2020/3/18国交委員会 委嘱審査 質疑「駅のホームからの転落事故の防止について」

配布資料①

   

議事録

○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。会派を代表して質問いたします。
 今日は、前回、視覚障害者の駅のホームからの転落事故の防止について質問がまだ終わっていませんでしたので、再度質問させていただきます。
 国交省が作成した公共交通事業者に向けた接遇ガイドラインでは、ホームドア又は可動式ホーム柵が設けられていない場合には、視覚障害者誘導用ブロックの外側となる線路側を歩いていないか、転落の危険がないか安全を確かめる。また、いつもの移動なので手伝っていただく必要はありませんなどと支援を断る場合もあるが、安全確認が必要。見守って、危険がある際には声を掛け、安全なところまで誘導するとの記載があり、見守りは転落防止に最も重要であることが示されています。
 しかし、資料①を御覧いただくと分かるとおり、多くの駅が現在急速に人員の削減のため無人化を進めており、多くの視覚障害者の人たちが駅を利用する際、安心して駅を利用できなくて困っています。
 接遇ガイドラインでは見守りが必要であると書いてありますが、各駅では人員削減による無人化を推進してしまっています。このような矛盾した状況は、特に視覚障害者が駅を利用する際にはとても危険です。
 この状況を国交省はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の接遇ガイドラインでございますけれども、これは平成三十年に国土交通省において策定したものでございまして、その目的は、交通事業者が職員への教育訓練を行うに当たりまして、利用者の方々の利便性、安全性の確保のために実施することが望ましい事項について具体的な目安を示すことにあります。
 委員御指摘の見守りという点でございますけれども、これはこのガイドラインの中で見守るという言葉が確かに記述がございまして、これは視覚障害者を接遇する際の留意点として、支援の必要はないというふうに御本人から言われた場合においても、安全かどうかをできる限り見守ると書かれております。
 これは、一般論といたしまして、鉄道の係員が困っておられる様子の視覚障害者の方に気付いた際には、支援の必要はないというふうにその視覚障害者の方から言われた場合においても、可能な限り見守るんだという接遇の基本方法を示したものであるということでございます。
 一方で、委員御指摘のとおり、鉄道事業者において、利用者が少ないということでどうしても駅を無人化してしまうということもあるわけでございますけれども、その場合であっても、障害者の方々の利用実態を踏まえた上で、ITを活用した遠隔監視による見守りでございますとか、あるいはスタッフによる各駅の巡回でございますとか、あるいはほかの駅からの介助要員の派遣体制の整備などの対応を行っているところでございます。
 国土交通省といたしましては、鉄道事業者において、利用実態を踏まえた上で視覚障害者の方々の安全、安心の確保にきっちりと対応していけるように、鉄道事業者に対して引き続き指導してまいります。
○木村英子君 国交省としては様々な対策を障害者の方にしていただいているというところは分かりますけれども、もう一つ、転落というのは予想されるものではないので、ITによる遠隔監視をしていても突然の転落事故が起こった場合、その駅員の方はどうやって転落してしまった人を助けられるのでしょうか、教えてください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、転落は確かに予想されるものではございません。ITを活用した遠隔監視による見守りについてのお尋ねがございましたけれども、先進的な遠隔監視のシステムの場合ですと、駅のホームなどに設置をした監視カメラを通じまして、管理駅において、これは人がいる管理駅においてその専門の監視要員が常時無人駅のホームの状況を監視するような仕組みとなっております。
 このようなシステムを用いている場合には、その予測せざる転落事故が起こった場合には、監視要員が即座に列車運行指令に連絡をいたしまして、列車の運行を止めるとともに、現場へ係員を急行させて直ちに落ちた方を救助することとなっております。また、その監視要員が事前に危険を認めた場合には、ホーム上の利用者の方に対して遠隔で注意喚起放送を行って転落を未然に防止するというふうなことになっております。
 こういった取組に関しましては、鉄道事業者においては転落発生時の対応ということでマニュアルを定めるとともに、転落を想定した訓練も実施しておるということでございまして、そのような対応をすることによって転落した人を助けようという取組をしておるところでございます。
○木村英子君 ですが、例えば、ガイドラインの中では、声を掛けて断られても見守るというほど、結構、その当事者に添ってそばにいて見守るというのを書かれているんですけれども、実際に障害を持っている人って視覚障害者だけではないので、様々な人が、そばにいてのその声掛けや、あるいは肩を貸すとか腕を貸すというような介助などの直接的なコミュニケーションというものが必要なんですね。それがないと交通機関を使えないという状況がありますので、ハードの面のバリアフリーはまだまだ十分ではなくて、ホーム上に誰もいない状態というのは安心して駅を利用することができないし、そもそも駅を利用すること自体控えてしまうという意見が多数寄せられています。視覚障害者の人たちが危険を感じることなく駅を利用するためにも、駅員が常駐しての見守りが必要だと思います。
 次に、介助員の派遣体制について質問させていただきますが、駅によっては前日までの申出が必要と言われております。そもそも、駅の利用に際して健常者には付さない条件を障害者の人に付けるのは、障害者差別解消法の合理的配慮に欠けると思いますが、それについてお答えをお願いいたします。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 障害者の方が駅を利用される際に事前の連絡が必要とされているんじゃないか、また、それが障害者差別解消法などに照らして問題はないのかという御指摘だというふうに理解をいたしました。
 まず、駅を利用していただく際の事前連絡でございますけれども、係員による介助が必要な利用者の方が駅を御利用される際に、鉄道事業者におきましては、仮に事前の御連絡がない場合であっても可能な限り介助要員の派遣などの対応をしているところでございます。ただ、その場合には介助要員が派遣されるまでお待ちいただくこととどうしてもなってしまうものですから、待ち時間を減らして円滑に御利用いただくために事前の御連絡をしていただくという御協力をお願いしているところでございます。
 鉄道を障害のある方に御利用していただく場合におきましても、障害のある方とない方の取扱いを可能な限り同様なものとして、障害者の方に御不便なく鉄道を利用していただくようにするということは大変重要なことだというふうに私どもも思っておりまして、障害者差別解消法においても、事業者に対しまして合理的な配慮の努力義務が求められているということだというふうに理解をしております。
 こういった法の趣旨も踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
○木村英子君 ちょっと大臣にお伺いする質問を言い忘れてしまいましたので。
 障害者の方が安全に公共交通機関を使う権利というものが保障されていると思います。しかし、いろいろなバリアによってなかなか難しい現状にありますが、鉄道においても安全を確保するために、見守り人員の配置を国の責任で保障できる法整備を検討していただけるようにお願いしたいのですが、大臣にお答えをお願いいたします。
○国務大臣(赤羽一嘉君) バリアフリー政策というのは、私かねがね申し上げていますように、福祉政策ではなくて当然なすべき政策として考えていかないと、それはなかなか進捗してこないという信念で取り組んでまいりました。
 それはそうなんですが、しかし、他方、現状と目指すべき目標というのはやっぱり乖離があって、そこを埋めるのはやっぱり時間が掛かるというのも現実でありますので、一歩一歩進めていかなければいけないと承知をしております。
 先ほど、無人の駅についても全ての駅に見守りをする係員が常駐していれば、障害を持たれている方が鉄道を利用する際に安心だというのはまさにそのとおりだというふうに思っておりますが、現実、今見ますと、全国で駅が九千四百六十四駅ありますが、無人駅は実に四千四百七十八駅、四七・三%なんですね。ここをいきなり全部有人化しようというのは、これはそんな簡単な話ではないと思います。
 ただ他方、ちょっと、先ほども質問聞いていましたが、都心の、資料に配られております千駄ケ谷とか、こうした駅まで無人の時間帯というのはちょっと、いささか問題があるんではないかなというふうに思いますし、ちょっと、それはそれで、やむを得ない駅と配置すべき駅というのをもう少し精査をすべきではないかというふうに私は思っておりますので、その点はしっかりと進めていきたいと思います。
 加えて、今国会でバリアフリー法の改正案を提出する予定としておりますが、この中身はいわゆる心のバリアフリーの、ソフト対策の強化でございまして、駅員、駅係員がそれを全てなすということだけではなくて、一般の国民の皆さんもやっぱり、利用者でありますけれども、利用者の皆さんが、同時に、障害を持たれている方の安全を確保するために見守りもすることが当たり前の社会にしていかなければならないし、そうすることが私は真の共生社会の実現に向けた取組だというふうに思っております。
 障害者の皆様から見るとなかなか御満足いかれない状況かもしれませんが、一つ一つできることから、目標は掲げながら着実に前に進めていきたいと、こう思っております。
○木村英子君 今の答弁、ありがとうございました。
 大臣の答弁の中で言われていることですが、全国の駅の約半数が無人駅となっているという状況です。でも、現実的には、全ての駅に見守りのための駅員を配置するのは難しいというふうにおっしゃっていましたが、様々な障害を抱える人たちにとって、人とのコミュニケーションは最も重要な合理的配慮の一つだと思います。
 構造的又は効率的な観点を重視し過ぎると、障害者が交通機関を安心して利用することができません。社会参加がその上で困難となります。また、乗客の方の心のバリアフリーも大切だと思いますけれども、駅のことを熟知している駅員の介助や見守りが障害者の安全を守るためには最も必要な合理的配慮だと思います。
○委員長(田名部匡代君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○木村英子君 分かりました。
 この見守りの問題とそれから無人駅の問題についてまだまだ質問はありますので、また再度質問させていただきます。
 以上です。

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