○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
本日は、障害者の新幹線の利用に関して質問いたします。
全ての人の社会参加に欠かせない公共交通機関の中でも、新幹線についてはまだまだ安心して鉄道を利用するには設備や合理的配慮の面において課題が山積しています。特に、鉄道のダイヤの混雑時の利用については、支援の必要な障害者や高齢者に対する配慮が整っていない現状があり、社会生活の妨げになっていると、困っているという声が寄せられています。
例えば、現在、東京発の上越新幹線では、午後6時以降、車いすスペースについて、グリーン席しか予約ができない仕組みになっていることで、車いすを利用している障害者や高齢者が新幹線を利用しづらくなっています。元々新幹線の車いすスペースは少ない上に、予約方法までも制限されてしまったら、せっかく設置された車いすスペースが利用しづらくなってしまい、本末転倒です。
午後6時以降の指定席が予約できないことで、グリーン席しか選択肢がなく、介助が必要な障害者は介助者の分を含めた2倍の料金が掛かり、金銭的な負担が重くなってしまいます。例えば、東京駅から新潟駅までの指定席料金は、介助者の分を含め片道10,480円ですが、グリーン席は17,800円と、7000円以上も高くなります。このように、経済的負担が重くなるため、新幹線に乗ることを諦めざるを得ない人も出ています。
また、今月から、障害者差別解消法の改正により、民間の事業者の合理的配慮の義務化が開始されましたが、このようなダイヤの運行の取扱いは障害者差別解消法の理念に反しており、何のために車いすスペースが増設されたのかが分かりません。車いすを利用している方が車いすスペースの予約や指定券などの料金による格差が付けられることは、健常者に付さない条件を障害者に付す差別的取扱いに当たりますので、障害があっても新幹線を安心して利用できるように、合理的配慮を徹底していただきたいと思います。
そこで、質問いたします。
新幹線の予約の時間帯の制限をなくし、車いすの方が車いすスペースをいつでも予約できるように、JR東日本に対し働きかけを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(村田茂樹君)
お答え申し上げます。
障害のある方々を含め、誰もが安全かつ円滑に鉄道サービスを利用できる環境を整備することは大変重要であると考えております。
委員ご指摘のとおり、上越新幹線などでは、車いす対応の座席が設置されている車両が主に夕刻の時間帯におきまして自由席となっているため、車いす対応の座席を予約できない状況が生じていると承知をしております。
国土交通省といたしましては、今ご指摘いただきましたご意見を鉄道事業者にお伝えするとともに、車いすの利用者の方にも配慮した必要な検討を行うよう働きかけてまいります。
○木村英子君
車いすの方がスムーズに乗れますように、配慮の方を徹底してお願いいたします。
次に、多目的室の利用についてお尋ねします。
新幹線には、障害者の方が優先的に利用でき、ベッドが設置され、スペースが広い多目的室があります。そして、介助が必要な障害者の方が多目的室を利用する場合には、付添いの介護者も同席できることになっています。しかし、上越新幹線では、多目的室は一人での利用なので介助者は付添いはできませんと言われ、多目的室の利用において介助者の付添いが断られることがあるという困っている事例が報告されています。
同じ会派の天畠議員も、先日、公務で上越新幹線の多目的室を予約しようとしたところ、JR東日本から、多目的室は1名での利用になるので、車いすの方だけ利用していただきます、お連れ様の方は通常の座席に座っていただきますと言われたそうです。天畠議員は、介助者がいないと呼吸管理やコミュニケーションが取れず体に危険が及ぶので、介護者の付添いは不可欠です。
この問題については、国交省に確認していただいたところ、駅側の対応の間違いということが分かりました。
しかし、支援の必要な障害者にとって介助者は欠かすことができない存在であり、離れると障害者の命の危険すら招きかねません。
今後、このような間違いが起こらないように、新幹線の多目的室の利用について、国交省からJR各社に対し、多目的室には介助者の付添いが可能であることを周知徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(村田茂樹君)
お答え申し上げます。
今ご指摘いただきました新幹線の多目的室における介助者の付添いにつきましては、新幹線を運行しているJRの各社に確認いたしましたところ、介助の目的で同行される方が入室することは問題ないとの回答をいただいております。
国土交通省といたしましては、新幹線を運行しているJR各社に対しまして、このような取扱いが現場でも徹底されるように適切な社内教育を行うことを促してまいりたいと考えております。
○木村英子君
よろしくお願いします。
次に、新幹線などのウェブ予約についてお伺いします。
先月から、JR東日本や西日本において、障害者割引や車いすスペースについてもウェブ予約ができるようになりました。ウェブ予約でできるということは便利になったということでいいことではありますけれども、しかしマイナンバーカードの提示が必須となっており、プライバシーの不安などからマイナンバーカードを持っていない障害者の方がウェブで購入できない仕組みとなっています。
このことについては、昨年の12月に国交委員会の質疑において、マイナンバーカードを取得していない障害者の方でもウェブでの障害者割引の乗車券を購入できる仕組みをつくってもらいたいということを要望させていただきました。その後、国交省から、JR各社に対して、マイナンバーカードを持っていない人でもウェブ予約ができる方法を考えるように促していただいたところです。
しかし、現在まで、ウェブ予約についてマイナンバーカードが必須であるということは変わっていません。せっかくウェブ予約が開始されても、マイナンバーカードを持っていない障害者の方が障害者割引による乗車券をウェブで購入することができない、こういった仕組みは障害者のお客様を分断することであり、配慮に欠けていると思います。
その上、全国においてみどりの窓口が次々と閉鎖されている中で、数少ない窓口には長蛇の列ができ、チケットの購入に長時間掛かってしまうということは少なくありません。特に、障害者の方の場合は、みどりの窓口の駅まで行くのが困難な方が多い現状があり、何重ものバリアを抱えています。
資料1をご覧ください。
これは、全国視覚障害者協議会という障害者団体の会報の抜粋ですが、みどりの窓口が閉鎖されてしまった駅で障害者割引の乗車券を購入しようとしたところ、みどりの窓口のある別の駅に行ってくださいと言われ、当日の切符購入を諦めた視覚障害者の方の声が載っています。ほかの駅に買いに行ってくださいと言われても、重度の弱視の方や全盲の方の場合、駅員にガイドを頼むか、あるいはガイドヘルパーに依頼せざるを得ません。無理して一人で行くと、駅の構造も分かっていないことも多く、転落のリスクも高くなると聞いています。このように、みどりの窓口が削減されていることで、障害者の社会参加が妨げられており、多くの苦情が来ているところです。
また、前回も資料として上げさせていただきましたが、日本障害フォーラムの藤井代表は、ウェブ予約について、便利になることは良いが、障害者の間で格差ができる可能性があるサービスを社会性の高い公共交通機関がつくるのは良いことではない、マイナンバーカードを使わずに同様のサービスを受けられる方法を考えることができるはずだと述べており、今後、障害者の間の格差を生まないためにも早急な改善が必要です。
全ての障害者の方の社会参加を促進するためにも、一刻も早くマイナンバーカードを持っていない障害者の方でも障害者割引の乗車券をウェブで購入することができる仕組みをつくるために、JR各社と障害当事者団体での検討の場を設けていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
障害者割引乗車券のウェブによる購入につきましては国土交通省から鉄道事業者に対して検討を要請してきたところですが、今年の2月より、JR東日本及びJR西日本において、マイナポータルと連携してこうしたことが可能になるサービスが開始されたものと承知しております。
マイナンバーカードをお持ちでない障害者の方がウェブ上で障害者割引乗車券を購入できるようにすることについては昨年12月に本委員会で鉄道局長から答弁しましたとおりでありますが、障害をお持ちの方を含め、利用者利便の確保や向上について常に検討していくことは重要であり、今後も引き続きJRに対してその一環として考えるよう促してまいります。
なお、JR東日本におきましては、障害者割引乗車券のウェブ以外の購入方法についても分かりやすい案内を進めており、具体的には、自動券売機で購入した小児券により代用できることや、駅窓口で代理の方が購入できること等の案内をJR東日本ウェブサイトにおいて追加したと、このように承知しております。
ご指摘の検討の場につきましては、障害者団体の方々と鉄道事業者を交えた意見交換を随時行っておりますので、このような機会の活用を含め、引き続き障害者の方のご意見を伺いながら、国土交通省としても対応を考えてまいりたいと思います。
○木村英子君
ありがとうございます。
マイナンバーカードを持っていない障害者の方たちも同様にサービスを受けられるように、また、ウェブでのサービスが受けられるようにしていただきたいと思いますし、そのマイナンバーカードを持っていない人たちがどうやってウェブを利用して乗車できるかについて当事者との話合いというものを持っていただきたいと思っておりますので、今後改善をよろしくお願いいたします。これからも注視していきたいと思います。
では、以上で終わります。