○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
本日は、小規模店舗のバリアフリー化について質問します。
今年の4月から障害者の合理的配慮の提供については民間事業者も義務となりましたが、様々なバリアの中でも、小規模店舗のバリアの解消はかなり遅れています。例えば、車いすを利用している人が街なかのお店に入りたくてもデパートやファミリーレストランなどの大きな店舗しか利用できず、ほかのお客さんのように行きたいお店で好きなものを食べるという当たり前の楽しみは実現できない環境にあります。
資料1をご覧ください。
これは、障害当事者団体であるNPO法人DPI日本会議の行ったアンケートです。このアンケートによると、車いすで明らかに入れるお店で、お客も少なく席も空いているのに、これから客が増えるから無理だと断られたり、カフェに簡易電動車いすの友達と入ろうとすると、最初は満席と断られ、席が空くまで待ちますと伝えましたが、今度は、店内が狭いから、テーブルの高さが車いすに合わないから、ほかのお客さんがいて危ないからなどの様々な理由で店内に入れてもらえなかったり、盲導犬利用者と数名で回転ずし店に食事に行ったとき、うちは生ものを扱っているのでちょっと困ると来店を拒否されたりといった飲食店での入店拒否の差別事例が示されています。私自身の体験では、喫茶店に入ろうとしたとき、車いすの方がいるとほかのお客さんが入らなくなるのでという理由で入店拒否をされたことがあります。
私たち障害者は、普通に食事をしたいだけなのに、お店に入るたびに、入店拒否に遭うのではないか、周りに白い目で見られるのではないかと構えてしまい、そのたびに大きな勇気を必要とします。このような周囲との心のバリアは、建物などのハードのバリアの改善が進むことで障害者が入れるお店が増えていき、心のバリアの解消も進んでいくと思います。
しかし、ハードのバリアの解消についてはバリアフリー法によって2000平米以上の大きな店舗しか義務化されておらず、街なかの飲食店などの小さなお店では、階段や段差があったり床に固定されたいすが多いために、ハードのバリアによって入店できないお店がほとんどです。また、喫茶店などの小規模店舗に入りたくても、車いす用のトイレがないため行くことすら諦めてしまう人や、車いすの人が複数人で利用できるお店がほとんどない中で、どうしても複数でお店に入りたい場合はあらかじめ予約するしかなく、ふらっとお店に入れないことに疎外感や差別を感じることは日常茶飯事です。
国土交通省では、令和2年に小規模店舗のバリアフリー化についてワーキンググループを立ち上げ、令和3年に小規模店舗のガイドラインを作り、令和4年度からは国交省のバリアフリー環境整備促進事業の中に小規模店舗等のバリアフリー改修の支援制度を創設しました。しかし、実際にはガイドラインや補助金は余り活用されておらず、バリアフリー化されたお店が増えているようには実感できません。
そこで質問しますが、資料2では、国交省は令和5年7月に、日本ビルヂング協会連合会などの業界団体に対して事務連絡を発出しています。
その事務連絡にはバリアフリーの補助金の記載が全く書かれておらず、これでは、せっかくつくった補助金が事業者に知られることも活用されることもありませんから、小規模店舗のバリアフリー改修は進みません。
ですから、改めて業界団体に対し、補助金を周知徹底するための事務連絡を発出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(石坂聡君)
お答えいたします。
バリアフリー環境整備促進事業は、地方公共団体において支援制度を設けていただくことが前提となりますが、令和4年度から、小規模店舗等の既存建築物のバリアフリー改修を支援できるようになっております。本事業について、日本ビルヂング協会連合会等の関係団体を通じ、会員各企業やテナント等に情報提供がなされるよう改めて事務連絡を発出し、周知してまいりたいと思います。
○木村英子君
すぐに事務連絡を出していただきたいと思います。
また、国交省の小規模店舗の補助金を事業者が使うためには、自治体がバリアフリー環境整備促進事業を活用した補助事業をつくることが前提とされています。各自治体では、小規模店舗のバリアフリー化を進めているところもありますが、補助金の周知も不十分なことから、バリアフリー化の補助事業をつくっていない自治体が多い状況です。
ですから、自治体に対して事務連絡の発出や市長会などの会議体での周知を改めて行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(石坂聡君)
国土交通省では、これまでも毎年、研修や説明会等の様々な機会を捉えて地方公共団体の担当者の方に周知してきたところではありますけれども、特に小規模店舗のバリアフリー改修についてもバリアフリー環境整備促進事業で支援できる旨を、事務連絡の発出や説明会等での情報発信を通じて、こちらにつきましても改めて周知してまいります。
○木村英子君
この件についても早急に周知していただきたいと思います。
しかし、この補助事業は、5万人未満の市や町村はバリアフリー基本構想や条例などを作っていなければ使えないという仕組みになっています。5万人未満の自治体が条例や基本構想を作るにしても、手続が煩雑なために自治体によっては対応が難しく、結局補助事業を利用できないことで小規模店舗のバリアフリー化が進まない状況にあります。
食事や買物は日常生活を送る上で生きていくために欠かせない営みであり、小規模店舗のバリアフリー化は自治体の大きさに関係なく必要不可欠だと思います。ですから、5万人未満の小さな市や町村でも小規模店舗のバリアフリー化が進むように、全ての自治体がこの補助金制度を利用できるように対象を拡大していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(石坂聡君)
バリアフリー環境整備促進事業の補助対象の区域は、令和4年度に、バリアフリー法に基づく移動等円滑化促進方針、基本構想又はバリアフリー条例の区域まで拡大したところでございます。
まずは、障害者の方の社会参加を促進する観点から、地方公共団体においてバリアフリー法に基づく移動等円滑化促進方針や基本構想等を定めていただき、本事業を活用していただくことが望ましいものと考えているところでございます。
なお、今後、基本方針等を定めていない地方公共団体に対しても補助対象地域に関するご意見を伺うなど、実態把握に努めるとともに、その結果を踏まえて必要な検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○木村英子君
これについては実態把握を早急に行ってもらい、改善を進めていただきたいと思っています。
既存の店舗のバリアフリー化を進めるということはもちろんのことですけれども、新設の店舗についてもバリアフリー化を進めなければ、障害者の人が小規模店舗に入れない状況は変わりません。
資料3をご覧ください。
DPI日本会議が国交省に対し、令和4年と令和5年続けて、小規模店舗のバリアフリーの義務化の要望を出しています。私も令和2年に国交省の質疑で、小規模店舗のバリアフリーの義務化や合理的配慮について取り上げさせていただきましたが、それから4年たった今でも小規模店舗のバリアフリーの義務化は実現していません。
海外では法律によって小規模店舗でも車いすの人が入れるようにバリアフリー化されているところもありますけれども、日本においてはガイドラインしかなく、まだまだ安心して小規模店舗を利用できる状況ではありません。今後新設される小規模店舗については、早急にバリアフリーを義務化するべきだと思います。
今年度、バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会を行うと聞いておりますので、その検討会の中で小規模店舗のバリアフリーを義務化することについて、障害当事者の参画の下、検討していただきたいと思っていますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
高齢者、障害者を含む全ての人が住みよいまちづくりを進める上で、小規模店舗も含めた建築物などのバリアフリー化を進めることは重要な課題と認識しております。
国土交通省では、令和3年に、建築物のバリアフリー化のガイドラインである建築設計標準の見直しを行い、小規模店舗を効果的にバリアフリー化するための知見などを取りまとめ、周知を行ってきたところでございます。
その上で、国土交通省としては、現行のバリアフリー整備目標の期限が令和7年度までとなっております。今後、その後の目標を定めなくてはなりません。今後、障害当事者団体、関係事業者、有識者等からなるバリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会を開催いたしまして、令和8年度を初年度とする次期バリアフリー整備目標やバリアフリー法及びその関連施策について、幅広く検討を行っていくこととしております。5月中にこの第1回のキックオフの会合を開きたいと思っております。
この検討会におきまして、小規模店舗のバリアフリーを義務化するべきとの委員のご指摘も含めた様々なご意見を踏まえ、関連施策の在り方について検討してまいりたいと思います。
○木村英子君
大臣、私たちは一刻も早く街のバリアが解消されて、安心して生きていける地域を強く望んでいます。親しい人と行きたいお店に行って、食べたいものを食べる、そんなお店を増やしていくためにも、当事者の意見を踏まえて、小規模店舗のバリアフリー化の義務化と、それから補助金の改善について、早急な検討をお願いしたいと思います。以上です。