2024.5.15参議院 国民生活調査会 委員間の意見交換「生きづらさを抱える当事者が取り残されないように!」

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 この調査会のテーマである誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築には、社会で生きづらさを抱えている当事者の方たちが取り残されないための様々な取組が急がれています。
 まず、地域経済とコミュニティーの活性化については、障害者の方が地域で暮らすための家探しが非常に高いハードルとなっている現状において、平山参考人からは、空き家に対して行政がもっと補助金を出してバリアフリーに改造して障害者に供給するということが提言されていました。
 また、ジェンダー平等と働き方については、今の雇用施策が基本的に長時間労働や転勤をいとわずに働ける人を前提としており、障害や慢性疾患のある人、あるいは子育てや家族の介護などに携わる人たちが周辺に追いやられる中で、誰もが合理的配慮を受けて働き、その力を発揮できるような労働環境の整備が必要だと感じました。そして、特に介護の必要な障害者が就労から取り残されないためにも、就労中の介護保障の法整備も同時に進めていく課題であることを再認識しました。
 また、ユニバーサルデザインのまちづくりについては、佐藤参考人が、新幹線のバリアフリーなどは進んでいる一方で、生活に欠かせない小規模店舗や住宅などの建物のバリアフリー化が特に進んでおらず、障害者が地域でバリアを感じずに生活するための環境整備が遅れていることを指摘されました。
 そして、伊藤参考人からは、聴覚障害者の方は教育、労働、医療など様々な場面において十分な手話通訳の保障がないため、コミュニケーションが取れず、孤立感や疎外感を受ける環境にあることや、合理的配慮が行き届かない現状においては、災害時に情報が得られず逃げ遅れる人が多く、聴覚障害者の方の災害時の死亡率は健常者の2.5倍となっている実態をお話しされました。
 参考人の方々の重要な提言は、住宅、交通、労働、教育、介護、公共施設など、社会に混在する全ての課題につながっています。差別されることなく誰もが取り残されない社会を築くには、幼いときから分け隔てられず、多様性を認め合い、コミュニケーションを取れる環境づくりが不可欠です。そのためには、障害者も健常者も一緒に生きていける社会を築く糸口として、小国参考人がお話しされていた、同じ教室で学び、遊び、育つ、インクルーシブ教育を実現していくことが最も必要であると考えます。
 誰もが取り残されない社会を実現していくために、昨年の調査会でも提案させていただいた障害者基本法の教育の条文の改正や、学校における合理的配慮の提供ための制度などを検討するプロジェクトチームをつくり、インクルーシブ教育の推進を図るための具体的な施策を検討していくことを今回の調査会においても委員の皆様に再度提案させていただきたいと思いますので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。以上です。

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