【議事録】
○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
本日は、車いすユーザーの乗車拒否について質問いたします。
交通機関は社会生活を送る上で誰にとっても必要不可欠な移動手段ですが、私が地域で生活を始めた約40年前は、車いすを利用する障害者に対する乗車拒否は当たり前の時代でした。多くの車いすを利用する障害者が、外出するたびに駅員とけんかをしながらも鉄道を利用し続け、運動する中で、少しずつ改善されてきました。
その後、障害者権利条約の批准や障害者差別解消法の施行を経て、国交省では、平成18年に施行されたバリアフリー法が令和2年にも改正され、障害者が交通機関を使う場合のハードのバリアの改善が進められているところです。
鉄道においては、東海道新幹線N700Sの車いすスペースが6席に増設され、今年の9月に開通した西九州新幹線「かもめ」には車いすスペースが4席設置されるなど、障害者の社会参加が進められてきています。しかし、まだまだ乗車拒否はなくならず、私のところには多くの相談が寄せられています。
資料2をご覧ください。
障害児を抱える家族が旅行に行くために、JR西日本の障害者サポートセンターに新幹線の予約をしようと電話をしたところ、長さ120センチまでの車いすしか乗せませんと言われ、予約を拒否されました。その方は、JR西日本に勤めている友人に相談をしたところ、直接お子さんを連れて岡山駅に話合いに行かれ、実際にストレッチャーを見てもらい、エレベーターにも乗れることを確認された上で、その場は無事に新幹線に乗れることになりました。しかし、JR西日本に勤めている友人がもしいなかったら、120センチを超えるストレッチャーの人は乗れないという規定どおり、乗車拒否されたまま諦めてしまっていただろうと言っていました。
また、同じく車いすを利用する障害児が校外学習に行くために学校側からJR西日本に確認したところ、在来線でも120センチを超える車いすは乗れませんと言われました。その後、その障害児の親御さんからもJR西日本に確認しましたが、学校側に言われたことと同じ回答でした。ふだんは在来線に問題なく乗れていることを改めて伝えたところ、今回は特例で乗車を認めますが、通常は不可になりますと言われたそうです。
このように、車いすの大きさで乗車拒否をすることは、社会的バリアが多くて外に出る機会が少ない障害児にとって、インクルーシブ教育が進められている中で校外学習という貴重な体験を奪ってしまうことになり、差別的取扱いに当たります。こういうことは決してあってはならないことだと思っています。
バリアフリー法においては、資料1のとおり、障害の有無その他の事情によって分け隔てられることなく共生する社会の実現に資することという基本理念が掲げられています。
しかし、資料3のとおり、JR東日本などの各鉄道事業者のホームページでは、ご利用可能な車いすは長さ、高さが120センチメートル、幅が70センチメートル程度と表示されています。
駅員はこれを引用して対応していますが、交通機関のハード面でのバリアフリーが進んできたのにもかかわらず乗車拒否をしてしまうような対応は、バリアフリー法の理念に逆行していると思います。なぜ一部の車いす利用者だけが差別的取扱いをされなければならないのでしょうか。このような各鉄道事業者の対応は、障害者の社会参加の妨げになっています。
国交省は、各鉄道事業者が車椅子の人に対してこのような差別的な対応を行っている現状を把握されているのでしょうか、お答えください。
○政府参考人(上原淳君)
お答えいたします。
各鉄道事業者におきましては、JIS規格を超える大きさの車いすの利用に当たりましては、個別に運行に係る安全性等を確認した上で乗車を判断しており、結果として乗車をお断りしている事例もあると聞いております。また、こうしたお断りしている事例の中に、この安全性等の確認をせずに車いすの大きさのみでお断りしている事例もあると認識をいたしましたので、今後実態把握に努めてまいりたいと考えております。
○木村英子君
早急に実態の把握をお願いいたしたいと思います。
次に、鉄道事業者はJIS規格を基に規定やホームページをつくり、長さ120センチを超える車いすを使っている人に対して乗車拒否をしています。
障害者は個々に障害が違い、その障害に合わせたオーダーメードの車いすを利用している人も多く、それぞれ形や大きさが違います。そもそも障害者にとって車いすというのは、単に移動するための乗り物ではなく、大切な体の一部なんです。健常者であれば、身長が2メートル以上ある人は乗車できないと否定されているようなものです。JIS規格という画一的なもので判断され、差別されたくはありません。私も大型の車いすを利用している一人ですが、私の電動車いすはリクライニング式なので、寝かせれば140センチを優に超えます。鉄道事業者の現場の判断で、車いすのお客さんに対し、乗せる人と乗せない人を選別することは許されることではありません。
鉄道事業者が車いす子の形状や大きさで乗車拒否をしていることは障害者に対する差別であることを大臣は認識しているのでしょうか。また、鉄道事業者がホームページなどの記載において利用できる車いすの大きさを制限していることは障害者への差別を助長するものなので、この記載を削除するように国交省から鉄道事業者に対して指導を行っていただきたいと思いますが、大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
大きな車いすについて乗車をお断りしている事例等があることについて、改めて認識をいたしました。
車いす利用者の皆様が安全に安心してお出かけや旅行を楽しめる環境を整備する観点から、大きな車いすの利用に際しても、安全性を確保しつつ、可能な限り対応することが望ましいと考えております。こうした観点から、車いすの大きさのみによって乗車の可否が判断されることのないよう、ホームページ等における表現の改善について鉄道事業者に働きかけてまいります。
国土交通省としましては、引き続き、車いす利用者を含む利用者の安全や利便性の確保が図られるよう、しっかりと取り組んでまいります。
○木村英子君
ありがとうございます。
また、障害者への差別的な取扱いがまだまだ続いていますが、現場の駅員さんの障害者に対する合理的配慮の考え方をいま一度改めていただくために研修の徹底が必要だと考えます。
資料4をご覧ください。
国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針に基づいて、今後も車いすを利用している障害者が差別的な取扱いをされないように、当事者を交えた研修を行うよう各鉄道事業者に対し改めて指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(上原淳君)
お答えいたします。
車いすの大きさのみによって乗車の可否が判断されることのないようにすることが重要であると考えております。
委員ご指摘の国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応方針を踏まえまして、各職員における認識が共有され、障害者に対する対応が適切に行われるように、障害当事者の方々の参画等による研修の実施を鉄道事業者に働きかけてまいります。
○木村英子君
研修の方も徹底をお願いしたいと思います。
こうした差別的な取扱いは現場の判断によって左右されてしまいます。駅員によって対応が異なりますので、判断の基準となる社内規定や国交省の対応指針が重要となっています。
資料5でお示ししているとおり、対応指針の中には、障害があることのみをもって乗車を拒否したり、乗車に制限や条件を付けることが差別的取扱いに当たると記載されています。
ですから、対応指針の中に、車いすの大きさや長さのみをもって乗車を拒否することは差別的取扱いであるということを明記していただきたいと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
障害者差別解消法は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、尊重しながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的としております。
このため、交通サービスを提供する事業者においても、この目的に沿って適切かつ柔軟な対応が行われることが必要であると考えております。
この同法、障害者差別解消法につきましては、昨年5月に事業者の障害者に対する合理的配慮の義務化等を内容とする改正が行われました。
現在、内閣府において基本方針の改正に向けた検討が行われており、この基本方針の改正を受けて、国土交通省でも国土交通省所管事業における障害を理由とする差別解消の推進に関する対応指針を改正することとしております。この改正に際して、車いすの方が乗車等をするに当たり、大きさ、長さについても柔軟に対応することができるよう、障害者団体等のご意見をきめ細かく伺いながら、利用者の安全確保を前提としつつ検討してまいりたいと考えております。
国土交通省としては、障害者差別解消法の趣旨、目的を踏まえ、公共交通機関等における障害を理由とする差別の解消に向けてしっかりと取り組んでまいります。
○木村英子君
ありがとうございます。
先日の予算委員会で、総理から、命の重さに健常者も障害者も違いはないと言っていただきました。社会参加の点においても障害者と健常者を分けることなく、安心して交通機関が利用できるように、これからも改善のほどをよろしくお願いいたします。
以上です。