2020.6.2都市再生特措法一部改正質疑『障がい者にとっても「居心地が良く歩きたくなるまちなか」に』

資料

議事録

○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、都市再生特別措置法の、居心地が良く歩きたくなるまちづくりについて質問いたします。
 現在障害者にとって、一歩町に出たとき、正直言って、居心地が良く歩きたくなる町とは言えません。何度もお話しさせていただきましたが、どこへ行っても構造上のバリアがあり、入店を断られたり、交通機関も利用する際健常者には付けられない条件や制限を付けられ、安心して利用できない現状だからです。
 私事の経験になりますが、町並みに並ぶおしゃれなカフェに入りたくても、階段や段差があり、店員さんに手助けをお願いしたとき、景観に悪いのでお断りと言われたことがあります。障害者がお店の中にいるとほかのお客さんが入りづらくなるということだそうです。とても悔しい思いをしました。
 また、公園内のイベントや地域のお祭りなどを楽しみたくても、町に繰り出しても催物は車椅子では背が低くて見ることができず、おいしいものを食べたくても入れないお店が多いのは現状です。そのため、楽しむどころか悲しい思いをすることが多くて、外へ出ることが苦痛になってしまう障害者はたくさんいると思います。
 近年は、障害者権利条約や障害者差別解消法が制定され、条文では権利が保障されていますが、障害があっても安心して地域の催物やショッピングをするような環境にはなっていないのです。
 アメリカでは、ADA法という障害者の差別を禁止する法律があり、バリアフリーの整備が徹底されているそうです。また、都市部だけではなく人口数百人ぐらいの小さな町のレストランも、必ず車椅子で入れるルートがあって車椅子で入れるテーブルが設けられているなど合理的配慮が徹底されており、全てのお店がバリアフリー化されています。障害者が健常者と同じように差別されず、誰でも使えるような町が当たり前になっているそうです。
 一方、日本では、二千平米以上の店舗にしかバリアフリー化の義務がないため、階段や段差があり、床に固定された椅子が多くて、構造上車椅子では入店できないお店が多数存在しています。差別的取扱いをしないということ、合理的配慮を提供するということが障害者差別解消法では求められていますが、これを確実に行うためには、環境整備、バリアフリー化が必要になります。
 そこで、質問いたします。
 特に今回の改正案では、居心地が良く歩きたくなるまちづくりを推進していますが、公園が憩いの場所として合理的配慮が行き渡っていれば、障害を持っている人たちにとっても居心地の良い歩きたくなる町になり、心のバリアフリーにもつながると思います。
 その上で、例えば公園内に建てられている建物に対してスロープやエレベーター、点字ブロック、車椅子用トイレなどの設置を保障していただきたいですし、バリアフリー法で定められている基準の二千平米未満の店舗等を設置する場合においても、その小規模店舗のバリアフリー化を保障していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(北村知久君) お答え申し上げます。
 今回、居心地が良くなる、歩きたくなる町中ということで市町村で計画作って整備していただきますが、その中で、公園についての、いろんな人が集まってきて交流していただくこと、過ごしやすくしていただくこと。また、特に今回の法律では、公園に民間事業者の方が施設を造るという場合に、公園管理者、これ普通は公共団体でございますが、公共団体と協定を結んでそういう店舗を建てていただく制度をつくってございます。
 今回、委員御指摘のとおり、公園という機能を考えますと、そういう障害者の方、またお年寄りとか、あとベビーカーを持って歩いている方いらっしゃると思いますけれども、そういったいろんな方が集まっても過ごしやすくできるようにと。これ、公園管理者が協定を結んで建てさせるということでございますので、公共団体がその協定を結んで、民間事業者がここにカフェ造りたいという場合には、その協定の中にバリアフリー化することというふうなことを書き込ませて、協定ができたら、その後、ちゃんとそういうバリアフリーができているかとか運営がどうかということもチェックすると、こういうような運用ができるように、私どもの方から、制度ができましたら地方公共団体を指導してまいりたいというふうに考えてございます。
○木村英子君 ありがとうございます。
 公園管理者に対して、これからもチェックあるいは指導をしていくということをおっしゃってくれましたけれども、差別解消法が制定された現在においてもなかなか合理的配慮が行き届かないということが現状にあります。
 資料一を御覧ください。
 障害者権利条約九条では、建物やサービスを誰でも自由に利用できる権利がうたわれ、その精神はバリアフリー法の基本理念にも掲げられていますが、実際には、バリアフリー法についても対象にならない建物が多く、限られているのが現状です。
 そのような現状の中で、障害者に対する差別解消に向けて独自に取り組んでいる自治体が増えてきています。
 資料二を御覧ください。
 例えば、明石市では条例をつくり、建物のスロープや手すりの設置に補助を出すだけではなく、点字メニューなどのコミュニケーションツールの作成や折り畳み式スロープなどの物品の購入にも補助を出し、合理的配慮を推進しており、ほかの自治体にもこのような取組が広まっています。
 また、日光市では、これに加えて、イベントの際に手話通訳を派遣することに補助を出していますし、このような自治体の取組のように、今回の歩きたくなるまちづくりの中でも、心のバリアフリーの観点から、コミュニケーションツールとしての点字のメニューなどを用意したり、また、公園のイベントなどの企画において手話通訳者の配備なども必要です。
 しかし、これらの取組を自治体任せにするのではなく、本来であれば国が財政的な補助をすべきだと思います。
 そこで、赤羽大臣に質問いたします。
 障害者の差別を解消するためには、どんな建物であっても障害者が利用できるよう、バリアフリー化をすることが必要です。本来は小規模店舗においてもバリアフリー化を義務化すべきですが、少なくとも全ての店舗においてスロープや手すりなど設置がなされるよう、その費用の補助を国が行うなど、合理的配慮のための取組をしていただきたいのですが、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 今言われていることは、まさに本来我々が目指すべき共生社会の在り方だというふうに思います。私もこのバリアフリーに関してこの当委員会でも何度も御答弁させていただいておりますが、バリアフリーの社会づくりというのは、ある意味では現実との闘いで、現状をどうステップ・バイ・ステップで変えていくのかということで、例えば駅のバリアフリー、施設のバリアフリーも二十年ぐらいも掛かって今こういう状況にようやく来たというのが現実だと思います。
 障害者の皆さんとお話をすると、やはり小規模の飲食店といったところがやっぱり入口が狭くて入れないとかトイレが車椅子の対応じゃない、こうしたことが非常にバリアになっているという話も聞きますし、やっぱり一番の問題だというふうには思っておりますが、現状で言うと、なかなか物理的にそもそもそういうバリアフリーのセットができないような小規模の飲食店も少なくないですとか、新築で建てる場合もあれば、居抜きでそのまま借りて起業的、業を起こしているというようなこともあって、これまでそうしたところに義務化を掛けるようなことはできなかったというのがもうこれは率直に言って現状でございます。
 これをどう変えていくのかということで、今取り組んでおりますのは、様々なことはやっている中で、具体的には本年一月に、学識経験者、また障害者、また高齢者の団体の皆様、また事業者団体で構成される建築物のバリアフリー化のガイドラインである建築設計標準の見直しのための検討会を立ち上げさせていただきました。造るところからバリアフリー仕様であることが当たり前の状況をつくらなければいけないというふうな思いで、この検討会のワーキンググループには小規模店舗に関する特別のワーキンググループも設置をしておりまして、ここには関係省庁及び地方公共団体に加えて、十の障害者・高齢者団体の皆様方、また十八の関連事業者団体、そして五つの建築関係団体が初めて一堂に会して直接意見の交流をする場を整えることができておりまして、これをしっかりと進めながら、何とか小規模の飲食店等々のバリアフリーをしっかり進めていきたいと、こう思っております。
 今にわかに地方自治体でこうしたバリアフリーの制度を進めるということで助成制度ができているということは非常に高く評価をしておりますが、ちょっと現状でなかなか国で、まあ予算獲得をしようと、この二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックというのはレガシーとして共生社会と言っている以上、なかなかバリアフリーの予算というのは非常に限られておりますが、それを少し大きく獲得するために、国交省としても予算の闘いというのはしっかりしようと思っておりますが、ちょっと今、にわかに全国のところにいきなり法的に義務化を付けるというのは、なかなかそのハレーションというか逆効果も大きいのではないかと思いますので、その辺は丁寧に進めながら理想に向けて一歩一歩前に進めていきたいと、こう思っております。
○木村英子君 赤羽大臣、ありがとうございます。
 当事者も含めた検討会もされていくということですので、そういった意味では、これから第一歩として進めていっていただきたいというふうに思っております。
 また、公園の開発については、ホームレスの方や低所得者の方が不利益を受けるのではないかというような懸念もあります。都市開発によって特定の企業だけが優遇されるのではないかという懸念や、その点については附帯決議を提案させていただいていますので、国土交通省としても、誰もが居心地が良く歩きたくなるような町を今後も推進していただきたいと思っております。
 私の方からは以上です。終わります。

※ 本法改正にあたり、バリアフリーの観点を踏まえた整備がなされるよう、附帯決議を提案し、盛り込んでいただきました。ご確認下さい。(黄色のマーカー部分です)

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