2021.5.20国土交通委員会 長期優良住宅法改正案質疑『長期優良住宅にバリアフリーの視点を』

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 本日は、障害当事者の立場から長期優良住宅について質問いたします。今回の長期優良住宅法改正案は、数世代にわたり使用できる資産としての住宅を促進する長期優良住宅認定制度をより使いやすくするための法案となっています。長期優良住宅は耐震性や省エネ性も重要ですが、バリアフリーの視点も取り入れて家を建てれば、高齢化で体が不自由になったり障害を持った場合でも、誰もが住みやすく、そして長く住み続けられる住宅になると思います。
 資料1をご覧ください。平成13年の第8期五か年計画では、手すりの設置、広い廊下幅の確保、段差の解消、この3点を備えているバリアフリー住宅の割合を全体の20%まで増やすという数値目標が立てられていましたが、平成15年時点では3.4%にしかなりませんでした。
 その後、平成18年には住生活基本計画に変わり、平成27年までにバリアフリー住宅の割合を、全体ではなく、高齢者が住む住宅の25%にするという目標が立てられました。しかし、資料2の総務省の住宅・土地統計調査によると、手すりの設置、広い廊下幅の確保、段差の解消の3点を備えている高齢者が住む住宅のバリアフリー化率は平成30年時点で8.8%しかなく、数値目標の達成には程遠い現状です。
 資料3をご覧ください。次に、アパートやマンションなどの共同住宅においては、道路から各部屋の玄関まで車椅子やベビーカーで通行可能な住宅ストックの比率は、平成25年から平成30年まで全く変わらず、約17%となっています。さらに、公営住宅においても、バリアフリー化率は24%にとどまっています。このように、民間の住宅と公営住宅の両方においてバリアフリー化された住宅は増えていないのが現状です。
 障害を持っている人にとって安心して日常生活を送るには、住宅のバリアフリー化が不可欠です。また、障害を持っていない人にとっても、住宅を建てる段階から将来を見据えてバリアフリー化した住宅を増やすことで、超高齢化社会にも対応していけると思います。
 特に長期優良住宅は長く使ってもらうことを前提とした住宅ですので未来を見据えた住宅づくりが必要であり、障害者、高齢者、子育て世代など、あらゆる人にとって住みやすい住宅を確保するには建てる段階からバリアフリー化することが重要だと思います。
 しかし、長期優良住宅のリフォームの際にはバリアフリー化にも使える補助がある一方で、新しく建てる場合にはバリアフリー化への補助がありません。長期優良住宅は世代を超えて何十年も使える住宅を目標にしているのですから、新築時においてもバリアフリー化の選択肢を設けることが未来を考えたときに有効な施策になると思います。
 ですから、長期優良住宅を建てる際の選択肢の一つとして、バリアフリー化を進めるために国が補助や税制優遇などの支援をすることを含めて検討していただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。


○政府参考人(和田信貴君)
 お答えいたします。
 まずは、バリアフリーの進捗率、これが十分に達成されていない、あるいは数字が全然変わっていないということについて申し訳なく思います。
 ご質問の長期優良住宅の関係で申しますと、住宅を新築する場合、長期優良住宅に限らず、寝室と便所が同一の階にあること、廊下幅が78センチ以上であること、便所の長辺が1.3メーター以上であることなどの要件を満たす場合には、住宅金融支援機構による融資において金利の引下げを行ってございます。
 現在このような支援を行っておりますが、バリアフリー化されている長期優良住宅ストックの普及を促進する観点から、長期優良住宅の認定基準に加え、更なるバリアフリー性能の引上げを実施する住宅に対する支援の強化について検討させていただきたいと思います。

○木村英子君
 ありがとうございます。では、引き続き検討のことをお願いいたします。
 次に、資料4をご覧ください。アメリカやイギリスでは住宅が取り壊されるときの築年数の平均が66年から80年なのに対し、日本はたったの38年と短い年数になっています。日本においての現状は、相続や老朽化などの理由で住宅を処分し、またそこに新しい家を建てるということを繰り返してきました。長期優良住宅の本来の目的は、造っては壊すというスクラップ・アンド・ビルド型の社会から、いい物を造って、きちんと手入れをして長く大切に使うということをうたい、次の世代へとつないでいくことを重視しています。
 その目的を達成するために、長期優良住宅を建てた人が使わなくなったとき、長年住み慣れた家を壊してしまうのではなく次の世代に利活用してもらえる仕組みをつくることで、長期優良住宅を建てたいと思う人が増えていくと思います。
 資料5をご覧ください。例えば、現在行われている取組の一例として、一般社団法人移住・住みかえ機構、JTIでは、長期優良住宅などの性能の良い住宅を借り上げて子育て世帯などに貸し出す、マイホーム借り上げ事業を行っています。この制度は、貸主に対する家賃保証があり、取り扱っている物件も安くて性能が良いことから、すぐに借り手が見付かり、97%の物件が埋まっています。このような事業を国としても推進していただきたいと思っています。
 また、自治体が長期優良住宅を公営住宅として借り上げ、バリアフリー化も含めた優良な住宅を必要とする障害者や高齢者のような要配慮者に貸し出す制度をつくることで、長期優良住宅の促進だけではなく、要配慮者の住宅確保の問題をも解決できると思います。
 このように、障害者や高齢者が利用しやすいバリアフリー化も含めて長期優良住宅を建てて、さらに次世代へ継承していくための新たな枠組みとして、民間の借り上げ制度の後押しや公営の借り上げ制度を活用することを検討していただきたいと思っておりますが、赤羽大臣のお考えをお聞かせください。


○国務大臣(赤羽一嘉君)
 これは午前中の答弁でもさせていただきましたが、いろんな今の住宅政策の問題点、まず、国民の皆さんが住宅取得そのものに係る費用の負担がかなり高いということとか、住み続けないということで空き家が大変増えているということ、また、これも長く使わないということなので、子供が独立した後も引き続きそこの一軒家に住み続けなければいけないとか、それができなくてマンションに移って空き家になってしまうとか、様々な問題があり、そうした中で、まず既存住宅の市場活性化を目指す以上は、その前提として、長期優良住宅というものを国として掲げ、耐震性ですとか省エネ性ですとかバリアフリーですとか、そうしたものも良質な住宅ストックをつくっていくということでございます。
 ですから、特にライフステージに応じた住み替え支援ということで、今御紹介いただきました、一般社団法人移住・住みかえ支援機構、これ立ち上げのときから国交省も応援をしているんですけど、まあ褒めていただいているんですけど、実は、多分、成約97%と言われているんですけど、多分1000件ちょっとしかなくて、何をやっているのかなという感じなんですね、これは現実には。だから、私は、これ、もうちょっとオーダーが違うぐらい、数十万件やれるような制度じゃないとやっぱり国が関わっているとはちょっと言えないと思いますので、ニーズはあるんですけど、多分、これ立ち上げたときから若干ちょっと懸念、私、これは個人的に懸念していたとおり、余り成果が上がっていないというここは評価なので、やっぱり住み替えの支援に見合うようなことをもう少しちょっと力を入れてやりたいと、こう思っております。
 加えて、今ご提案の、長期優良住宅を活用して住み替え支援に使うですとか、公営住宅として借り上げてセーフティーネット住宅として要配慮者の皆さんに賃貸すると、これ、そうしたアイデアというのはあり得ると思いますが、取りあえずまだこれから始めるところでありますので、長期優良住宅そのものがもう社会に定着をして、国民の皆様の中でしっかりとした認識の中でこそそうしたことが機能できるというふうに思っておりますので、今日のお答えとしては、そうした課題があるということを認識しながら、しっかりと将来的な課題として検討をさせていただきたいと、こういうことでございます。


○木村英子君
 ありがとうございました。質問は終わります。

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