努めてまいります。また、マイタイムラインのワークショップのファシリテーター役として期待される気象キャスターや防災士向けの講習会を開催するなど、マイタイムラインの作成を指導できる人材の充実にも取り組んでまいります。さらに、マイタイムラインの取組に加え、地域全体でお互いに顔の見える関係の下で共助の体制を整えるコミュニティータイムラインの取組を、ワークショップを活用して推進してまいります。
 このほか、先ほど内閣府から御答弁のあった、個別避難計画の作成の際、障害者や高齢者の方々に地域の方々とともに顔を合わせるワークショップに参加していただくことで個別避難計画の実効性が高まり、また、マイタイムラインの普及拡大にもつながるものと考えております。

○木村英子君
 ありがとうございます。
 次に、赤羽大臣に質問させていただきたいと思います。
 先日の質疑において赤羽大臣は、マイタイムラインを一人で作る人はほとんどおらず、地域で講習をしたり避難計画の体制をつくって仕掛けをしないと、簡単に防災力は上がりませんとおっしゃっていました。私もそのとおりだと思っています。
 マイタイムラインの取組を普及していただくとともに、ワークショップ等を通じて支援が必要な障害者や高齢者に必要な個別避難計画の作成を、地域の人たちと一緒に作っていくことが重要だと考えられます。
 ですから、今後、国交省と内閣府が連携して、支援が必要な障害者や高齢者の避難計画について、マイタイムラインを活用した個別避難計画の取組を検討していただきたいと思っておりますが、赤羽大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(赤羽一嘉君)
 避難、避難行動をスムースにするという意味では、マイタイムラインですとかコミュニティータイムラインと呼んでいるものが実際に普及をして、実施されることが大事だというふうに私は思っておりますが、他方で、そうした現実がなかなか難しい状況も実態であります。今御紹介いただきましたマイタイムラインのワークショップは全国で137か所ですかね、しかないということも、そのとおりだと思います。
 ですから、まず、防災・減災というやっぱり国民の皆様の意識を高めるという意味で様々な啓蒙活動が必要かと思っておりまして、今日、先ほど資料で御紹介いただきましたこの動画と漫画というのは非常に分かりやすくて、私、これは初めて知りましたが、この実は高梁川、小田川の事務所の所長というのは大変若手を登用しまして、一昨年の、一昨年ですか、一昨年のあの倉敷の真備町の大洪水があった地域でこの一級河川の高梁川と小田川の合流地点の付け替えをするという大プロジェクト、これ、五年のプロジェクトのために新しい事務所を新設をいたしました。そこの新進気鋭の頭の柔らかい人ですね、まだ霞が関に洗脳され切られていないというか、非常に柔軟な発想の持つ、非常に優秀な若手が所長として抜てきされていまして、彼ならこういうことが思い付くだろうなというふうに想起をしたわけでございます。
 やはり、活字とかじゃなかなかもう読んでいただけないということをどう工夫していくのかというのは私は非常に重要なことなので、この「岡谷さんのマイ・タイムライン」というのが全国で普及できるように、ちょっとまず仕掛けをしたいと思っております。
 加えて、こうしたことを受けながら、実際にどうなのかというと、多分、この鬼怒川のマイタイムラインも書いてありますが、多分、あの鬼怒川の大水害が起こった後に作られたんじゃないのかなと。どうしても、大災害が起こった地域というのは、その教訓を生かして、再度災害防止ということで実際やられております。神戸も、防災福祉コミュニティーというものを校区単位につくって、25年以上たった今もそうしたことが行われているということも事実でございますが。
 これをなるべく、やはり、内閣府防災と国交省とまた総務省と、やっぱり国民運動的な形で仕掛けをするということ、そのツールの一つに、ワークショップへの試みをする際に、先ほど、浜口さんでしたっけ、防災士の起用ですとか気象防災アドバイザー、こうしたものも全国で任命をしておりますので、こうした方々にも御協力をいただきながら、地域防災力が上がるような試みはちょっと具体的にしっかり進めていかなければいけないと、こう決意しておるところでございますので、関係大臣とも具体的に検討を始めさせていただきたいと思います。

○木村英子君
 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

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