2020.12.1国土交通委員会質疑『車いす専用駐車場のバリアについて』

配付資料

議事録

○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。会派を代表して質問いたします。
 車椅子を利用している人が町中に出たとき、必ずと言っていいほどたくさんのバリアに遭遇します。交通や建物のハードのバリア、そして心のバリアなど、これらが解決していかなければ、不安を抱かずに安心して外に出かけることはできません。
 今回は、バリアの中でも、皆さんがふだん当たり前に利用しているショッピングモールなどの大型商業施設の駐車場のバリアについて質問いたします。
 私は、大型のリクライニング式の車椅子を使用していますので、外出するときの車は配付資料一のようなリフト付きの福祉車両で出かけています。ですから、車自体が大型で、車の高さは約二・三メートルあり、駐車場探しでいつも苦労しています。遊びや旅行に行くとき、駐車場があるかないか不安をいつも持ちながら出かけています。
 十一月十一日にUDタクシーの視察のためにあるショッピングモールの駐車場に車を止めようとしたところ、入口には高さ制限が二・一メートルと書いてありました。係員に尋ねると、案の定、ここは止められませんよと言われました。二・三メートルの車を止められるところはありますかと尋ねると、業者ですかと聞かれ、違いますと答えると、では駄目ですと断られました。しかし、こんなに大きなショッピングモールに二・三メートルの福祉車両が止めるところがないわけがないと思い、もう一度別の入口で車椅子の人が乗っているので止められませんかと聞きました。すると、ここは止められませんのでほかのコインパーキングに止めてくださいと言われ、またかと思い、とても不愉快な気持ちになりましたが、その日は待ち合わせの時間が控えていたために係員には抗議せずに、諦めて別のコインパーキングに止めました。
 このように断られてしまう現状に、いつも私たちは外出するたびに悩まされています。障害者や高齢者など体が不自由な人たちにとって、外出することすら困難な状況を抱えている人たちは、毎回断られ続けていくうちに外出することが怖くなったり、周りに迷惑を掛けてしまうのではないかと思い、外に出ることすらできなくなってしまう人もいます。このような社会的バリアは引きこもりになってしまう原因にもなっています。
 バリアフリー法では、十四条及び施行令九条において、二千平米以上の大型の商業施設には車椅子使用者用駐車場設備の設置が義務付けられています。バリアフリー法において、特別特定建築物の駐車場においては施行令第十七条に、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する駐車場を設ける場合には、そのうち一以上に、車椅子使用者が円滑に利用することができる駐車場設置を一以上設けなければならないと明記されています。
 配付資料三を御覧ください。
 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準の駐車場の設計標準には、車椅子用リフト付き車両等に対応した天井高を確保することが望ましいとあります。その留意点にはリフト付き車両の高さが二・三メートル程度と書いてありますが、これはリフト付き車両の高さが二・三メートルであると紹介しているだけで、商業施設側からすれば義務にはなっておりません。さらに、建築設計標準には高さの規制を示すものがないため違反にはならないことから、二・一メートルまでの高さ基準の建物が多くて、私のように二・三メートルの高さの福祉車両を利用している障害者や高齢者は、買い物を楽しみたくても入れるお店が限られてしまい、とてもつらい思いをさせられることが多いのです。ほかの商業施設においては、屋内の駐車場に止められない高さが二・一メートルを超える福祉車両などには屋外に設置してある車椅子スペースへ誘導するなどの対応を取るところもあります。バリアフリー法で基準が明確に定めていられないことで移動の権利が狭められ、障害者や高齢者が健常者の人たちと同じようにショッピングを楽しめない状況を招くことは明らかな差別ではないでしょうか。
 私が参議院で御用意していただいている公用車も約二・三メートルの高さがある福祉車両ですが、今後、公用車での視察に行く場合、入れない建物が多い現状は困難が予想されますし、非常に困ります。今回訪れたショッピングモールの駐車場は高さが二・一メートルまでで私の車は入りませんでしたが、これでは二・三メートルの車両を利用している車椅子使用者のお客さんを排除してしまうことになります。
 そこでお尋ねいたします。
 なぜ、バリアフリー法やバリアフリー法の設計標準の中に駐車場の高さなどの基準がないのでしょうか。お答えをお願いいたします。

○政府参考人(和田信貴君) まずは、委員の御発言にありましたような、御不便な、そして御不快な思いをされることとなってしまい、誠に遺憾な思いを持ってございます。
 お答えいたします。
 バリアフリー法の基準では、大規模な商業施設等に、不特定多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する駐車場を設ける場合、そのうち一以上に車椅子使用者用駐車場を設けなければならないと義務付けております。その上で、乗り降り時のスペースが必要になることから車椅子使用者用駐車場の幅は三百五十センチ以上とすることとしておりますが、高さに関しては規定してございません。この高さにつきましては、駐車場の設置場所は屋外駐車場、屋内駐車場のいずれも想定されること、車椅子使用者が使用する福祉車両の種類は多様であることなどの理由で規定されてございません。
 こうしたことから、先ほど委員の御指摘にありましたような、ガイドラインである建築設計標準において、屋根又はひさしを設ける場合には車椅子用リフト付き車両等に対応した高さを確保することが望ましい旨を位置付けており、その上で、留意点として一般的なリフト付き車両の高さは二百三十センチ程度であるという旨を記載しております。

○木村英子君 ありがとうございます。
 バリアフリー法ではちゃんと設計標準が決まっていることはあると思いますけど、ただ、その事業者にとってはそれは努力義務ということにはなっておりますので、なかなかその二・三メートルある駐車場を設置しているというところは少ないので、その辺もう少し検討していただけたらと思います。
 次に、赤羽大臣にお伺いいたします。
 私が行ったショッピングモールは、差別解消法やバリアフリー法の施行後に建てられたものです。そこは二・一メートル以下の車しか入れず、二・三メートルの車で来店される障害者や高齢者のお客様についての合理的配慮は考えられていなかったことが問題であったと思います。
 この問題を解決するためには、バリアフリー法建築設計標準の車椅子駐車場の天井高を二・三メートル以上と義務付けるように、建築設計標準の改定をお願いできませんでしょうか。お願いいたします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) まず、そもそも建物の、駐車場法という法律があって、これ古い法律なんですけど、そこの施行令に、駐車部分のはり下の高さが二・一メートル以上でなければならないと、こういう規定があるわけです。その後、バリアフリー法が、いわゆるバリアフリー法ができて、そうした表記があったと。
 その言われているショッピングモール等々も、本当は、そのバリアフリー法後の施工であれば本来そうしたことが配慮されるべきであったというふうに私も思いますので、これ、この委員会で木村さんが質問をして指摘をしていただいた障害者用のトイレの在り方、名前を含めての議論をいただくために、高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準の改正に関する検討会というのが、もう立ち上げて議論していただいておりますが、この検討会で、今御指摘がありました大型福祉車両を使用される重度障害の方に御不便のないような商業施設、公共施設の駐車場の在り方についても議論をしていただくように指示をしたいというふうに思っております。
 新築の建物については、今の御質問にあるように、新しく大型福祉車両が二・三メートルになってきているのも随分各社出ていると思いますので、それに対応することができるような施設にするべきだと私は思いますので、そうしたことを有識者の皆さんに議論していただくようにいたしたいと思います。

○木村英子君 大臣、ありがとうございます。是非検討していただけたらと思っています。
 次に、私がこのショッピングモールを訪ねたときに駐車場の入口で受けた係員の対応について質問いたします。
 私が利用していた二・三メートルの車は止められないと断られましたが、もし駐車場の係員の方が差別解消法を知っていたなら、いきなり断らずに、車椅子のお客様が乗っている車に対して駐車場に案内若しくは誘導してくれたかもしれません。しかし、そのときの係員の方は知らなかったとみえて、有料のコインパーキングに止めるように言われまして、あっさり断られてしまいました。明らかに合理的配慮を怠り、野外の臨時駐車場があるにもかかわらず、そのことすらも告げられずに断られてしまいました。車椅子のお客様が来たときに代替策の提案などの合理的配慮を行わなかった対応は、明らかに差別だと思われます。
 その後、経産省から、済みません、ちょっとお水を飲ませてください。
○委員長(江崎孝君) どうぞ。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(江崎孝君) 速記を起こしてください。

○木村英子君 失礼しました。
 その後、改善策は、二・三メートルの車で来店するお客様については事前に電話の予約をしてほしいということを言われました。私は怒りで悲しくなり、駐車場に止めることを二回も断られた上、その上、来るときには事前に電話してくれとまで言われて、私は、健常者のお客さんと同じようにショッピングモールを利用したいだけだったのに、なぜ障害者はいつも条件を付けられなければならないのでしょうか。
 差別解消法に基づいて経産省が定めた差別の解消の推進に関わる、係る対応指針には、障害者でない者に対しては付さない条件を付けない、付けること、付けることと、あっ、済みません、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることはいけないことだというふうに、それが不当な差別的取扱いであると書いてあります。
 このショッピングモールの事前連絡を求める対応に納得ができず、更に直接話し合う場を設けてもらいました。後日、話合いの結果、健常者のお客様と同じように事前予約はしないことを約束してもらいました。また、二・三メートルの車が入れるのは業者の搬入場所しかないので、搬入業者が間違えて止めないように、車椅子スペースと分かるようにカラーコーンを置いて、車椅子専用駐車場スペースを確保してくれることになりました。
 しかし、この一連の商業施設の差別的取扱いは氷山の一角でしかありません。差別解消法の考えにも反している対応だと思いますが、経済産業省としては今までどのような指導を行ってきたのか、お聞かせください。

○委員長(江崎孝君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願い申し上げます。
○大臣政務官(佐藤啓君) 障害者差別解消法に基づく合理的配慮に係る周知徹底について、経済産業省としましては、所管事業者のための対応指針の策定、そして経済産業省のホームページにおける公表、所管団体を通じた毎年の周知、また事業者による合理的配慮等に関する好事例の収集、提供等を行ってきております。
 今後は、内閣府とも連携をしながら、障害者差別解消法の趣旨、内容に関する広報啓発に取り組むとともに、今後、事業者団体等向けの研修も含めて検討して、障害者差別の解消に向けた理解や取組の促進に図ってまいりたいと思います。

○木村英子君 ありがとうございます。
 各団体にヒアリング等を行ったりする場合、あるいは研修等を行う場合には、やはり当事者の参画をお願いした上で、今後更なる検討をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。

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