○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
本日は、航空法の改正案によるドローンの操縦ライセンス制度について質問いたします。
資料1をご覧ください。現行の法律では、ドローンを飛ばす場合、目視できる範囲内での飛行や無人地帯での目視外飛行があり、空撮、測量、農薬散布、災害など様々な分野でドローンが利活用されています。
今回の改正案では、ドローンの活用を物流や警備などの分野に更に拡大するため、人がいる上空で目視できない範囲を飛行するレベル4を実現させることになっています。この飛行の安全性を確保するために、国交省として操縦ライセンス制度を創設し、レベル4の飛行についてはこのライセンスの取得を義務付けることになっています。
ドローンの利活用が進む中で、ドローンは障害者の人たちにとっても行動範囲を広げてくれるものになっています。ここで、事例をお話しします。広島県福山市の先城伸二さんは、病気で左半身麻痺の障害を負いました。友人の勧めでドローンを操縦してみたところ、空間認知のリハビリになることを実感し、本格的にドローンの操縦を始めました。そんな中で、友人の紹介でDIAというドローンスクールに出会いました。
資料2をご覧ください。DIAの人たちは、先城さんが右手だけで操縦できる自作の補助具を使ってドローンを飛行させるところを見て、障害を持っていても安全にドローンを操縦できることを理解し、DIAで民間のライセンスを取得することができました。現在ではDIAのインストラクターとして指導に当たりながら、空撮などのドローン操縦士としても活躍しています。
また、先城さん以外にも、民間のドローンスクールでは、車椅子の方や片方の腕がない方、また片方の目が見えない方などが実際に講習を受け、民間のライセンスを取得している事例があるそうです。しかし、障害があるという理由だけで断られたり、講習会場がバリアフリー化されていないためにトイレが使えず受講を断念してしまう方もいます。実際に先城さんも、DIAに出会う前、障害者に対応できる体制や設備がないという理由で、ほかのドローンスクールからは受講を断られていました。
このように、障害があることを理由に断るドローンスクールも多く、また、まだまだ障害者に対する理解が進んでいない現状です。ですから、国の操縦ライセンス制度を創設するにあたっては、ライセンス取得を希望する障害者が差別的な取扱いをされないように、国の指定する試験機関や国の登録を受けたドローンスクールなどの講習機関における施設のバリアフリー化を進めていただきたいと思います。また、分かりやすい授業内容や教材の開発など、それぞれの障害に合わせた合理的配慮が必要です。
これらについて、国が事例を示し、障害者もドローンの操縦ライセンスを取得できるように必要な指導、助言をしていただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(和田浩一君)
お答えを申し上げます。
今般の法改正により、無人航空機の操縦者の技能証明制度を創設いたしますが、身体に障害をお持ちの方でも、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要最低限の身体の状況を確認し、必要な条件を付した上で技能証明を取得することができるようにしているところでございます。
また、技能証明の取得に際しては、国又は指定試験機関が実施する試験に合格するか、登録講習機関が実施する講習を修了することが必要となりますが、ご指摘のような施設設備のバリアフリー化、それから講習の実施における障害のある方への合理的配慮について国が事例を示すとともに、関係機関に対しましても、必要な指導、助言を行ってまいります。
○木村英子君
わかりました。
次に、障害者がドローンを利用する場合、その障害に合わせたコントローラーの形状や補助具といったハード面の設備も重要となります。
ドローンに関しては、資料3のように、中国のメーカーで片手でも動かせるドローンが開発されており、日本でも購入が可能です。フランスでも、資料4のように、片手で動かせるドローンが開発されており、実際に左手に障害を持った方がドローンスクールで講習を受けています。そのほかに、日本では、音声入力を応用して声で操作できるドローンを改良した人や、先ほど紹介した先城さんのように補助具を自作した人もいます。
しかし、まだまだ多様なコントローラーや補助具の開発は進んでいません。このような現状において、障害者がドローンを操縦する場合の補助具の条件など、障害に合わせた基準について検討されているのでしょうか。また、障害者が自動車免許を取得する場合の補助具は開発されていますので、ドローンに際しても、様々な障害に合わせた使いやすいコントローラーや補助具の開発をメーカーと連携して進めていただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(和田浩一君)
お答えを申し上げます。
無人航空機の操縦を通じて障害をお持ちの方の社会参加を促進するため、障害の状況に合わせて無人航空機を安全に飛行させることができる環境を整備することは重要であると考えております。
障害をお持ちの方の身体の状況に応じた補助具の在り方などについて、個別具体のケースやニーズを踏まえながら、メーカーや講習機関、障害者団体などの関係者と議論をさせていただき、検討を進めてまいります。また、障害をお持ちの方にも使いやすい無人航空機の開発についても、関係省庁とも連携をし、メーカー側に働きかけるなどの対応をしてまいります。
○木村英子君
誰でも使えるドローンの開発を進めていただきたいと思っています。
次に、障害を持つ人にとって、ドローンは就労につながる可能性もあると考えます。実際に、ドローンを活用して障害者の雇用を生み出そうと取り組んでいる団体があります。
福井県小浜市の北山政道さんは、就労継続支援事業所を運営している傍ら、ドローンのインストラクターとしても活動されている方です。北山さんは、様々な障害者の人たちとの関わりの中で、ドローンの操縦を覚えることで農薬散布などの一般就労へつながるのではないかと考えました。また、北山さんは、今の子供たちが障害者と接点を持てる場をつくることも考え、青少年・障がい児者ドローン協会を立ち上げました。そこで障害者も健常者も一緒に学べるドローン教室を開催しています。ドローン教室では、福井県にある国交省認定のドローンスクール、若狭小浜ドローン協会と連携し、障害者の人たちに本格的な操縦技術を指導しており、将来的にはライセンスを取得してもらうことで一般就労につなげることを目指しています。
また、兵庫県では、ITを活用した障害者への就労支援を行っている社会福祉法人プロップ・ステーションの理事長である竹中ナミさんが、ICTの次はドローンが障害者の就労につながると考え、ユニバーサル・ドローン協会を立ち上げ、障害者向けのドローン教室を開催しています。そこには、現在、身体障害者と知的障害者の方が受講しています。身体障害者の方は、両腕に障害があるため、資料5のように足でコントローラーを操縦していますが、インストラクターも驚くほど早く上達していると言っているそうです。
このように、ドローンを障害者雇用につなげようとする取組がある中で、今回の法改正によって操縦ライセンスそのものが様々な障害者が取得しやすい制度になるのかどうかといった不安を抱く障害者の方々がいます。今後、操縦ライセンスに関する基準等を検討していくに当たっては、ライセンス取得に際して障害を理由とした差別が生じないように、障害当事者を検討会などに参加できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(和田浩一君)
お答え申し上げます。
技能証明に関する基準や身体に障害をお持ちの方の補助具などの開発については、障害をお持ちの方ご自身のご意見などを踏まえながら検討を進める必要があると考えております。
今般創設する技能証明制度や機体認証制度の詳細な基準等につきましては、今後、官民による検討会の場などで議論しながら策定することを想定しておりますが、委員のご指摘を踏まえ、障害をお持ちの方を含む関係団体のご意見を検討会の場などでしっかりと伺い、議論に反映することができるよう対応してまいりたいと考えております。
○木村英子君
検討のほどをお願いいたします。
次に、海外の事例を紹介します。資料6をご覧ください。
イギリスのジェームス・ベディングさんは、四肢麻痺のために手足を動かせませんが、口に専用のペンを加えてコントローラーのジョイスティックを操作し、ドローンを操縦しています。障害のため移動が困難な彼にとって、ドローンは、車椅子では行けなかったところに飛んでいける、自由を与えてくれる存在だと言っています。彼は、重度の障害を持ちながらも、ドローンの操縦ライセンスを取得し、世界初の四肢麻痺のドローン操縦士となり、主にドローンを使った写真家として活躍しています。
ここまで障害者がドローンを使っている事例を幾つか紹介しましたが、現在の日本においては社会的バリアがたくさんあり、障害者の人たちにとって社会参加しづらい現状になっています。今回の法改正でドローンの利活用が更に進み、様々な障害者にとってドローンが社会参加するための選択肢の一つになれば、共に生きられる社会へと近づいていくと思います。
そこで、質問いたします。現在、まだドローンがすぐに障害者の雇用につながる状況ではありませんが、今後、ドローンの利活用の推進を障害者雇用の推進につなげていきたいと思いますので、赤羽大臣の展望を是非お聞かせください。
○国務大臣(赤羽一嘉君)
ご質問、大変ありがとうございました。ドローンの利活用で障害者の皆さんたちが社会参加できるという視点というのは大変大事だということ、改めて認識をさせていただきました。
残念ながら現状はそこまでドローンの利活用に関する環境は整っておりませんが、今ご紹介いただきましたプロップ・ステーションの理事長のナミねえは、私、地元ですし、もう大変親しくしていて、プロップ・ステーション立ち上げのときからもうずっと関わっていますが、全く、ユニバーサル・ドローン協会をつくったなんて全然知りませんで、今年まだ一日しか神戸に帰れていませんので。
しっかり連携取りながら、これから様々なことを、この法案成立した後に、早速そうしたことを着手しなければいけなくなりますので、先ほど局長が答弁させていただきました、様々な有識者会議、検討会で当事者の皆さんにも入っていただいて、なかなか健常者では、何というか、アイデアとして出しにくい、そうした角度でどしどしご意見を寄せていただきながら、そうしたものは最大限、このドローンの、何というか、利活用の推進のために活用させていただきたいと思いますので、是非、引き続きのご指導をよろしくお願いしたいと思います。
○木村英子君
ありがとうございます。