配付資料
議事録
○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。会派を代表して質問いたします。
今回は、国民の交通アクセスに欠かせないUDタクシーについて質問いたします。
障害者にとって、地域で生活する上で社会的障壁が多く、交通のバリアは社会参加を妨げる重大な問題の一つです。以前から問題となっているUDタクシーについて、障害者の視点から、様々な障害を持っている障害者が利用しづらい現状について、その問題点と改善すべき課題をお伝えし、質問にしたいと思います。
UDタクシーは、一台につき国から六十万円の補助金が出され、この補助金制度によって、全国的には平成三十一年度末時点で一万二千台以上が配車されています。昔に比べれば、車椅子を利用する障害者が健常者の人と同じようにタクシーに乗れるようになってとても助かっていますが、全ての障害者がいつでもどこでも安心してタクシーを利用できるという状況にはまだ至っていません。
国土交通省のホームページには、ユニバーサルデザインタクシーとは、誰もが利用しやすい、みんなに優しい新しいタクシー車両と書いてありますが、UDタクシーとして認定されているトヨタのジャパンタクシー、日産のバネットとセレナ、それぞれに重度障害者の立場から実際に試乗をし、利用状況を視察してきました。
資料二の一を御覧ください。まず、ジャパンタクシーに乗ってみたところ、私の利用している車椅子は大型でリクライニング式の電動車椅子です。運転席や隣の助手席を前にずらしてスペースを広げても、車椅子が大き過ぎて前向きには回転できず、固定ベルトも着けられていません。何とか乗れましたが、車椅子ごと乗ることで二重の揺れがあり、車酔いを起こしてしまうこともあり、発車してもらうことはできませんでした。また、運転手さんも、完全に固定できないので、横向きにしか乗れないお客様には安全上の観点からお断りさせていただくこともあるとお話しされました。
日産のセレナ車については、認定されている車両が全国に六十九台しかなく、さんざん探しましたが、乗ることはできませんでした。
唯一、私の大型の電動車椅子でも試乗ができたのは、資料二の二のバネットでした。このタクシーは、後ろから乗降し、前向きに乗って、固定ベルトもあり、介助者も真横ではありませんが私の車椅子の近くに座席があり、とっさのときの介助を頼むことが可能でした。
しかし、ジャパンタクシーは約一万五百台に対して、バネットにおいては全国で約千二百台しかなく、流しではないため、乗りたいときにいつでも利用することはできず、今回私が試乗するに当たっては、さんざん電話してやっと乗せてもらったという状況でした。
このように、UDタクシーは、まだまだ全ての車椅子ユーザーが使いやすいといった状況にはなっていません。その理由は、台数が少ないだけではなく、乗車する際の安全性が問題点があります。
そこで、お聞きします。
ジャパンタクシーには、大型の車椅子やリクライニング式の車椅子は車内では横向きにしか乗れないのですが、この場合の安全性は確保されているのでしょうか、お教えください。
○政府参考人(秡川直也君) お答え申し上げます。
ユニバーサルデザインタクシーの認定要領というのがございまして、その中では前向きの固定装置を備え付けていることが記述してありまして、前向きに乗車していただくということが基本になっております。
他方、車椅子の中には、その大きさ、形状によってタクシーの中で前向きに転回できないというものもございまして、また、障害者の方々の中には横向きの乗車でもいいのでタクシーに乗りたいという声もございます。また、横向きのままであっても、助手席と後部座席で両側から車椅子を押さえることによりまして転倒を防止できる場合もあるということを車両メーカーからも聞いております。
この方法によって乗車できる車椅子もある一方で、車椅子によってはそのような固定もできず、利用者の安全を確保できない場合もあると。そういう場合には、運転者から利用者にそのことを丁寧に御説明をして、御利用は控えていただく必要があるというふうに考えてございます。(発言する者あり)
○委員長(江崎孝君) 介助者の方は手を挙げてください。はっきりとお願いします。
○木村英子君 済みません。
今お話ししていただきましたが、やはりお断りをしないということを重視するということも大事なんですけれども、安全性というものも大事でして、私が乗る場合には、特に隣に介助者がいないと難しい点もありますので、やっぱりUDタクシーというのは誰もが安心して乗れるということを目標に造られていると思います。
障害者も高齢者もベビーカーを利用している子連れの方も安心して乗れることがこのUDタクシーだと思っております。健常者の方であれば、座席に座りシートベルトを装着して安全が保たれます。当然、車椅子の方が乗る場合にも、先ほどお話しされたように、前向きに乗り固定ベルトを着けて安全確保は保たれますが、しかし、私のような大型の車椅子では利用していくことが困難であり、今後、構造上乗ることができないUDタクシーの方が今現在は多い現状です。
国土交通省のユニバーサルデザインによる運送の適切な実施の徹底という通知によると、車椅子が横向きで乗車しシートベルトや固定ベルトを着けなくても道路交通法に違反しないので、運転手さんは車椅子のお客さんに対して乗車を断ってはならないということにすごく気を遣われます。しかし、車椅子で横向きに乗る障害者の人は、いつも不安を持ちながら乗っています。運転手さんにその判断の責任を負わせるのは、やはり国交省としてちょっと無責任ではないかなと思います。
どんな形状の車椅子を使用している方でも、安全と安心を保障してもらえる設置基準を検討していただけたらと思っています。
次に、配付資料五を御覧ください。
資料五の認定要領のレベル2には、介助者席を車椅子スペースの横に設置すると書いてあります。レベル1では介助者についての記述がありません。私のように常時介護が必要な重度障害者にとっては、介助者は命を守ってくれるとても大切な存在です。頭や体を支えていないと体位を保てない方や言語障害がある場合、意思疎通が、目の動きを見たり、文字盤や指文字など、介助者がそばにいないと意思が読み取れず危険な状態になってしまう障害者の方もいます。私も介助者がいないと体のことが全てできないので、UDタクシーに乗る際には必ず隣に介護者がいないと困ります。
しかし、現在のUDタクシーのほとんどは車椅子席の隣に介助者用の座席はなく、運転席の横の助手席に介護者は乗るしかありません。なので、私とは実際には離れてしまいます。私が視察したときも、パネット車だけに車椅子の近くに介助者の席がありました。
様々な障害を持った人たちが利用しやすいUDタクシーに改善していただき、介助者がそばに乗れるUDタクシーを走らせてほしいので、再度質問いたします。
国交省は、障害者から介助者を離した状態でしか乗れないような認定要領を作っていますが、これでは安全に乗れないので、介助者がいないと乗れない障害者の人のことはそもそも考えられて設計されたのでしょうか、お答えをお願いします。
○政府参考人(秡川直也君) お答え申し上げます。
ユニバーサルデザインタクシーの認定要領ですけれども、これは障害者の皆様、あと車両メーカー、タクシー事業者などが参加した検討会というのを開きまして、そこで様々な観点から御議論いただいて作成したものでございます。
御指摘いただきました介助者の同乗についてなんですけれども、認定要領においては、介助者の同乗を念頭に置いて、車椅子使用者以外の乗客一名以上が乗車できることというのがまず基準になっております。それに加えて、車椅子でより利用しやすい車両として設定されているレベル2というのがございまして、この中では、車椅子利用者の乗車時に介助者が利用できる座席を車椅子スペースの横に設置するという基準も設けているところでございます。
大型の車椅子利用者や高齢者などを含めて、誰もが利用できるタクシーとしてユニバーサルデザインタクシーに改善すべき点がないかにつきまして、今後も障害者、車両メーカー、タクシー事業者と意見交換を継続して行ってまいりたいというふうに思っております。
○木村英子君 ありがとうございます。
レベル1の認定については、障害者の車のどこかに介助者が乗るということではあるんでしょうけれども、そのレベル2の障害者の近くに介助者が乗れるという規定については、今は、現在、車はほとんど配車されていません。というか、まず造られていないと思います。ですので、まず私の乗れるUDタクシーというのは本当に限られているということが一つ現状ではあります。
もう一つ、障害者の団体の方を検討会等に、ヒアリングも受けて作っていらっしゃるというのはもちろん存じているんですけれども、やはり実際に私のような大型の車椅子が乗ったときに乗れないUDタクシーが存在しますので、やはり、この検討会とか研修とかを行うときに、様々な障害を持っている方、そして多様な形状を持っている車椅子の方の意見を聴取できるように、特に大型の車椅子を乗って重度の方だったり、あるいは医療的ケアが必要で、医療機器を使ってそのUDタクシーに乗られる方とか、そういう方の状況を踏まえた上で今後検討していただけたらと思います。
次に、UDタクシーの予約状況についてお話ししたいと思います。
大型の車椅子、リクライニング式の車椅子が乗れるタクシーは認定されたバネットかセレナだけでしたが、しかし、流しでも乗れるジャパンタクシーと違い、予約しないと乗れないという状況でした。運転手が例えばいないとか、あるいは、車はあるけれども講習を受けている運転手がいないとか、あと、UDタクシーを配車する場合の曜日が固定されていて実際利用者さんが使いたい日に使えないとか、様々な理由で配車を断られ、それぞれの会社に二十件以上電話を掛けてお願いしたんですけれども、なかなか見付からず、視察にも乗るのに大変苦労しました。
国交省はこのような状況を把握しておられるのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(秡川直也君) 先ほど先生から、ユニバーサルデザインタクシー全体で一万二千台ぐらいだということを御紹介いただきましたけれども、この中で後ろから乗車できる車種というのは大体千三百台ぐらいとなっております。残りの一万台強が横から乗車するタイプとなっております。ですから、後ろから乗れるタイプというのは台数が非常に少ないということですので、今御指摘いただいたように、予約が非常に難しいという状況があるものだというふうに承知しております。
○木村英子君 ありがとうございます。
そうですね、私も流しのタクシーに乗れればとてもスムーズなんですけれども、予約もなかなか受け付けられない状況の中で、UDタクシーを利用するということが非常に難しい現状です。
そもそも、その台数が少ないという問題がありますので、予約状況をスムーズにするというのは、なかなかその台数も少なくて需要が少ないという意味では今後改善をしていただきたいなというふうに思っています。都内ですらバネットは百台あるかないかしか走っていなくて、障害者の人が予約しやすい方法を今後新たに検討していただいたり、車椅子を使用している障害者の人たちがUDタクシーを利用したくて、今後、電話を掛けても通じないというようなことが生まれないように検討なり改善策を考えていただきたいと思っております。
次に、赤羽大臣にお聞きしたいと思います。
今お話ししまして、大型の車椅子の人たちの、あるいはリクライニング式の車椅子などの状況をお伝えしましたが、全ての車椅子ユーザーがUDタクシーを利用しやすいというような現状には至っていない中で、これからも誰一人排除されない交通のバリアフリーを実現していただきたく、今後も大型の車椅子の方が安心して乗れるUDタクシーの利用を改善していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
○国務大臣(赤羽一嘉君) UDタクシーで不都合をお掛けしていることに大変申し訳なく思います。
これ、ちょっと私もしっかり検討してみないとまずいんですけれども、まず、安全性が若干損なわれるみたいなことが堂々とうちの文書に載っていいのかという、そういう問題が一つあると。ちょっとそれ、確認いたします。
もう一つは、多分、ちょっとあれですが、バネットが都内で百台の状況だというふうに聞きましたが、これですと、多分流しに出会うというのは極めて難しいので、多分ちょっと予約の在り方というのをやっぱり工夫するというのがまず現実的な話なのではないかなと思いますので、まず、ちょっと自動車局と全国ハイヤー・タクシー協会、全タク連とちょっと連携をして、まず最初にできることは、障害者の皆さん、特に大型の車椅子を利用されている皆さんがスムーズにストレスなく予約ができる、そういう仕組みを早急につくれるようにちょっと研究させていただきたいと思います。ちゃんと報告させていただきます。
○木村英子君 ありがとうございます。今後とも私たち障害者の人が乗りやすいUDタクシーの改善をお願いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。