2019.11.20地方消費者特別委員会「消費者センターの障がい者に対する対応の問題点について」

○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。会派れいわ新選組を代表いたしまして、質問いたします。
 障害者は社会の中で、障害を持っているという理由で、健常者では出会わないような様々な差別やトラブルに巻き込まれています。
 私自身、障害を持ちながら地域で生きてきましたが、施設と養護学校で育った環境が十八年と長く、社会で生きるためのノウハウを身に付けられずに、安易に人を信じてしまってだまされてしまったり、障害を持っているからと様々な場面で差別を受け、やっと生活に慣れてきたと思ってきた今日、気が付くと三十五年もの歳月がたっていました。健常者と分けられてきた弊害により、こんなにも社会に生きることが大変であることを今も実感しています。そして、私のように、社会に出たとき、差別に遭い困難を強いられている障害者の人たちはたくさんいます。
 この消費者特別委員会では、障害者が買物をするとき、また買物を勧められたときなど、消費者トラブルに巻き込まれないように、その解決に向けて障害者の立場から質問させていただきます。
 大臣にお尋ねします。
 今現在、障害者の方が消費者トラブルに巻き込まれている相談件数をお聞かせください。また、十年前から現時点までにどれぐらい増加しているのかも教えてください。
○国務大臣(衛藤晟一君) 障害者に関連した消費生活相談の件数は、二〇〇九年、十年前が五千三百件でございます。近年は一万件程度で推移をいたしておりますので、累計しますと七万五千件ぐらいになるところでございます。
○木村英子君 ありがとうございます。
 今大臣がお答えしてくれたように、ここ十年で、障害者の多くが障害を理由としての消費者トラブルに遭っています。私が聞いた障害者の方々の消費者トラブルの事例について少しお話しします。
 知的障害者の方で、限られた人たちとの人間関係が長く、突然出会った人が悪意を持って近づいてきたことを判断できずに、訪問販売に来た人に契約の判こを求められたとき、何の疑いもなく判こを押してしまい契約をさせられた、また、一度ではなく高額商品を買わされたりローンを組まされたりもしています。ほかにも、自宅にテレビがないのにもかかわらずNHKの受信料の契約をさせられたり、新聞を無理やり取らされたりといった被害に遭った方が多数います。障害という弱みに付け込んでいる業者は後を絶ちません。
 また、知的障害者の方で、いつも通っているお店では慣れている店員さんが対応してくれるのですが、ほかのお店に行ったときに、ちょっとおかしいそぶりを見ただけで万引きと誤解されて、警察を呼ばれたりします。また、お店の中で商品を見ていただけなのに、手でしっしっと追い払われたりもします。車椅子を利用している障害者が地域の食堂に行ったとき、混んでいるのにこんなお昼に来ないでほしいと言われたり、またあるときは、もう飯はないよなどと暴言を吐かれたり、トラブルを挙げれば、障害を理由として切りがない問題がたくさん起きています。障害者が健常者と同じように地域で生きていきたくても、このような様々なトラブルや差別にいつもさらされています。
 そこで、大臣にお伺いします。
 今お話ししたような、障害者が差別され、トラブルに遭っている現状を把握していますか。もし具体的に御存じでしたら、教えてください。
○国務大臣(衛藤晟一君) 障害者、今、知的障害者の話もございましたが、障害者全般にわたりましてそういういろんな地域における問題が起こっているということは重々承知しているつもりでございます。
 そしてまた、お話ございましたように、障害者が地域で一緒に暮らせる時代にしたいということで、私は当時自民党の社会部会長でしたが、平成六年のときに、尾辻先生おられますけど、そういう話を自民党の中でして、政策転換をやろうということでみんなで頑張ってきて、今そういう方向を取っているところでございます。障害を持っている人も持っていない人も地域の中で一緒に暮らせるようにしたいということで、みんなで頑張ってきたつもりでございます。
 そういう実態についても、消費生活実態についてはなかなか入りにくいところがあったことはもう事実でございますが、我々も、正直言ってある程度は知っていましたけれども、これほど多かったということはこの消費者庁に来て初めて知りました。年間一万件にも及ぶということは、そういうことをもっと目を配らせてやらなきゃいけないなということについて今気持ちを新たにしたところでございます。
 消費者庁に入っておりますいろんなものは、スーパーマーケットでポイントカードによるポイント付与をごまかされたとか、そういう例がありますし、あるいは、契約していた通信会社が故障時にサポートしてくれず強引に機種の変更を要求されたとか、いろんな例が入っております。あるいはまた、知的障害の方もそうですが、精神障害の方々にもいろんな販売を、高額の訪問販売で売られたとか、そういう事例も入っているところでございます。
 ですから、私どもも、できるだけそういうことが起こらないようにということで、サポートする体制をということで後見人制度とかいろんなものをつくってまいりましたが、まだそこまで全然及んでいないんだなということを、改めてこれほど多かったということについて認識したところでございますので、今後とも、こういう問題について、消費者庁としても頑張れるところ本当頑張ってまいりたいというふうに思っております。
 以上です。
○木村英子君 大臣のおっしゃられることは、取組についてはとても有り難いと思ってはいるのですが、ただ、ここ数年相談件数が増えているという実態もあります。それにもかかわらず、一人一人の障害者に合った適切な対応が窓口でされていないという現状があります。
 国民生活センターが消費者センターに行ったアンケートである資料三を見てもらえればお分かりになるとおり、障害者への相談対応で困ったことや難しいと感じたことがあるかという問いに対して、八九%ものセンターが難しいと感じたことがあると回答しています。さらに、障害者に対しての聞き取りや意思疎通をしにくいことがあったかとの回答をしたセンターは七割以上を占めており、相談に訪れた障害者と窓口の相談員の意思疎通が十分に図れていないということがうかがわれます。
 そこで、大臣にお伺いします。このように、センターの相談員の方が意思疎通が取れないといった現状は何が原因だと思われるでしょうか。
○国務大臣(衛藤晟一君) 私どもも、消費者庁でありますので、全体として、障害関係、社会保障の関係をやってきた者としては、今お話がございましたように、地域で一緒に暮らせるということで、一般の方々とどう同じく暮らせるかということをやってきたんですが、今お話がありましたように、一緒に暮らせば暮らせるほどこういうトラブルが増えるということについて余りよく察知してその対策を講じてこなかったということは、恐らく今御指摘のそのとおりだと思います。
 そういう中で、今、私どもも、国民生活センター等がアンケートを、これいただきましたけど、やっぱり窓口の方ではやはり障害者の対応、相談で困った、あるいは難しいと感じたことがあるということは、この中にありますように八九%に上がっているところでございますので、そして、その内容としても、聞き取りや意思疎通をしにくい、あるいは、対応時間が長時間にわたるとか障害者の障害の種類や程度を確認できていないというようなことがあったようでございます。ですから、この背景としては、障害者からの相談に対する受付体制、それから、相談員の経験、知識等が不十分であったということでございます。
 福祉施設の方での対応をちゃんとやるべきだとか、その事業者に対してそうすべきだということについては、我々は確かに啓蒙活動をやってきましたけど、今までなかなか消費生活センターにおける受付体制の強化や相談員の研修というのは、一応今までのところ、過去調べてみますと、ある程度やってきておりますけど、今からもっと充実をして支援をしなければいけないということを改めて感じましたので、障害者からの相談への対応力を強化してまいりたいという具合に思っています。
○木村英子君 分かりましたが、現在、身体障害者、知的障害者、精神障害者、視覚障害者、聴覚障害者など、様々な障害を持った人たちがいます。それぞれが持っている障害によって差別され、社会の中で生きづらくされています。
 車椅子を使用している私や知的障害を持った友人がデパートに行ったり電車に乗ったりしているときに、自然と半径一メートルぐらい周りの人は離れてしまうということがよくあります。知的障害者の友人は、市役所の窓口に書類を持っていった際に職員の人に無視され、まるでいないかのように扱われたりもします。また、そばにいる介護者にしか話しかけず、本人には話しかけないといった差別的な対応をしばしばされます。
 周りの人は、悪気はない人もいるのでしょうが、日頃余り接したことがない障害者の人と出会ったとき、どうやって接したらいいのか分からないという不安から、戸惑ったり、自然と避けてしまったり、拒絶してしまったり、それが差別的な行動になっていることがよくあります。これは、障害者と健常者が小さいときから分けられてしまい、地域の中で一緒に遊び、学び、育っていく環境がないことが生み出す差別なのです。
 このような理由で、消費者センターの相談窓口でも……。済みません、ちょっとお水飲みます。
 このような理由で、消費者センターの相談窓口でも対応が難しいという状況が起こり、なかなか問題解決に至らないのだと思います。ですから、早急に、障害者が消費者トラブルに巻き込まれたときに安心して相談できるセンターの体制づくりが必要だと思います。
 大臣にお尋ねします。
 このような現状の中で、二〇一六年に施行された障害者差別解消法で対応指針の作成が各省庁に義務付けられていると思いますが、それは適切に施行されているのでしょうか。教えてください。
○国務大臣(衛藤晟一君) 障害について、昔の方がむしろ地域において一緒に暮らしてきたということがあります。昔の方々はどういう具合に障害を見ていたかというと、むしろ障害を持っている子は福を持った子だと、そうして生まれてきた子だといって、家族で非常に大事にしてきた。それが一部の地域かというとそうではなくて、日本中にそういう言い伝えがありながら障害者と共存してきたということであったと思います。それが、近世代となる中で、人をやっぱり能力で測り過ぎるようなところが出てきて、今のような状況になってきたんだと思います。
 ですから、生まれたときから完全に一致できればいいんですが、障害の種別とか程度に応じてそれなりの教育をやったり、それからあるいは福祉政策をやったりということになっていますので、その向き向きはある。しかし、それだけではやっぱり足りなかったのではないのか、やっぱりもっとインクルーシブにやる部分も必要だと。個別にやる部分も必要だけど、総合的にやる部分も必要だという形を今我が国の福祉政策は取ろうとしているんじゃないのかという具合に私ども感じています。そうですよね、尾辻先生。ということでやっています。そういう中に消費者行政が追い付いていっていないということはそのとおりだと思います。
 二〇一六年に障害者差別解消法がやっとできました。このとき、実は、与党の中での中心は一応私でございましたので、長い時間掛かって、やっぱり差別解消法という法律を、与野党でプロジェクトチームをつくらせていただいて、そしてやっとここにこぎ着けたところでございます。
 そんな中で、具体的な合理的配慮ということについての中身について、各省庁、いろんなところにヒアリングをして、いろんな団体からもヒアリングをして、その中にほとんど入れたつもりでございましたけれど、今、三年目の見直しになっておりますので、その至らないところについて今から改正に向かってやっていくと。ちょうどこうなりましたときに、私は担当大臣ということになりまして、この障害者差別解消法の見直しを、今言われましたようなことについて、全部よくヒアリングして、お聞きして、それで法に盛り込んでいくことができればという具合に思っている次第でございます。
○木村英子君 とても長いお話で、ちょっと、私のしゃべることが半分以上しゃべれなかったんですけど。
 私が聞きたかったのは、差別解消法による対応指針と対応要領が各省庁に義務付けられているというところで、その末端の国民生活センターとかそういうところにまで周知されていますかということだったんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(衛藤晟一君) 仰せのとおり、そういう思いで作りましたけれども、とりわけ消費者生活においては一万件もの相談があるわけでありますと、行き届いていないという具合に現状は言わざるを得ないと思います。
 ですから、そこを、今三年目の見直しという作業に入っておりますので、そういうところを十分に、御指摘をいただいた点を踏まえて、あるいはもっともっといろんな方からそれに対する情報をいただいて、この法改正に向けてやっていきたいと思っています。
 今、この法改正に向かって動き始めたところでございますので、見直しに向かって動き始めたところでございますので、そのために努力をしてまいりたいというように思っております。
○木村英子君 分かりました。
 先ほどお話ししたように、差別的取扱いをなくすために、建物の合理的配慮はもちろんのこと、窓口対応については個々の障害者に対応できる職員の配置を早急に改善していただきたい。また、障害者差別解消法による対応指針と対応要領について更なる充実を図り、各センターに実施するよう指導徹底をお願いしたいと思います。
 今後、障害者が安心して生活できるように、消費者トラブルから身を守る対策を早急に整備していただけるために、大臣に取り組んでいただきたいと思いますが、お願いできますでしょうか。
○国務大臣(衛藤晟一君) 消費者庁といたしましても、引き続き、この地方消費者行政強化交付金等によりまして、今お話がございましたとおり、相談員向けの研修だとかその体制強化に努めるということをやってまいりたいと思っています。更に障害者に対する消費生活相談体制の整備を、これはもう推進してまいりたいという具合に思っております。
 また同時に、私ども、今この消費者問題につきましては、福祉や医療でやっておりました見守りネットというのがありますけれども、地域包括ケア、地域包括、介護のケアとか、医療、保健とかありますけれども、そこと地域等をもう一回結び付けた形で、この見守りネットワークの中にそれを入れてもらいたいということで今話を進めているところでございますので、この地域の見守り体制も一緒に強化してまいりたいという具合に思っています。それによって、そこができるだけ早く消費生活センターとつなぐということで、被害の未然防止や拡大防止を図ってまいりたいという具合に考えているわけでございます。
 御指摘の点につきましては、今後とも引き続き地方公共団体とも連携をしながら、今お話の方向でもっと充実強化をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしく、こういうところは御指摘をいただいて、御指導いただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○木村英子君 ありがとうございます。
 では、これからも改善に取り組んでいただきますようお願いいたします。
 以上で質疑を終わります

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