2025.3.7 参議院 予算委員会「なぜ介護の必要な障害者は選挙に出られないの?」

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 石破総理大臣に質問します。
 今年、東京都議選、参議院選挙があります。しかし、重度訪問介護などの介護制度を利用している障害者は選挙に立候補できない現状にあります。

資料1(パネル)厚生労働省告示第523号

それは、このパネルに書かれている厚労省の告示523号の「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く。」という文言によって障害者の社会参加に必要な外出が制限されているからです。
 この重度訪問介護を含めた介護制度は家の中での介護を中心とし、食事、トイレ、入浴、体位変換、見守りなど、介護の必要な障害者が地域で生きていくためにはなくてはならない命綱となっている制度です。しかし、外出介護については、障害者本人が自由に外に出たくても、告示にある社会通念上適当でない外出を除くという文言によって自治体が認めた外出以外は利用できず、介護の必要な障害者の社会参加は阻まれています。特に政治活動や選挙活動については重度訪問介護などの介護制度は利用を制限されているため、選挙に立候補することは到底できません。
 厚労省の告示によって私たち障害者から憲法でも認められている参政権を奪わないでください。私たち介護の必要な障害者が当たり前に政治活動や選挙活動に参加できるように厚労省告示523号の文言を撤廃してください。総理の見解を求めます。

○内閣総理大臣(石破茂君)
 必要であれば厚生労働大臣から答弁を申し上げますが、重度訪問介護の利用につきましては、障害者総合支援法上各市町村におきまして支給の要否を決定するものでございます。外出の目的が選挙運動や立候補予定者の政治活動のためであるということのみをもって一律にこれを社会通念上適当でない外出に当たるものではないとの点につきまして、この場で改めて確認をさせていただきます。また、自治体に対しまして、厚生労働省より来週開催をいたします関係課長会議の場におきまして広く周知をすることといたしております。
 ご指摘をいただきました告示の規定は、重度訪問介護の外出時の利用範囲を定めているものでございまして、廃止をすることは考えておりませんが、当事者などのご要望、自治体の考え方を伺いながら、必要に応じまして解釈の明確化などの対応をいたしてまいります。

○木村英子君
 今の総理の答弁によりますと、選挙運動や立候補予定者の政治活動のための外出については認めると言っていますけれども、立候補するかしないかにかかわらず、告示によって政治活動や選挙活動を禁止することは障害者の参政権に抵触しているとしか思えません。また、国が自治体に対して周知を図るといっても、国の通知などはあくまでも助言にすぎず、自治体に対する強制力はありません。そのため多くの自治体においては、この法的拘束力のある告示523号の社会通念上適当でない外出という曖昧な文言を勝手に解釈して、外出の内容を制限し、重度訪問介護などの給付を容赦なく打ち切られ、障害者の命を削られるほど苦しい声は無視され続けています。

資料2(パネル)自治体による「対象とならない外出」

 例えばこのパネルにあるように、札幌市では移動支援のガイドラインで選挙運動等の政治活動を禁止していますが、ほとんどの自治体が重度訪問介護にも同じ運用を適用しています。ですから、この告示が撤廃されない限り、私たち介護の必要な障害者は、行政から介護派遣を打ち切られ、命の危険に脅かされながらも選挙に出るか、それとも命を守るために選挙に出ることを諦めるか、その二者択一しかない状況です。
 障害者の参政権を保障するために、改めて告示523号の文言を撤廃を強く求めます。総理、再びお返事をお願いいたします。

○国務大臣(福岡資麿君)
 重度障害者の方々の就労時の介助支援につきましては、事業主による障害者の方々への合理的配慮の観点から、重度訪問介護の対象としてございません。
 その政治活動の中には、例えばその歳費が支給される議員としての公務のように、この就労時に相当するものも含むために、政治活動全般の重度訪問介護利用を認めることは、その政治活動とその他の就労との間の公平感に鑑みても難しいと考えてございます。
 ただ、政治参加については様々な活動があり得ることから、当事者等のご要望や自治体の考えを伺いながら、必要に応じてこの解釈の明確等、明確化などの対応をしてまいりたいと考えています。

○木村英子君
 済みません、総理から意見をいただきたいんですが。お願いします。

○内閣総理大臣(石破茂君)
 今、福岡大臣からお答えをいたしましたが、来週、厚労省におきましてでしょうか、関係課長会議というのを開催をいたします。そこにおいて解釈の明確化ということを徹底をいたしまして、これが参政権に関わるものというご指摘もございましたが、それだけ重大な問題でございますだけに、地域によって解釈が変更を、解釈にそごが生ずることがございませんよう、今の委員のご指摘を踏まえまして、厚生労働省として適切に対応をいたしてまいります。
 私もその報告は受けまして、いやしくもそういうような権利、障害をお持ちの方々の権利というものが損なわれることがないように、政府として対応をいたしてまいりたいと思っております。

○木村英子君
 これからもこの問題については追及させていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

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