○木村英子君
れいわ新選組の木村英子です。
本日は、一向になくならないUDタクシーの乗車拒否について質問します。
公共交通機関の一つであるタクシーのバリアの解消については今までも何度か質問させていただきましたけれども、乗車拒否についてはなかなか改善しない状況があります。
体が不自由な障害者や高齢者にとっては、買物、通勤、通院、旅行など、タクシーは生活を送る上で重要な移動手段です。しかし、先日、私のところに来た相談では、車いす利用者の方が先月、北関東のタクシー事業者にメールでUDタクシーを予約しようとしたところ、当社では福祉車両が少ないこともあり、貸切り運賃で稼働させていただいておりますと言われ、通常の料金の倍以上の貸切り運賃を提示されたそうです。
また、資料1でも、昨年、当事者団体が行ったUDタクシーへの乗車に関する調査においても、

電話でUDタクシーの配車を頼んだところ、貸切りになるため6000円掛かると言われ断念したという事例が挙がっています。
既に令和3年には、UDタクシーに車いす利用者の方が乗る場合に通常の料金に加えて介助料を取っているタクシー事業者があることが問題となり、このときは障害当事者が声を上げたことで、国交省は、介助料を取ることは道路運送法に反しているとして、タクシー事業者に対して事務連絡を発出しています。
このような貸切り運賃の提示は、車いす利用者がタクシーへ乗車することを実質的に拒否する行為であり、道路運送法の特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをすることに当たり、違法だと思いますが、国交省としてはこのような事案を把握しているのでしょうか。このような違反をしているタクシー事業者に対して国交省としてはどういった指導を行っているのか、お答えください。
○政府参考人(鶴田浩久君)
個々の事案につきましては事実関係を確認する必要がございますけれども、一般論として申し上げますと、ご指摘ありましたように、道路運送法第30条第3項におきまして、一般旅客自動車運送事業者は、特定の旅客に対し、不当な差別的取扱いをしてはならないとされております。
委員ご指摘のような情報を把握した場合に、国土交通省としましては、タクシー事業者に対して事実関係の確認を行いまして、法令違反の事実が確認できた場合にはまず文書にて指導を行います。さらに、繰り返し違反行為を行う場合には車両の使用停止処分を行うなど、厳正に対処することとしております。詳細な情報をいただけましたら、このような対応をしてまいります。
また、行政処分等を行った場合には、国土交通省のホームページにおいて、事業者名、違反内容等について公表を行います。
○木村英子君
多くの障害者の方は、年金や生活保護で生活している人が多く、貸切り運賃を請求された場合、タクシーに乗ることを諦めざるを得ない方もいます。このような事案について、国交省が責任を持って調査を行って、しっかり指導していただきたいと思います。
次に、UDタクシーの乗車拒否に遭った場合の窓口対応について質問します。
先ほどの資料にもあったように、7社に電話で配車を依頼したが全部断られた、介護は必要ないと言っても介護タクシーを勧められた、ホームページにあるのにUDタクシーは取り扱っていないと言われた、今日は動いていないと言われたなど、様々な理由で車いす利用者の利用が拒否されています。
国交省は、平成30年11月にユニバーサルデザインタクシーによる運送の適切な実施の徹底についてという事務連絡を発出し、乗車拒否の禁止や運転手への定期的な研修を徹底するよう、業界団体を通じてタクシー事業者に周知されています。また、昨年12月にも再度事務連絡を発出してもらいましたけれども、残念ながらこのようなタクシー事業者による差別的な事案はなくなりません。
しかし、差別的取扱いを受けたときに、障害当事者は相談するところがなく、結局、タクシー利用を諦めたりするなど、泣き寝入りせざるを得ない状況が続いています。車いす利用者がタクシー事業者から差別的取扱いを受けたときに対応してくれる窓口はあるのか、お答えをお願いします。
○政府参考人(鶴田浩久君)
ご指摘をいただきましたように、ユニバーサルデザインタクシーは非常に優れた乗り物であると思います。しかし、それをどのように使うかということが、同じように、それ以上に重要なことだというご指摘だと思います。
タクシーの利用に際しまして乗車拒否や差別的取扱いを受けた場合には、各都道府県に所在しています運輸支局等においてご相談に対応しております。その旨、広く周知を図ってまいりたいと考えております。
○木村英子君
しかし、運輸支局に相談窓口行けと言われても、なかなかここにたどり着かなかったり、分かりにくいところがあります。
例えば、障害者の方は、いろんな障害を持っている方がいますけれども、ホームページ等の記載の文章の中に、ルビとか、あるいはイラスト、あるいは音声案内など、障害者に合わせた合理的配慮の提供も検討してもらいたいですし、今後、窓口の案内を分かりやすい形で検討していただきたいと思います。
次に、UDタクシーの配車予約ができない問題についてお聞きします。
資料2をご覧ください。

国交省の資料によると、UDタクシーの台数は、令和3年度末には全国で3万台ほどでしたけれども、令和5年度末には4万台まで増えていき、東京や都市部では少しずつ普及している状況です。しかし、地域によっては、ほとんどの導入が進んでいないところもあり、またUDタクシーの研修を受けたドライバーも少なく、電話で配車をお願いしても配車を断られる場合があります。
例えば、車いすの方が病院に行くために1週間前に予約したいと思ってタクシー事業者に電話したところ、UDタクシーを運転できる運転手は限られるために、当日か早くても2、3日前でないと予約できないと言われたり、また資料3の記事では、昨年二月に沖縄の障害者団体が行った調査によると、

配車をお願いしようとしても、人手不足を理由に、当日予約では対応できない、1週間前に予約をしないといけないと言われ、配車を拒否されたそうです。このように、タクシー事業者側の一方的な理由で乗車拒否をされる事例が後を絶ちません。
資料4のとおり、昨年10月の障害者団体の調査では、

UDタクシーの配車を電話でお願いした42件のうち18件も拒否されており、これでは車いすの人が安心してUDタクシーを利用することはできません。
国交省のホームページによると、健康な方はもちろんのこと、足腰の弱い高齢者、車椅子利用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など、誰もが利用しやすい、みんなに優しい新しいタクシー車両であり、町中で呼び止めてもよし、予約してもよしの誰もが普通に使える一般のタクシーとして開発され、運行されています。これを読む限りでは、障害者の方だけではなく、誰でも気軽に利用できるように思いますが、現状は流しでも捕まりにくい状況ですから、予約までも断られる対応は差別的取扱い以外の何物でもありません。このような乗車拒否がなくならない背景には、ドライバー不足が大きな原因であると考えます。
また、国交省はユニバーサルデザインタクシーの割合について、今年度末までに25%をUDタクシーにするという目標を立てていますけれども、資料5のとおり、

ほとんどの自治体で目標が達成できておらず、UDタクシーの普及が遅れています。
全国どこに行っても、障害を理由に乗車拒否されず、安心してUDタクシーに乗れるように、台数を増やすとともにドライバーの増員を早急に確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(鶴田浩久君)
タクシーの乗車拒否や差別的取扱いにつきましては、運輸支局等にスムーズにご相談をいただけるように、今後、法令違反に当たる事例の情報発信も丁寧に行うなど、多様な利用者が円滑にタクシーを利用できる環境整備に努めてまいりたいと思いますし、ご指摘のありました情報発信の在り方についても検討いたします。
その上で、ご指摘のありました、車椅子利用者や高齢者など誰もが利用しやすいユニバーサルデザインタクシーの更なる普及促進ということにつきまして、予算補助や税の負担軽減によって支援を行っております。加えて、普及率の低い地域に対して重点的な支援を行うなど、全国的な普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。
また、ドライバー確保のために、これまで、地理試験の廃止ですとか法定研修の期間の見直しを行ったほか、採用活動や二種免許取得に掛かる費用の支援を行っております。さらに、ユニバーサルデザインタクシーのドライバー研修の受講を促進しているところでございます。
引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。
○木村英子君
是非進めていただきたいと思います。
最後に、通告はしていませんけれども、大臣にお伺いいたしたいと思います。
車いすの方や障害のある方がUDタクシーを利用しづらい状況になっていますけれども、障害者の方が安心して交通機関を利用できる社会の実現に向けて、大臣としてはどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。
○国務大臣(中野洋昌君)
お答え申し上げます。
先ほど来、木村委員からの、先ほど来の様々、現場の状況でこういうふうなことがあった等、いろんな状況をお伺いを私もいたしまして、やはりUDタクシー普及に努めているところではありますが、お示しいただいたとおり、都道府県によっては、やはりまだまだ普及の進んでいないところもございますし、やはり道路運送法というのは特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをしてはならないというふうな条項もございますが、そうした個々の事案、様々な状況ございますが、やはりそういう、適切ではないのではないかというふうな、そういう事案の御指摘も今いろんなことをいただいたところであります。
やはり、こうした法令違反の事例の情報発信等、やはり丁寧に行ってまいりたいと思いますし、本当に多様な利用者が円滑にタクシーを利用できる環境整備というのは非常に大事だということを私も改めて感じたところでございますので、そうした整備、しっかりと努めてまいりたいというふうに思います。
○木村英子君
ありがとうございます。 以上で終わります。