2023.3.15 参議院 予算委員会 一般質疑「深刻な介護の人手不足について」

○木村英子君
 れいわ新選組の木村英子です。
 深刻な介護の人手不足について、障害当事者の立場から質問いたします。
 従前から介護のヘルパーによる人手不足は慢性的な問題となっておりますが、この3年にわたるコロナの被害は、介護の必要な障害者や高齢者の日常生活に深刻な影響を及ぼしています。
 コロナ禍においては、感染を恐れてヘルパーが派遣されず、食事やトイレの支援が受けられず病気や障害が悪化してしまったり、ヘルパーの離職が相次ぎ介護事業所が廃業し、突然派遣を打ち切られ、生活に支障を来している障害者や高齢者の方がたくさんいます。
 令和4年度の報酬改定において処遇改善加算を月額9000円程度増額されましたが、資料1をご覧のとおり、介護職員の給与は全産業平均と比べて75万円も少なく、昨年の増額分だけではコロナによって離職したヘルパー不足を取り戻すことはとても難しい現状です。


 また、今月の13日からはマスクが個人の判断に任されることになり、コロナが収束したように、向かっているように言われておりますが、しかし、介護現場では、コロナの影響による危機はまだまだ終わっていないのが現状です。少ない人数で介護を補い、利用者の生活と命を支えるために休みなく働いているヘルパーの人たちもいます。さらに、物価高騰が追い打ちを掛け、重労働の介護職からほかの現場に、ほかの職場に移ってしまう人が多く、ますます人手不足が深刻化しています。このままでは、介護を必要な障害者や高齢者は、生活どころか命を保っていくことができなくなってしまいます。
 どうかこの深刻な人手不足を解消していくためにも、早急に処遇改善加算を増額して介護ヘルパーの賃金の底上げを図っていただきたいと思いますが、加藤大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君)
 まず、コロナ禍において、障害や介護の分野においてそれぞれそのサービスの提供に当たっていただいている皆さんに心から感謝を申し上げたいというふうに思いますし、また、コロナ禍において様々な影響が実際サービスを受ける方々にもあるということ、我々も認識しながら対応していかなきゃならないというふうに思っております。
 そうした中で、今委員からもお話がありました、障害福祉や介護福祉分野の人材の確保を図っていくということ、そして、そのためにも処遇改善が大変重要だということは認識をしているところであります。
 これまでも、現場で働く方々の給与を恒久的に3%引き上げるための措置など、累次の処遇改善を図ってまいりました。また、特に経験、技能のある障害福祉、介護職員については、他の産業と遜色のない賃金水準を目指して重点的に処遇改善も図っているところであります。
 今後は、まずは、まずは、今般の処遇改善の措置が職員の給与にどのように反映されているかなどについて、次期報酬改定、令和6年度の改定でありますが、に向けた議論の中で検証していきたいと考えております。
 またあわせて、公定価格評価検討委員会の中間整理を踏まえて、費用の使途の見える化を行うこととしております。そうした見える化を図りながらも処遇の改善がなされていけるように更に取組を進めていきたいと考えています。

○木村英子君
 障害者の、高齢者の生活は待ったなしですので、介護者の不足、ヘルパーの不足を補うためにも改善をしていただきたいと思います。
 次に、地域での生活している障害者のヘルパー不足も深刻です。
 障害者の人たちの介護については、平成30年度から重度訪問介護の同行支援の制度が創設されています。
 資料2をご覧ください。


 この制度は、特に重度障害者の個々の障害の特性に対応できるヘルパーを確保、育成することが難しい現状を踏まえ、既に重度障害者の介護を熟練したヘルパーが新人ヘルパーへの育成を図るためにつくられた制度です。しかし、この制度は、新人ヘルパーの研修期間や時間数に制限を設けるなど、重度障害者の現状に合っていない制度となっています。
 特に問題なのは、熟練ヘルパーも新人ヘルパーも報酬が85%に減算されており、新人を育成すればするほど報酬が減ってしまう立て付けになっていることです。
 政府は、誰一人取り残さない社会の実現をスローガンに掲げていますから、どんな障害があっても安心して生きていける社会の実現に向け、新人ヘルパーへの育成と人手不足の解消を促進するために、この制度を見直し、早急に改善していただきたいと思いますが、加藤大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君)
 重度訪問介護においては、一人の従業者で介助することを基本として報酬の設定を行っております。ただ、一人の従業者での介助が困難な場合など一定の要件を満たし、二人の従業者による支援を行う必要があると市町村が認める場合には、それぞれの従業者に対して100%、合わせて200%の報酬を算定することとしています。
 一方で、その事業所で新たに従事する従業者が障害支援区分6の最重度の障害者に支援する場合、その従業者一人だけではコミュニケーションやケアなどを十分に行えない場合があるため、サービスの提供を十分確保できるよう熟練従業者が同行することがあると認識をしております。平成30年度からこのような新任従業者と熟練従業者の二人による支援を報酬上評価することとし、それぞれの従業者について85%、合わせて170%の報酬を算定することとしております。
 この同行支援に関しては、今委員からもお話がありました、平成27年度の障害者総合支援法施行3年後の見直しについての障害者部会の報告において、熟練した従業者による実地研修の実施を促進すべきとされたことを受け、検討がなされたものでありますが、報酬改定の検討の中で、最終的に、新任事業者への指導や研修、これはまさに事業者が直接やるべきものであるので、むしろそれを目的とするものではなく、利用者へのサービス確保を目的とした仕組みとして現在の制度が創設をされたと、こうした経緯がございます。
 したがって、今申し上げたように、一人の従業者での介助が困難な要件に該当するものではないことから、単純に二人分の報酬を算定できることにはなっておりませんが、今後行う次期報酬改定の検討において、重度訪問介護も含めた障害福祉全体について、現場の行い、現場の声も伺いながら必要な検討は行っていきたいと考えております。

○木村英子君
 ありがとうございます。
 私も、介護者不足が深刻で、この国会活動以外の場で介護者募集そして介護者探しを行っています。しかし、なかなか見つからなくて、いつこの国会に来れなくなるのではないかと不安を抱いております。ですから、早急に介護者不足を改善していくためにも、加藤大臣、是非改善のほどをよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

\シェアしてね!/