2025.3.26 参議院 予算委員会「なぜ障害を理由に災害支援から外すの?」

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 今国会に提出された災害対策基本法の改正案では、頻発している震災に備えるために、平時からNPOやボランティア団体との連携を深め、事前に国に登録する被災者援護協力団体の登録制度を創設することになっています。
 資料1をご覧ください。

資料1


 この改正案では、登録団体の欠格事由として、心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるものに該当する役員がいる場合には登録できないと明記されています。
 なぜ障害者が役員となっている団体は被災者を援護する協力団体の登録ができないのでしょうか。坂井大臣に答弁を求めます。

○国務大臣(坂井学君)
 被災者援護協力団体は、国、地方公共団体、その他の協力団体等と協力をして、被災現場において厳しい環境に置かれている被災者の支援に当たる必要があることから、一定の登録要件を設けることとしております。
 災害対策基本法改正案では、被災者援護協力団体の欠格要件の一つとして、心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるものを規定をしようとしております。
 内閣府令においてはですね、その内閣府令においては、被災者援護協力業務を適正に行うに当たって、必要な認知、判断及び意思疎通が適切に行うことができない者と規定することを現在考えております。これは、法律が改正をされて以降、内閣府令において規定をするということになります。
 この役員についての要件は、被災者援護協力団体の活動方針を決める者であることから設けるものであり、障害者であっても、必要な認知、判断及び意思疎通が適切に行うことができない者に該当しなければ、この要件には当たらないものと考えております。

○木村英子君
 すごい差別的な発言ですよね、今の。そもそも、この改正案に障害がある者を欠格事由に入れること自体差別であり、この国の人権意識を疑います。
 東日本大震災や過去の震災では、災害では、

資料2

資料2のように、DPI日本会議や全国自立生活センター協議会、ゆめ風基金などの障害当事者団体が集まって東北関東大震災障害者救援本部を立ち上げ、救援物資の調達と輸送、避難者の受入れ、ボランティアの派遣など、現地の障害者の人たちの支援に必死で取り組んでいました。そして、昨年の能登半島地震でも、

資料3

資料3のとおり、当事者団体の日本障害フォーラムが被災者支援に当たっています。
 また、昨年の2月に本会議で岸田前総理が、様々な立場の当事者の方が参画する意義を十分に踏まえ、インクルーシブ防災の推進を図ってまいりますと答弁されましたが、今回の改正案にはそれが反映されず、むしろ防災対策から障害当事者を排除しています。
 2015年に日本で開かれた国連防災世界会議で提唱された、誰も排除されない、誰も排除しない、誰も排除させない、インクルーシブ防災の考え方を改めて認識し、この差別的な条項を削除していただきたいと思いますが、坂井大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(坂井学君)
 先ほどお答えをした中で、障害者を排除をするというような考え方を持っているものではないということもお伝えをしたつもりではございました。ましてや、ご指摘をいただきましたような、今までの被災地における様々な活動に関して、ああいったこと、ああいう活動をこれから外すということを考えているものでもありません。
 被災者援護協力団体の役員は、団体の活動方針を決める者であることから、必要な認知、判断及び意思疎通が適切に行うことができる者である必要があると考えております。
 一方、被災地の支援に当たる、今ご指摘されたような障害者の方々を排除することは全く考えていないことでございますから、そのような団体が排除されることがないよう、内閣府令、法律は法律、そしてその先の内閣府令について指定をしていくものでありますから、そこにおいては委員のご指摘も十分に踏まえて検討を行ってまいりたいと思います。

○木村英子君
 認知や判断って、一体誰が決めるんでしょうかね。やっぱり、被災地支援に当たる障害者団体を排除することは考えていないというふうに答弁されましたけど、欠格条項がある限り、障害を理由に差別していることには変わらないと思います。
 私たち障害当事者抜きにインクルーシブ防災の実現はあり得ないと思います。この問題については引き続き追及していきたいと思いますので。
 以上、質問を終わります。

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