2024.3.28参議院 予算委員会 「マイナカードがないと生活保護の人は病院にかかれないの?」・令和6年度総予算3案に対する反対討論

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 現在、生活保護を受けている方が病院に行く場合、自治体に連絡をして医療券をもらわないと病院にかかることができない仕組みとなっています。
 しかし、今月一日からマイナンバーカードによるオンライン資格確認の制度が開始され、生活保護の方が病院を受診する際にはマイナンバーカードの提示を原則とするという通知が出されたことで、マイナンバーカードを持っていない方やカードを持つことにとても危機感を抱いている方たちの不安の声が寄せられています。
 そこでお尋ねしますが、岸田総理はマイナンバーカードを持っていますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
 はい、マイナンバーカードを所有しております。

○木村英子君
 では、岸田総理は、自分のキャッシュカードやマイナンバーカードを家族以外の他人に渡して、お金を下ろしたり手続をしてもらったことはありますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
 基本的にはありません。何か特殊な事情があった場合はそういった対応をすることがあるかもしれませんが、最近そういった経験はしておりません。

○木村英子君
 実は、私のような重度障害者は、自分でお財布からカードを出すこともATMでお金を下ろすこともできませんので、他人にカードを渡して手伝ってもらうしかなく、いつも不安を抱きながらも、支援してくれる方を信じて頼んでいます。しかし、悲しいことに、私の障害者の友人の中にはお金を引き出されてしまったり盗まれてしまったりする被害に遭っている方が何人もいます。
 このような障害者を含め、生活保護を受けている方が病院を受診するときに提示していた医療券がマイナンバーカードに代わることで、個人情報が容易に盗まれる危険にさらされるため、安心して医療機関にかかることができなくなります。
 資料をご覧ください。

資料1
資料2

 これは、全国保険医団体連合会が介護施設に対して行った調査ですが、カード、暗証番号の紛失時の責任が重い、不正利用、情報漏えいへの懸念などの理由から、94%がマイナンバーカードを管理できないと答えており、他人がマイナンバーカードを管理することはプライバシーを侵しかねない問題があることから、支援する側も管理したくないということがこの調査でも明らかです。
 このように、マイナンバーカードを取得することに不安を抱える方やマイナンバーカードを持っていない生活保護を受けている方が今までどおり医療機関に安心してかかれるように、医療券での診療を受けられるようにしていただきたいと思います。
 その上で、生活保護を受けている方の生活や健康が守られるように、マイナンバーカードの取得については強制ではないということを自治体に対して周知していただきたいと思いますが、岸田総理のお考えをお聞かせください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
 生活保護を受けている方が医療機関を受診する場合にはマイナンバーカードによる資格確認が原則となりますが、やむを得ない事情がある場合には医療券を利用できることとしております。このことについては、自治体に対してこの伝達をしております。
 ただ、ご理解いただきたいのは、マイナンバーカードは写真付きの最高水準の身分証明書です。カードだけでは個人情報にアクセスできないため、この不正利用という御指摘がありましたが、不正利用を防止することでき、このご指摘のような個人情報が安易に盗まれる危険あるいはプライバシーの問題、これはないということは説明をしておきたいと思います。
 また、マイナンバーカードを活用した医療DXにより、問診で医療に伝えなくてもご本人の薬剤情報や診療情報を医師が確認することができるなどのメリットを説明することによって、障害をお持ちの方や高齢者にとって大事なツールであることも説明をしてまいります。
 そして、申請の手間についてご指摘もありましたが、この申請の手間についても、福祉施設や希望する方の個人宅等を訪問する出張申請、これも受け付けているところでありますし、さらに、障害当事者の方からの発案で、マイナンバーカードを活用して障害者手帳情報をスマートフォンで表示させるアプリが民間企業において開発され、機微な個人情報が記載された障害者手帳を外出時に携帯しなくても公共交通機関などで割引を受けることができる、こうした取組も進めています。
 障害をお持ちの方あるいは高齢者の方、誰一人取り残さないデジタル化が重要であり、今後とも、マイナンバーカードを活用したデジタル化のメリットを丁寧に説明をしながら取組を進めてまいりたいと考えています。

○委員長(櫻井充君) 時間が参りました。おまとめください。

○木村英子君
 はい。
 マイナンバーカードのその申請の説明は分かりましたけれども、実際にそのマイナンバーカードがない、持っていない方の場合の強制をしないようにということを強く求めまして、質問を終わります。

【令和6年度総予算3案に対する反対討論】

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。会派を代表して、令和6年度総予算3案に対し反対いたします。
 今年は元日に能登半島地震が起き、たくさんの方が被災した中、総理は、震災直後すぐに現地に赴き、被災者の人たちのために速やかに補正予算を編成すべきでした。
 それにもかかわらず、裏金問題で重要な施策を遅らせ、法律を守らない、反省しない、責任を取らない、岸田政権が作った予算に賛成できるわけがありません。
 消費税増税と緊縮政策による30年の不況、コロナ、物価高の三重苦による経済災害の中、本予算は国民生活を回復軌道に乗せるものにしなければなりません。しかし、国民生活は逼迫する状況にもかかわらず、消費税の減税の検討すらされず、年金はこの4月から更に減額されてしまっています。
 子育て政策では、支援金制度を導入したものの、公的医療保険料への上乗せ徴収は事実上の増税であり、国民の負担が更に大きくなります。
 支援の必要な障害者や高齢者の命綱である訪問介護などの基本報酬切下げは、訪問事業者を追い込み、訪問介護事業者を追い込み、人手不足を加速させ、深刻な状況を招いています。速やかに介護労働者の賃金を全産業平均以上に増やすべきです。
 一方で、経団連とアメリカなど、自民党の支持母体に対しては手厚く、いわゆる軍事費は約8兆円と10年連続で過去最多を更新し、アメリカの兵器の大量購入によって軍事ローンが13.7兆円にもなっています。
 春闘での賃上げは、賃上げ率は5%を超える見通しと政府は宣言していますが、賃上げしたのは大企業ばかりで、2年近く下がったままの実質賃金が上昇するような展望は見えません。個人消費も低迷したまま、GDPギャップは0.6%のマイナスであり、政府の支出が不十分な上、国民の生活が困窮している中で金利を上げてしまうことで、消費や投資を冷え込ませ、再びデフレに逆戻りしかねません。  
 今必要なのは、GDPの6割近くを占める個人消費を増やすための思い切った政策です。すなわち、消費税の廃止、減税、社会保険料の減免、現金給付が最も必要です。経済災害から国民を救うには、岸田総理の聞く力を十分に発揮し、物価を下げて実質賃金を上げる消費税の減税を今こそ実行すべきです。
 以上の理由をもって、政府の予算案に反対いたします。以上です。

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