2023.3.17 参議院 国土交通委員会 委嘱審査 「UDタクシーに乗れない車いすの人がいるの?」

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、2020年11月26日の私の質疑に取り上げましたUDタクシーについて、再び質問させていただきたいと思います。
 障害者にとって、健常者と同じように社会参加するためには、移動の足となる公共交通機関は欠かすことのできないインフラです。しかし、電車やバス、タクシーなどの公共交通機関が十分に利用できない現状があり、障害者にとって交通のバリアはまだまだたくさんあります。
 首都圏では、誰もが利用できるユニバーサルデザインタクシーとして、ジャパンタクシーを中心にUDタクシーが増えています。しかし、大型の車いすの人が乗れるタクシーはほとんどなく、その上、予約しないと乗れないのが現状です。私自身も大型の電動車いすを使用しておりますが、利用したいときに自由にUDタクシーを利用することができません。
 このような状況を改善するために、前回の質問では、誰もが利用しやすいUDタクシーを改善していただき、介護者がそばに乗れるUDタクシーを走らせてほしいという要望をさせていただきました。
 これに対しての答弁では、「大型の車いす使用者や高齢者などを含めて誰もが利用できるタクシーとしてユニバーサルデザインタクシーに改善すべき点がないかについて、今後も、障害者、車両メーカー、タクシー事業者と意見交換を継続していきたい」と言われましたが、その後、現在までに障害者団体とはどのような意見交換がなされたのか、お答えください。

○政府参考人(堀内丈太郎君)
 お答え申し上げます。
 国土交通省では、大型の車いす利用者の方々なども含めて誰もが利用できるUDタクシー、ユニバーサルデザインタクシーの実現に向けて、障害者団体の皆様との意見交換を近年は毎年複数回実施してきております。意見交換におきましては、大型車いすが乗車できる車両や、後ろから乗車できる車両の開発、導入に関するご要望を伺っております。
 引き続き、UDタクシーの利便性向上のため、障害者団体の皆様との意見交換を行ってまいりたいと考えております。

○木村英子君
 障害者団体との意見交換をしているということですけれども、移動等円滑化会議資料によれば、障害者団体から、大型の車いすの使用者がきちんと乗れるようになって初めて本当のユニバーサルデザインタクシーと呼べるのではないか、また、後ろから乗れる車、タクシーの導入や大型の車いすが乗れるタクシーの開発をしてほしいなどの要望が、意見が出されています。
 資料2の1をご覧ください。

元々、国交省はホームページで、ユニバーサルデザインタクシーは、健康な方はもちろんのこと、足腰の弱い高齢者、車いす使用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など、誰もが利用しやすいみんなに優しい新しいタクシー車両とうたっており、資料2の2では、後ろから乗車できるUDタクシーをひな形として宣伝しています。


 資料1をご覧ください。

令和4年時点でユニバーサルデザインタクシーは約3万台ありますが、そのうち大型の車いすでも乗れて、かつ後ろから乗車するタイプのUDタクシーは約1600台しかありません。
 国交省は、UDタクシーの認定を始めてから10年以上がたち、オリンピック、パラリンピックに向けてUDタクシーを増やしていくために、タクシー事業者がUDタクシーを購入する際の補助金も創設され、現在首都圏を中心に増えています。
 しかし、導入されているUDタクシーのほとんどが車いすの人が横から乗車するタイプとなっています。私が視察して乗ったバネットのような後ろから乗車するタクシーについては、そもそも台数が少なく、流しでは走っておらず、予約しないと利用することができません。また、そのバネットというUDタクシーは、2021年3月に生産中止となってしまいました。
 また、タクシーは3年から5年で買い換えると言われていますので、このままでは数年後には私のような大型の車いすを利用する人が乗れる流しのタクシーはなくなってしまいます。大型の車いすの人たちは、タクシーが必要なときに利用することができず、交通機関の足の確保がされていないために社会参加が妨げられている現状です。
 大型の車いすや電動車いすの場合、横からの乗車だと車内で回転できず、前向きに乗れないことで固定ベルトやシートベルトなどの装着もできず、危険を覚悟して乗らなければなりません。また、特に介護が必要な障害者の場合、ジャパンタクシーには介護者が横に乗れる座席がなく、障害者の人の体が倒れたりしたときに介護をすることができなくて、とても不安でタクシーに乗ることを諦めてしまう人もいます。このような大型の車いすの人がUDタクシーに乗れない現状は、誰でも乗れるユニバーサルデザインタクシーとは言えないと思います。
 前回の質疑では車両メーカーとも意見交換を継続すると言っていましたが、その後、大型の車いすでも乗れて介護者が隣に座れる車両の改良、開発について、どのような意見交換が今までなされていたのでしょうか。お答えください。

○政府参考人(堀内丈太郎君)
 お答え申し上げます。
 国土交通省では、自動車メーカーとの意見交換を通じて、大型車いす利用の実態も含めて、障害者団体の皆様のご要望の共有、そしてニーズを踏まえた車両の開発の働きかけを行ってまいりました。この意見交換の中で、自動車メーカーとしては、コスト面の課題などがあるため車両の開発が進んでいないということを伺っております。

○木村英子君
 そうですか。
 しかし、UDタクシーの認定を始めてから10年以上がたっていますし、私が質疑で提起してからも2年がたっています。大型の車いすの人が後ろから乗車できるタクシーは今ほとんど見かけませんし、車両が全く増えているとは思えません。
 大型の車いすの人たちが皆さんと同じようにタクシーに乗れるように国交省から車両メーカーに開発を進めるように働きかけていただき、大型車いすの人でも乗れるUDタクシーの開発、導入につながるように車両購入に当たっての補助金を増額することなど、スピード感を持って進めていただきたいと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
 ユニバーサルデザインタクシーを利用される障害者の方の中には、車いすの形態によっては利用したくても利用できない方がいらっしゃるなど、依然として様々な課題や改善すべき点があるものと承知しております。
 これまで行ってきた障害者団体との意見交換の中で、大型の車いすでも乗車でき、かつ後ろから乗車できるユニバーサルデザインタクシー車両の導入に関するニーズは伺っておりますので、引き続き、国土交通省からメーカーに対して車両開発の働きかけを行ってまいります。
 また、大型の車いす利用者も含めて、全ての人が利用できるユニバーサルデザインタクシーの普及に向け、予算、税制面などの様々なメニューを活用するとともに、関係省庁と連携しながらしっかりと取り組んでいきたいと思います。

○木村英子君
 そうですね。車両の開発は一刻も早くしていただきたいなと思っていますし、それに向けての補助金も考えていただきたいというふうに思っています。
 今まで当事者との意見交換をしてきてもらっていますけれども、大型の車いすで後ろから乗れるタクシーを希望している人はたくさんいます。そういう人たちの意見も聞いていると思いますけれども、やっぱり意見を聞くだけではなくて、やっぱりいま一度危機感を持って、誰もが取り残されない公共交通機関を実現していくためにも、これまでの当事者との意見交換の内容を踏まえた上で、大型の車いすの人の利用実態を調査して、そして把握した上で、国交省が中心となって当事者、車両メーカー、そしてタクシー事業者の意見交換や検討の会議体というものを早急につくっていただきたい。
 継続していく意味でも、この会議体がきちっと提起されて継続されていくということが大事だと私は思っていますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(斉藤鉄夫君)
 バリアフリー法の全ての国民が年齢、障害の有無その他の事情によって分け隔てられることなく共生する社会を実現するという理念にのっとって、全ての方がユニバーサルデザインタクシーを利用できるようにすることが重要と考えております。
 これまで障害者団体、自動車メーカー、タクシー事業者それぞれと意見交換をしてまいりましたが、大型の車いすも含めたユーザーの利用の実態を踏まえたより効果的な意見交換を実施すべく、スピード感を持って検討してまいりたいと考えております。

○木村英子君
 ありがとうございます。
 是非、大臣もUDタクシーの方に車いすに座ったままで乗っていただくような試乗をしていただけるといいのかなというふうに思います。
 今後もUDタクシーの開発、導入に向けて一刻も早く実現していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 質問を以上で終わります。

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